監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は国民年金法、住民基本台帳法、番号法(マイナンバー法)、日本年金機構の公表情報に基づき作成しています。
この記事の結論
障害年金の申請中に引越しをしても、審査は日本年金機構が全国一元的に継続して行うため、やり直しにはならず、提出済みの書類もそのまま有効です。
マイナンバーが基礎年金番号と紐づいていれば、年金事務所への住所変更の届出は原則不要で、住民票の異動だけで反映されます。
紐づいていない場合や、審査中に追加書類のやり取りが発生した場合は、旧住所への郵便トラブルを防ぐため速やかな届出が必要です。
障害年金の申請中に引越しが重なると、「審査がやり直しになるのでは」「書類を出し直さなければいけないのでは」と不安になる方は少なくありません。
結論からお伝えすると、適切な手続きさえ行えば、審査はそのまま継続されます。ここでは、申請中に引越しをした場合の手続きの流れと、審査への影響を整理します。
障害年金の申請中に引越しをしても、審査はやり直しになりますか?
障害年金の審査は日本年金機構が国民年金法第109条の4に基づき全国一元的に行っているため、住所が変わっても審査がやり直しになることはありません。引越し前にすでに提出した裁定請求書・診断書・申立書などの書類も、そのまま有効です。書類を再提出したり内容を書き直したりする必要はありません。
変わるのは「窓口」だけ
申請の窓口である年金事務所は住所地によって管轄が決まっているため、引越しで管轄が変わる場合は、変更後の住所を届け出る手続きが必要になります。届出が遅れると、審査結果の通知や年金証書が旧住所に届いてしまう可能性があるため、引越し後はできるだけ早めに手続きを済ませましょう。都道府県をまたぐ引越しであっても、審査そのものの基準や進み方に違いはありません。
引越し後の住所変更、年金事務所への届出は必要ですか?
マイナンバーが基礎年金番号と紐づいていれば、番号法第9条・第14条に基づく情報連携により、年金事務所への住所変更の届出は原則不要です。紐づいていない場合は、自分で「年金受給権者 住所変更届」を年金事務所へ提出する必要があります。
| 状況 | 必要な手続き |
|---|---|
| マイナンバーが基礎年金番号と紐づいている | 原則届出不要(住民票の異動で自動的に反映) |
| マイナンバーが紐づいていない | 「年金受給権者 住所変更届」を年金事務所へ提出 |
| 振込口座も変更する場合 | 「年金受給権者 受取機関変更届」を別途提出 |

まず住民票の異動手続きを
住民票の異動が住所変更の起点になります。引越し元の市区町村へ「転出届」を、引越し先の市区町村へ「転入届」を提出します。転入届は、住民基本台帳法第22条第1項により、転入した日から14日以内に提出することが定められています。
マイナンバーが年金機構に登録されているかどうか、自分では分かりません。確認する方法はありますか?
社労士「ねんきんネット」または最寄りの年金事務所で確認できます。確認に時間がかかりそうで不安な場合は、念のため「年金受給権者 住所変更届」も一緒に提出しておくと安心です。
申請中の場合は、変更後の年金事務所への確認も忘れずに
審査がまだ続いている段階では、「裁定請求書の住所変更」に関する届出が別途必要になることがあります。住民票の異動手続きが済んだら、変更後の住所を管轄する年金事務所に「申請中の住所が変わった」と電話で確認してから窓口に行くとスムーズです。なお、マイナポータルを使えば、一部の手続きをオンラインで完結できる場合もあります。
ご自身のケースが当てはまるか、迷っていませんか
障害年金は、同じ傷病でも初診日や日常生活の状況によって結果が変わります。記事だけでは判断がつかない部分も多いので、気になる点があればお気軽にお声かけください。ご依頼前のご相談は無料です。
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引越しに伴って、年金事務所以外に連絡すべきところはありますか?
年金事務所への届出に加えて、通院中の医療機関・依頼している社労士・健康保険の保険者にも住所変更を連絡しておく必要があります。連絡が漏れると、重要な書類や連絡が届かないトラブルにつながります。
| 連絡先 | 更新してもらう内容 |
|---|---|
| 通院中の医療機関 | 診察券・カルテの住所情報 |
| 依頼している社労士 | 書類のやり取りに使う送付先住所 |
| 健康保険の保険者(協会けんぽ・健康保険組合等) | 保険証や通知の送付先住所 |
社労士に依頼している場合は、社労士が窓口になっているため、住所変更の影響を受けにくいという利点もあります。引越し直後はバタバタしがちですが、関係先への連絡はリストを作って確実に対応しましょう。
審査中に転院する場合、何に注意すればいいですか?
転院前の主治医に診療情報提供書(紹介状)を作成してもらい、これまでの経緯を転院先の医師にしっかり引き継いでもらうことが重要です。審査中に主治医が変わると、新しい主治医がこれまでの経緯を把握していない状態になるためです。
転院先の医師には「障害年金の申請中である」ことも早めに伝えておきましょう。伝え忘れると、診断書の記載内容に必要な情報が反映されないことがあります。
転院のタイミングは、引越しよりできるだけ早く相談を
すでに診断書の依頼や作成が進んでいる段階で転院が重なると、どちらの医師に依頼すべきか判断が難しくなることがあります。転院が決まった時点で、引越しの前後どちらのタイミングで診断書を依頼するのが望ましいか、社労士や依頼中の専門家に早めに相談しておくと安心です。
よくある質問
Q. 都道府県をまたぐ引越しでも、審査基準は変わりませんか?
A. 変わりません。障害年金の審査は全国一律の基準で行われるため、引越し先が別の都道府県であっても審査内容に影響はありません。
Q. 追加書類の提出を求められているときに引越しが重なったらどうなりますか?
A. 通知が旧住所に届いてしまい対応が遅れるおそれがあるため、住所変更の届出をできるだけ早めに済ませることが重要です。
Q. マイナンバーが基礎年金番号と紐づいているかは、どこで確認できますか?
A. 「ねんきんネット」または最寄りの年金事務所で確認できます。不安な場合は、念のため住所変更届を提出しておくと安心です。
Q. 社労士に依頼している場合も、自分で住所変更の届出をする必要がありますか?
A. はい。年金事務所への届出は本人または家族が行う必要があります。社労士は書類作成や進捗確認のサポートを行います。
まとめ:住所変更の手続きさえ済ませれば、審査は止まらない
障害年金の申請中に引越しをしても、適切な手続きを行えば審査はそのまま継続されます。大切なのは、住所変更の手続きを速やかに済ませることと、医療機関・社労士・健康保険の保険者など関係先への連絡を漏れなく行うことです。「引越しの手続きと申請の手続きが重なって、何から始めればいいか分からない」という方は、優先すべき手続きの順番を整理しながらサポートしますので、ご相談ください。
来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
参考資料
・国民年金法 第109条の4(e-Gov法令検索)
・住民基本台帳法 第22条(e-Gov法令検索)
・行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律 第9条・第14条(e-Gov法令検索)
・年金を受けている方が年金の受取機関や住所を変更するとき(日本年金機構)
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