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障害年金コラム・お役立ち情報

障害者雇用に変われば3級になれる?審査が見るのは「働き方」より「生活の実態」

「障害者手帳を取得して障害者雇用に切り替えれば、障害年金3級がもらえますか?」
「フルタイムのまま障害者雇用になる予定なのですが、それでも受給できますか?」
こうしたご相談を、当センターでも実際にいただくことがあります。
「障害者雇用=障害年金受給」というイメージをお持ちの方は少なくありませんが、この考え方には大きな誤解があります。
障害者雇用に切り替わること自体は、障害年金の受給要件に直接関係しません。
この記事では、その理由を正直にお伝えしながら、審査で本当に何が見られているのかを解説します。

障害者雇用と障害年金は「別の制度」である

まず、この2つの制度の根本的な違いを整理しておきましょう。
名前に「障害」という言葉が含まれているため混同されがちですが、制度の目的も根拠となる法律もまったく異なります。

障害者雇用とは何か

障害者雇用とは、障害者雇用促進法に基づき、企業が一定数以上の障害者を雇用することを義務づけられた制度です。
障害者手帳を持つ方が、障害への配慮がある職場環境で就労することを指します。
業務内容の調整・短時間勤務・通院への配慮など、職場での合理的配慮が提供されることが特徴です。
ただし、障害者雇用であっても、フルタイム勤務・一般的な賃金水準・通常の業務量という条件で就労することは十分にあります。

障害年金とは何か・何を根拠に支給されるか

障害年金は、国民年金法・厚生年金保険法に基づく公的年金制度のひとつです。
病気やケガによって日常生活や就労に著しい支障が生じている状態を、日本年金機構が定める「障害認定基準」に照らして審査し、支給の可否・等級を決定します。
つまり障害年金は「どのような雇用形態か」ではなく「どのような状態にあるか」を基準に判断される制度です。
障害者雇用への切り替えは、この審査基準にとって直接的な根拠にはなりません。

障害者手帳の等級と障害年金の等級は連動しない

障害者手帳を持っていることも、障害年金の受給要件ではありません。
手帳の等級と年金の等級は、審査機関も判定基準もまったく異なります。
手帳を取得したからといって、自動的に障害年金の対象になるわけではありませんし、等級が手帳と一致するわけでもありません。
この点は、前提として正しく理解しておく必要があります。

「フルタイム・同等賃金・業務量微減」では3級は難しい理由

具体的な状況を見ていきましょう。
「フルタイム勤務のまま障害者雇用に切り替え、賃金水準は変わらず、業務量が多少減る」という状況で、障害年金3級が認定されるかどうかを正直にお伝えします。

3級の認定基準は「労働が制限される状態」

障害厚生年金3級は、「労働が著しく制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることを必要とする状態」が認定の目安です。
「著しい制限」とは、たとえば週の労働時間を大幅に短縮しなければ働けない・特定の業務しかできない・頻繁に休暇が必要といった状態を指します。
フルタイムで週5日勤務を継続し、賃金水準も一般的な水準と変わらない場合、「労働が著しく制限されている」とは評価されにくい状況です。
業務量が「多少減る」程度の変化では、審査においてその差が認定の根拠になることはほとんどありません。

審査官が確認するのは「就労の実態」である

障害年金の審査官は、診断書と病歴・就労状況等申立書をもとに、就労の実態を総合的に判断します。
確認されるのは、たとえば以下のような内容です。

  • 週何時間・何日働いているか
  • 給与・賃金の水準はどの程度か
  • どのような業務を担当しているか
  • 欠勤・遅刻・早退の頻度はどの程度か
  • 職場でどのような配慮を受けているか
  • 就労によって日常生活にどのような影響が出ているか

「障害者雇用である」という事実は参考情報のひとつにはなりますが、それだけで等級が決まるわけではありません。
上記のような就労の実態が、認定基準に照らして「著しい制限がある」と評価されて初めて、3級の対象となりえます。

「都合のいい解釈」が審査では通らない理由

「障害者雇用に変わるから年金がもらえるはず」という考え方の背景には、「形式が変われば内容も変わる」という誤解があります。
しかし、障害年金の審査は形式ではなく実態を見ます。
就労の形態・雇用の名称・手帳の有無にかかわらず、「その人が実際にどのような状態で生活・就労しているか」が審査の出発点です。
フルタイムで働き続けられている状態であれば、その実態が審査結果に正直に反映されます。
「受給できるかもしれない」という期待が先行することは理解できますが、現実の審査基準と照らし合わせることが大切です。

では、どのような状態なら3級の可能性があるのか

「現状では難しい」とお伝えしたうえで、どのような変化があれば3級の可能性が出てくるのかを整理しておきます。

就労状況に明確な制限が生じた場合

手帳と年金2

たとえば以下のような変化が実際に生じていれば、審査において就労の制限として評価される可能性があります。

  • 週の労働時間が大幅に短縮された(例:フルタイムから週20時間以下など)
  • 欠勤・休職が頻繁に発生している
  • 給与・賃金が一般的な水準を著しく下回っている
  • 担当できる業務が極めて限定されており、通常の業務が遂行できない
  • 就労によって日常生活(睡眠・食事・外出など)が著しく損なわれている

こうした実態が伴ってはじめて、3級の認定につながる可能性が出てきます。

日常生活への支障が大きい場合は2級の可能性も

手帳と年金3

就労はできていても、日常生活全般において著しい支障がある場合は、2級の対象になるケースもあります。
「何とか出勤はできているが、帰宅後は何もできない」「家事や身辺管理がほとんどできず、家族のサポートが欠かせない」といった状態が長期間続いているのであれば、就労できていることだけを理由に受給の可能性を否定しないことが大切です。
精神疾患の場合は特に、就労の継続と日常生活能力の低下が並立するケースがありますので、主治医や社労士に実態を正直に伝えて判断を仰ぐことをおすすめします。

「今は難しい」でも「将来は変わる」可能性がある

現時点での状態が認定基準に届かない場合でも、今後症状が変化することはあります。
「今は受給できない状態」と判断された場合でも、将来的に状況が変化した際に改めて申請することは可能です。
焦って申請して不支給になるよりも、実態を正確に把握したうえで適切なタイミングを見極めることが、長い目で見ると最善の選択につながることがあります。

まとめ:障害者雇用への切り替えは受給の根拠にならない

障害者雇用に切り替わることは、障害年金の審査において直接的な根拠にはなりません。
審査が見るのは雇用形態の名称ではなく、就労・日常生活の実態です。
今回のポイントをまとめます。

  • 障害者雇用と障害年金はまったく別の制度。雇用形態の変化は受給要件に直接関係しない
  • 障害者手帳の等級と障害年金の等級は連動しない
  • 3級の基準は「労働が著しく制限される状態」。フルタイム・同等賃金では認定されにくい
  • 審査で見られるのは就労時間・賃金水準・欠勤状況・日常生活への影響など就労の実態
  • 日常生活への支障が大きい場合は、就労できていても2級の対象になる場合がある

「自分の状況で受給できるのかどうか」を正確に判断するためには、専門家への相談が一番確実です。
「難しいかもしれないが、一度整理してほしい」という段階でのご相談も、もちろん承っております。

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