監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は国民年金法・社会保険労務士法・日本年金機構法、および日本年金機構の公表情報に基づき作成しています。
この記事の結論
障害年金の無料相談で聞かれるのは、主に初診日・現在の症状や生活の困りごと・年金の加入状況の3つです。
診断書や正確な初診日が分からなくても、口頭で分かる範囲を伝えれば相談は始められます。
「まだ申請するか決めていない」段階でも相談してよく、相談したこと自体で申請の義務が生じるわけではありません。
「相談に行きたいけれど、何を聞かれるのか分からず不安」というお声を、よくいただきます。うまく症状を説明できるか、資料が足りているか、心配になってしまう方も少なくありません。
実際の相談では、聞かれる内容はある程度決まっています。この記事では、無料相談で実際に聞かれること、事前に準備しておくと役立つもの、そして相談すること自体への不安について、社会保険労務士の視点からまとめてご紹介します。完璧な準備は必要ありません。何をどう聞かれるかが事前に分かっているだけでも、気持ちの負担はかなり軽くなるはずです。
障害年金の無料相談では、どんなことを聞かれますか?
主に聞かれるのは、初診日・現在の症状や生活の困りごと・これまでの年金の加入状況の3つです。
この3点は、国民年金法第30条が定める障害基礎年金の支給要件(初診日・障害の状態・保険料納付要件)に対応しています。この3つが分かれば、おおまかな見通しを立てられるため、多くの相談窓口で共通して聞かれる内容になっています。
| 聞かれる項目 | 具体的に聞かれる内容 | なぜ聞かれるか |
|---|---|---|
| 初診日 | いつ、何科の病院を受診したか | 保険料納付要件の確認や提出先の判断に必要(国民年金法第30条) |
| 現在の症状・生活の困りごと | 仕事や家事、対人関係でどんな支障があるか | 障害の程度(等級)のおおまかな見立てに必要 |
| 年金の加入状況 | 学生時代・就職後の年金の種類(国民年金・厚生年金) | 障害基礎年金か障害厚生年金かの判断に必要 |
| 治療の経過 | 転院の有無、現在の通院頻度、服薬状況 | 診断書を取得する際の見通しを立てるため |
初診日について聞かれること
「いつ頃、どんな症状で、何科を受診しましたか」といった形で聞かれます。年月日まで正確に分からなくても、「〇年の春頃」「転職した年の秋」といったあいまいな記憶で問題ありません。正確な特定は、相談の中で一緒に進めていきます。当時の診察券やお薬手帳、家計簿のメモなどが手がかりになることもあります。
症状や生活への影響について聞かれること
「仕事はできていますか」「家事や身の回りのことはどのくらい自分でできますか」など、日常生活の具体的な場面について聞かれます。診断名よりも、実際にどんな支障が出ているかのほうが重視される場面が多くあります。「うまく言えるか分からない」という方も多いのですが、思いつく範囲で構いません。
年金の加入状況や治療の経過について聞かれること
学生時代は国民年金だったか、就職後は厚生年金に加入していたかなど、おおまかな加入状況を聞かれます。あわせて、転院の有無や現在の通院頻度、服薬の状況についても確認されます。これらは、今後どのように診断書を準備していくかを一緒に考えるための情報になります。
相談前に、何を準備すればいいですか?

絶対に必要なものはありません。分かる範囲の情報とメモがあれば十分です。
準備が完璧でなくても、相談は始められます。ただし、以下のようなものが手元にあると、より具体的な話がしやすくなります。
あると役立つもの
初診日や通院歴を書き出した簡単なメモ、診察券やお薬手帳、基礎年金番号が分かるもの(年金手帳やねんきん定期便)があると、相談がスムーズに進みます。手元になければ、口頭で分かる範囲を伝えるだけでも大丈夫です。本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証など)も、念のため持参すると安心です。
なくても相談できるもの
診断書、正確な初診日、確定した病名は、この段階では必要ありません。これらは申請の準備を進める中で、専門家と一緒に整理していくものです。「情報が足りないから相談できない」と思い込んで、相談自体を先延ばしにする必要はありません。
診断書がまだなくても相談できますか?
できます。診断書は申請の直前に取得するものなので、相談の時点では必要ありません。
むしろ、診断書を取得する前に相談したほうが、どの医師にどのタイミングで依頼すればよいか、見通しを立てやすくなります。診断書は一度取得すると再取得に時間も費用もかかるため、内容を確認してから依頼したい書類でもあります。先に相談しておくことで、記載してもらいたい内容の伝え方についても事前にアドバイスを受けられます。主治医との関係を保ちながら、必要な情報を過不足なく記載してもらうための準備にもなります。
相談したら、必ず申請しないといけませんか?
いいえ。相談だけで終えても問題ありません。
「まだ迷っている」「制度について知りたいだけ」という段階での相談も歓迎されます。話を聞いたうえで、申請するかどうかを後から決めても遅くはありません。相談したことで、何らかの手続きが自動的に始まるわけでもなく、その場で契約書にサインを求められるようなこともありません。
相談したら、その場で申請の手続きを進めないといけない気がして、なかなか一歩が踏み出せませんでした。
社労士相談と申請は別のものなので、まずは話を聞くだけでも大丈夫ですよ。制度が分かったうえで、申請するかどうかをゆっくり考えていただければと思います。
相談した内容は、他の人に知られませんか?

