監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
ご本人の同意を得て、個人が特定されないよう一部内容を変更して掲載しています。
この事例の要点
| ご本人 | 50代・男性・香川県 |
|---|---|
| 傷病名 | 双極性障害 |
| 結果 | 障害厚生年金2級・年金額 約196万円 |
| 初診日 | 平成25年・精神科(身体症状での整形外科受診の後) |
| 申請時の状況 | 外出できるのは10日に1回ほどで、日中の半分以上は横になって過ごす。就労は不能 |
| この事例の壁 | 身体症状から始まり、多くの医療機関と診断名の変遷を経たため、経過の整理と初診日の特定が難しかった |
身体の痛みやしびれから始まり、多くの医療機関を経て双極性障害と診断された方が、長い経過を整理し直して障害厚生年金2級の認定につながった事例です。
こんな方の参考になる事例です
- 体の痛みやしびれで受診したが、検査では異常が見つからなかった
- 病院を何か所も変わり、診断名も途中で変わっている
- 以前、身体の障害で申請しようとしてあきらめたことがある
ご相談時の状況
ご本人は平成25年、両腕から手先のしびれと脱力感、全身のこわばりと激しい痛みが現れ、整形外科を受診しました。当初は後縦靭帯骨化症と診断されましたが、その後の精査では症状を裏付ける所見がないとされ、整形外科・神経内科・精神科など複数の医療機関を転々とすることになりました。
- 治療の経過:精神科ではパニック障害・疼痛性障害と診断されて服薬を続けましたが、薬による思考力の低下や強い眠気で、かえって生活や仕事に支障が出ることもありました。減薬すると体の痛みが戻る状態が続き、やがて通院も難しくなりました
- 仕事:傷病手当金を受けながら療養しましたが、最終的に就労できなくなりました
- 診断:途中で統合失調症の疑いを示されたこともありましたが、のちに否定され、令和7年に初診の精神科で治療を再開して双極性障害と診断されました
- 現在の生活:自宅から出られるのは10日に1回ほどで、外出すると反動で数日間動けなくなります。月に1〜2回、躁状態とみられる時期に急に外出しては、ひどく消耗することを繰り返しています。日中の50%以上は横になり、30分座っているだけでも強い倦怠感があります
身体症状から始まった長い経過を、どう整理したか
壁:診断名の変遷と、一度あきらめた申請
ご本人は以前、肢体の障害として障害年金を申請しようとしましたが、診断書を得られずに断念していました。その後も多くの医療機関を受診し、診断名は後縦靭帯骨化症、パニック障害・疼痛性障害、統合失調症の疑い、双極性障害と変わってきたため、どの受診を初診日とするか、経過をどうつなげるかの整理が欠かせませんでした。
対応:精神の障害として申請し直し、初診日を特定した
- 申請の切り口:身体症状と精神症状が重なっている実態を踏まえ、双極性障害による精神の障害として申請する方針を立てました
- 経過の整理:医療機関ごとの受診期間と診断名、服薬による生活への影響を時系列でまとめ、初診日を平成25年の精神科の受診日と特定しました
- 生活の実態:外出の頻度、横になっている時間、躁状態の後の消耗など、精神と身体の両面の症状が生活に及ぼす影響を具体的に示しました
一度申請をあきらめた方も、あらためて一度ご相談ください。
ご自身のケースが当てはまるか、迷っていませんか
障害年金は、同じ傷病でも初診日や日常生活の状況によって結果が変わります。記事だけでは判断がつかない部分も多いので、気になる点があればお気軽にお声かけください。ご依頼前のご相談は無料です。
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身体の不調で先に別の科を受診していた場合、双極性障害の初診日はいつですか?
双極性障害の初診日は、双極性障害の原因となった症状で初めて医師の診療を受けた日です。身体の病気として別の科を受診した日が、そのまま初診日になるとは限りません。
障害認定基準は、初診日を「障害の原因となった傷病につき、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日」と定めています。そのため、整形外科や内科での受診が、のちの双極性障害と同じ傷病についての受診だったのか、別の病気としての受診だったのかによって、初診日が変わります。この事例では、初診日は平成25年の精神科の受診日になりました。
初診日がいつかで、加入していた年金制度や保険料納付要件の判断が変わります。最初の受診先のカルテに、当時の症状がどう記録されているかを確認することが大切です。身体症状での受診と初診日の関係は「うつ病と診断される前、不眠で受診した日は初診日?」でも解説しています。
認定結果
| 年金の種類・等級 | 障害厚生年金2級(障害基礎年金2級を含む) |
|---|---|
| 年金額 | 約196万円(認定当時の年額) |
| 初診日 | 平成25年・精神科 |
長年の痛みやこわばりに加え、抑うつと躁状態の繰り返しや思考力の低下など、精神と身体の両面の症状で日常生活と就労がほぼできない状態であることが認められ、障害厚生年金2級と認定されました。
よくある質問
Q. 双極性障害で2級に認定されるのは、どのような状態ですか?
A. 障害認定基準では、気分、意欲・行動の障害や思考障害の病相期があり、それが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受ける状態が2級の例とされています。躁と抑うつの波の両方を伝えることが大切です。
Q. 身体の障害で申請をあきらめた後でも、精神の障害で申請できますか?
A. できます。障害年金は障害の原因となった傷病ごとに、その傷病に応じた認定基準と診断書で審査されます。身体の障害で診断書を得られなかった場合でも、精神の障害として申請できることがあります。今の症状に合った診断書の種類を確認しましょう。
まとめ:診断名が変わってきた方も、経過を整理すれば道が開ける
今回の事例は、身体の痛みやしびれから始まり、多くの医療機関と診断名の変遷を経て双極性障害と診断された方のケースです。一度は肢体の障害での申請をあきらめていましたが、精神の障害として経過を整理し直し、初診日を特定したことで、障害厚生年金2級の認定につながりました。
結果は一人ひとりの病気の経過や状況によって異なりますが、診断名が変わっている、一度申請をあきらめた、という理由だけで、申請をあきらめる必要はありません。中四国にお住まいの方はもちろん、全国からのお問い合わせに対応しています。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
参考資料
・障害認定基準 第1章 一般的事項(日本年金機構)
・障害認定基準 第8節 精神の障害(日本年金機構)
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