監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
ご本人の同意を得て、個人が特定されないよう一部内容を変更して掲載しています。
この事例の要点
| ご本人 | 30代・男性・徳島県 |
|---|---|
| 傷病名 | 双極性感情障害(強迫性障害などを併発) |
| 結果 | 障害基礎年金2級・年金額 約83万円 |
| 申請時の状況 | 躁とうつの波を繰り返し、ほとんど外出できない。家事全般に家族の援助が必要 |
| この事例の壁 | 主治医の見立ては3級相当。初診日が複数の医療機関にまたがっていた |
主治医から3級相当と見られていた双極性感情障害の方が、生活の実態を診断書に反映できたことで、障害基礎年金2級の認定につながった事例です。
こんな方の参考になる事例です
- 双極性障害に、強迫性障害やパニック発作が重なっている
- 主治医に「軽め」の見立てをされ、申請をためらっている
- うつ病から診断名が変わり、初診日がいつになるのか分からない
ご相談時の状況
ご本人は10代後半から気分の波があり、学生時代に不眠や抑うつで医療機関を受診してうつ病と診断されました。その後、躁状態に転じたことで双極性感情障害Ⅰ型と診断され、入院を含む治療を受けてきました。知人から障害年金の制度を聞き、当センターへご相談いただきました。
- 治療の経過:気分安定薬などで一時的に落ち着く時期はあっても寛解には至らず、躁とうつを繰り返しています
- うつ状態のとき:1日の大半を布団の中で過ごし、食事や入浴もままなりません
- 躁状態のとき:睡眠時間が極端に短くなり、興奮や怒りを抑えられなくなります
- 併発した症状:近年はパニック発作や強迫症状が加わり、外出への恐怖や強い潔癖傾向から、ほとんどの時間を自宅で過ごしています
- 日常生活:薬の副作用による手の震えもあり、家事全般に家族の助けが必要です。就労や社会生活を安定して続けることができず、親の支援のもとで生活しています
主治医の見立てが3級相当だったとき、どう進めたか
壁:3級相当の見立てと、複数の医療機関にまたがる治療歴
主治医からは3級相当と見られていました。この事例は障害基礎年金での請求のため、3級相当と判断されれば年金は受け取れません。さらに、長年にわたり複数の医療機関で治療を受けてきたため、初診日の特定と通院記録の整理も課題でした。
対応:受診記録で経過をつなぎ、依頼文で生活の実態を伝えた
- 初診日の立証:各医療機関に受診記録を依頼し、第三者証明やご家族の協力も得て、連続した治療経過を証明しました。これにより、初診日と診断の一貫性を明らかにしました
- 診断書作成依頼文:ご本人とご家族へのヒアリングをもとに依頼文を作成し、主治医にお渡ししました。躁うつの波で日常生活が大きく制限されていることや、希死念慮が続いていることなど、診察時だけでは見えにくい実情を診断書に反映していただけました
主治医に軽めの見立てをされた方も、あきらめる前に一度ご相談ください。
ご自身のケースが当てはまるか、迷っていませんか
障害年金は、同じ傷病でも初診日や日常生活の状況によって結果が変わります。記事だけでは判断がつかない部分も多いので、気になる点があればお気軽にお声かけください。ご依頼前のご相談は無料です。
※LINEと問い合わせフォームは24時間受け付けています。しつこい勧誘は一切ございません。
強迫性障害は障害年金の対象になりますか?
強迫性障害だけでは、原則として障害年金の対象になりません。ただし、双極性障害など認定の対象となる精神疾患と併発している場合は、その精神疾患で請求できます。
強迫性障害は、障害認定基準では「神経症」に分類されます。認定基準は、神経症について「原則として、認定の対象とならない」と定めています。ただし「精神病の病態を示しているもの」は、統合失調症または気分(感情)障害に準じて扱われます。
双極性障害は気分(感情)障害に当たり、認定の対象です。認定基準は気分(感情)障害について、現在の症状だけでなく「症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮する」としています。強迫症状やパニック発作で外出できないといった生活上の困難も、症状の経過とあわせて診断書や病歴・就労状況等申立書に具体的に書くことが大切です。精神の病気のうち対象になるものは「精神の病気でも障害年金の対象になる?」で整理しています。
認定結果
| 年金の種類・等級 | 障害基礎年金2級 |
|---|---|
| 年金額 | 約83万円(認定当時の年額) |
主治医からは3級相当と見られていましたが、躁うつの波による日常生活の制限を診断書に正確に反映できたことで、2級と認定されました。
よくある質問
Q. うつ病から双極性障害に診断名が変わったら、初診日はいつになりますか?
A. 同じ病気の経過であれば、最初にうつ病で受診した日が初診日になります。診断名が変わっても初診日は後ろにずれないため、最初の医療機関の受診記録が必要です。
Q. 障害基礎年金で3級に当たる状態の場合、年金は受け取れますか?
A. 受け取れません。障害基礎年金の等級は1級と2級だけです(国民年金法第30条第2項)。3級があるのは、初診日に厚生年金に加入していた場合の障害厚生年金です。
まとめ:見立てが軽めでも、生活の実態が伝われば結果は変わる
今回の事例は、双極性感情障害に強迫性障害などを併発し、長期にわたって治療を続けてきた方のケースです。受診記録の整理で初診日を立証し、依頼文で生活の実態を主治医に伝えたことで、障害基礎年金2級の認定につながりました。
結果は一人ひとりの症状や生活の状況によって異なりますが、主治医の見立てが軽めだったことだけで、申請をあきらめる必要はありません。中四国にお住まいの方はもちろん、全国からのお問い合わせに対応しています。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
参考資料
・国民年金法 第30条(e-Gov法令検索)
・障害認定基準 第8節 精神の障害(日本年金機構)
・用語集「初診日」(日本年金機構)
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