社会保険労務士に相談した内容は、法律で秘密を守る義務が定められています。
社会保険労務士法第21条により、業務上知り得た秘密を正当な理由なく漏らすことは禁止されており、違反した場合は罰則も定められています(同法第32条の2)。この義務は、社会保険労務士でなくなった後も続きます。病気や生活の状況について詳しく話すことに抵抗がある方も、安心して相談していただけます。
年金事務所での相談も同様です
年金事務所や街角の年金相談センターで対応する職員についても、日本年金機構法第25条により、職務上知り得た秘密を漏らしてはならないと定められています。窓口の種類にかかわらず、相談内容が無関係な第三者に伝わることはありません。
相談する窓口によって、聞かれることは変わりますか?
基本的な質問内容は共通していますが、社会保険労務士はより踏み込んだ質問をすることがあります。
年金事務所や街角の年金相談センターでは、主に制度の説明と手続きの案内が中心になります。社会保険労務士は、それに加えて、実際に受給できる見込みを判断するために、生活状況や就労状況をより詳しく確認することがあります。どちらが正しいというものではなく、聞きたい内容に応じて窓口を使い分けていただければ大丈夫です。
年金事務所・街角の年金相談センターで聞かれること
初診日や年金の加入状況など、制度上の基本的な要件を確認する質問が中心です。窓口では、対象になりそうかどうかの一般的な説明と、必要な書類の案内までを行います。
社会保険労務士に相談したときに、追加で聞かれること
基本的な要件に加えて、日常生活での具体的な困りごとや、これまでの通院経過、家族構成(子の加算などに関わるため)まで踏み込んで聞かれることがあります。これは、実際の等級の見込みや、診断書に反映してほしい内容を見立てるために必要な情報だからです。踏み込んだ質問をされること自体は、決して不審なことではなく、より精度の高い見通しを立てるための材料集めだとご理解ください。
よくある質問
Q. 相談にかかる時間はどのくらいですか?
A. 初回相談は30分から1時間程度が目安です。状況が複雑な場合や、聞きたいことが多い場合は、もう少し時間がかかることもあります。
Q. 電話やLINEでの相談でも、同じことを聞かれますか?
A. 基本的に聞かれる内容は同じです。ただし文字でのやり取りが中心のLINE相談では、まず簡単な状況を伺い、詳しい内容は追ってお伺いする形になることもあります。電話相談では、その場で会話しながら状況を整理していきます。
Q. 家族に付き添ってもらうことはできますか?
A. 可能です。ご本人が説明しにくい場合、ご家族が状況を補足してくださることで、かえって相談がスムーズに進むこともあります。お一人での相談に不安がある場合は、遠慮なくご相談ください。
Q. 症状をうまく言葉で説明できるか不安です。大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。うまく話せなくても、質問形式で引き出しながら整理していきますので、伝えたいことを最初から完璧にまとめておく必要はありません。メモを見ながら話しても、途中で言葉に詰まっても問題ありません。
Q. 相談後、すぐに結果は分かりますか?
A. 「対象になるかどうかの確定的な結果」はその場では分かりません。実際の等級は、診断書の内容をもとに日本年金機構が審査して決定するため、相談ではあくまで見立てや今後の進め方をお伝えする形になります。おおよその可能性や、次に何を準備すればよいかは、相談の中でお伝えできます。
Q. 相談は1回だけですか?何度でも聞いていいですか?
A. 窓口や事務所にもよりますが、複数回の相談に対応しているところも多くあります。1回で決めなければと気負う必要はありません。
Q. 相談に年齢や病気の種類の制限はありますか?
A. 特にありません。身体の障害だけでなく、精神疾患や難病、内部疾患など、幅広い病気やケガについて相談できます。「これくらいで相談していいのか分からない」という段階でも問題ありません。
まとめ:完璧な準備がなくても、まずは話を聞いてみましょう
障害年金の無料相談で聞かれるのは、初診日・現在の症状や生活の困りごと・年金の加入状況が中心です。これは国民年金法第30条が定める支給要件に対応した、ごく基本的な質問です。診断書や正確な初診日が分からなくても、相談を始めること自体に支障はありません。相談内容は法律で守秘義務が定められているため、詳しい事情を話すことにも心配はいりません。
相談したからといって、申請の義務が生じるわけでもありません。話を聞いたうえで、申請するかどうかをゆっくり考えていただければと思います。分からないことは相談の場でその都度質問して構いません。香川・岡山・愛媛にお住まいの方も、まずは気軽な気持ちでご相談ください。
来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
参考資料
- 国民年金法 第30条(e-Gov法令検索)
- 社会保険労務士法 第21条・第32条の2(e-Gov法令検索)
- 日本年金機構法 第25条(e-Gov法令検索)
- 日本年金機構「障害年金(受給要件・請求時期・年金額)」
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皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。
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※しつこい営業等は一切行いませんのでご安心ください。
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