監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は国民年金法施行規則・厚生年金保険法施行規則・厚生労働省の診断書記載要領に基づき作成しています。
この記事の結論
主治医に障害年金の相談を切り出すときは、遠慮せず「障害年金の申請を考えています。診断書をお願いすることはできますか?」と率直に伝えれば十分です。
緊張して言葉が出ない方は、日常生活の困りごとを書いたメモを見せながら伝えるのが確実です。
診断書は請求に欠かせない書類なので(国民年金法施行規則第31条)、用紙をいきなり渡さず、まず書いてもらえるかを相談の形で確認します。
「先生に話したら、嫌な顔をされそうで怖い」「どう切り出せばいいかわからない」。こうした悩みを抱えたまま、申請の第一歩を踏み出せずにいる方は多くいらっしゃいます。
言い出しにくいと感じるのは、とても自然なことです。この記事では、受診の前に準備しておくメモと、診察室でそのまま使える言葉を整理します。
主治医に障害年金の話をするのは、失礼になりませんか?
失礼にはなりません。障害年金の請求には医師の診断書が必要で、主治医への相談は申請に欠かせない手順です。
診断書は法令で定められた添付書類
障害基礎年金の請求には「障害の状態に関する医師又は歯科医師の診断書」(国民年金法施行規則第31条第2項第4号)、障害厚生年金の請求には「障害の状態の程度に関する医師又は歯科医師の診断書」(厚生年金保険法施行規則第44条第2項第4号)を添えることが定められています。主治医に頼むのは、特別なお願いではなく、制度上の通常の手続きです。障害年金を請求するのはご本人で、主治医はそのために必要な書類を作る立場です。
「お金の話は申し訳ない」という遠慮は不要
経済的な不安が治療の継続を妨げることもあり、生活の安定は回復の土台になります。主治医は、患者さんの生活全体を支える存在です。「否定されるかもしれない」という恐れだけで相談しないでいると、可能性そのものを閉じてしまいます。
受診の前に、何を準備すればよいですか?
伝えたいことを3点だけ紙かスマートフォンのメモに書いて、受診に持って行きます。

メモに書く3つのこと
- 障害年金の申請を考えていること
- 診断書を書いていただけるかどうか確認したいこと
- 日常生活で困っていること・できないことの具体例
困りごとは「ふだんの1年」で書く
厚生労働省の診断書(精神の障害用)記載要領は、医師に対し、診察時の一時的な状態ではなく、現症日以前1年程度の状態の変動をふまえて判断するよう求めています。日常生活能力の判定も「単身で生活するとしたら可能かどうか」で判断します。診察室で「まあまあです」と答えるだけでは伝わらないので、外出できない日数、食事・入浴・洗濯ができているか、家族に手伝ってもらっていることを、ふだんの様子として書いておきます。
先生の前に座ると、毎回「大丈夫です」と言ってしまうんです。
社労士緊張すると、そうなる方はとても多いです。話そうとせず、メモを渡すだけで大丈夫ですよ。
ご自身のケースが当てはまるか、迷っていませんか
障害年金は、同じ傷病でも初診日や日常生活の状況によって結果が変わります。記事だけでは判断がつかない部分も多いので、気になる点があればお気軽にお声かけください。ご依頼前のご相談は無料です。
※LINEと問い合わせフォームは24時間受け付けています。しつこい勧誘は一切ございません。
診察室では、どんな言葉で切り出せばよいですか?
「先生、少しご相談があるのですが、障害年金の申請を考えています。診断書をお願いすることはできますか?」の一言で十分です。
場面に合わせた言葉の例
| 場面 | そのまま使える言葉 |
|---|---|
| シンプルに切り出す | 「先生、少しご相談があるのですが、障害年金の申請を考えています。診断書をお願いすることはできますか?」 |
| 不安を正直に伝える | 「障害年金の申請を考えているのですが、なかなか先生に言い出せなくて…。私の状態で診断書を書いていただけるでしょうか?」 |
| メモを使う | 「うまく話せないので、こちらを読んでいただけますか」 |

制度の説明はしなくていい
初診日や認定日などの制度の説明を、ご自身でする必要はありません。主治医は「障害年金の申請を考えている」という一言で状況を理解します。言い出せなかった気持ちを正直に伝えるのもかまいません。
診断書の用紙は、いつ渡せばよいですか?
用紙をいきなり渡すのではなく、書いてもらえるかを確認し、相談してから渡します。
最初の受診は「相談」だけでいい
診断書は、医師がご本人の1年程度の状態をふまえて書く書類です。最初の受診では申請を考えていることを伝え、書いてもらえるか、いつ頃お願いできるかを確認するだけで十分です。用紙とメモは、主治医の了解を得てから受付の案内に沿って渡します。病院によっては診断書の申込み方法が決まっていることもあるので、窓口でも確認しておきましょう。
すぐに返事がもらえなくても大丈夫
「もう少し様子を見ましょう」と言われることもあります。その場合は、理由をたずね、次の受診でもう一度相談すると伝えておきます。診断書を書けないと言われた場合の考え方は、医師に「診断書は書けない」と断られたときの記事で整理しています。
よくある質問
Q. 家族に付き添ってもらって伝えてもいいですか?
A. かまいません。ご本人が話しにくいときは、ご家族が同席して日常生活の様子を補ってもらうと伝わりやすくなります。診断書の記載要領も、日常的に家族などから受けている援助の内容を具体的に書くよう医師に求めています。
Q. 社労士が主治医への依頼文を作ることはできますか?
A. できます。ご依頼を受けた社労士は、ご本人からお聞きした日常生活の状況をまとめた依頼文や参考資料を作成し、受診時に主治医へお渡しいただく形でお手伝いします。何を伝えればよいかわからない方は、受診前にご相談ください。
Q. 診断書の作成にはお金がかかりますか?
A. かかります。診断書の文書料は、それぞれの医療機関が決めているため、金額は病院によって異なります。お願いすることが決まったら、受付で金額とでき上がるまでの期間を確認しておくと、その後の段取りが立てやすくなります。
Q. 今の主治医が、初めて受診した病院の医師ではない場合は?
A. 今の主治医には診断書を、初めて受診した病院には受診状況等証明書を依頼するのが一般的です。受診状況等証明書は、初診日を確認するための書類です。初診の病院にも、今の病院と同じように「障害年金の申請を考えています」と伝えて依頼すれば大丈夫です。
まとめ:「言い出す」その一言が、受給への最初の一歩になる
主治医に障害年金のことを伝えるのは、勇気がいるステップです。それでも、その一言を言い出せたとき、手続きは動き始めます。次の受診までに、申請を考えていること、診断書をお願いしたいこと、ふだんの困りごとの3点をメモに書いておきましょう。話せなければ、メモを渡すだけでかまいません。
中四国にお住まいの方はもちろん、全国からのお問い合わせに対応しています。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
参考資料
・国民年金法施行規則 第31条(e-Gov法令検索)
・厚生年金保険法施行規則 第44条(e-Gov法令検索)
・障害年金の診断書(精神の障害用)記載要領(厚生労働省)
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