障害年金には、受給者に配偶者や子どもがいる場合に年金額が上乗せされる「加算」の仕組みがあります。
ところが、「主たる生計維持者でなければ加算がつかない」「夫婦ともに障害年金を受給していると子の加算がどちらにもつかない」といった誤解が実務でも少なくありません。
このコラムでは、加算がつく条件・生計同一要件の正しい意味・夫婦受給時の取り扱いを整理します。
障害年金の加算とはどのような制度か
障害年金の加算は、受給者に扶養すべき家族がいる場合に、基本の年金額に上乗せされる仕組みです。対象となるのは「配偶者」と「子」の2種類で、それぞれ要件が異なります。
加算の対象と2026年度の金額
2026年度の加算額(年額)は以下のとおりです。
- 配偶者加算(障害厚生年金のみ):243,800円
- 子の加算(障害基礎年金・障害厚生年金の両方):1人目・2人目は各243,800円、3人目以降は各81,300円
配偶者加算は障害厚生年金にのみ設けられています。障害基礎年金には配偶者加算はなく、子の加算のみが対象となります。この点はよく混同されますので注意が必要です。
「子」とはどの範囲を指すか
加算の対象となる「子」は、次のいずれかに該当する必要があります。
- 18歳到達年度の末日(3月31日)までにある子
- 20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子
高校卒業前後の年齢が基準となりますが、障害のある子どもについては20歳未満まで対象が広がります。
加算がつくための「生計同一要件」とは
加算を受けるためには、対象となる配偶者や子が「受給者によって生計を維持されていること」が必要です。これを生計同一要件と呼びます。ここに誤解が生じやすいポイントがあります。

「主たる生計維持者」でなくても加算はつく
「自分は家計のメインではないから、配偶者への加算はつかないのでは?」というご相談をよく受けます。しかし、これは誤解です。
生計同一要件は「主たる生計維持者であること」を求めていません。受給者が配偶者や子と生計を同じくしていること、つまり同居しているか、仕送りや経済的な援助を行っていることが確認できれば要件を満たします。
たとえば、配偶者が働いて世帯の収入の大部分を担っている場合でも、受給者本人が家族と生活を共にしていれば、原則として生計同一と認められます。
生計同一の確認方法と収入要件
生計同一かどうかは、原則として住民票の住所が同じであることで確認されます。別居の場合は、仕送りの実態や経済的なつながりを証明する書類が必要になることがあります。
また、加算の対象となる配偶者・子には収入要件もあります。前年の収入が850万円未満(または所得655.5万円未満)であることが必要です。この金額を超える収入がある場合は、加算の対象から外れます。
配偶者が正社員でフルタイムで働いているのですが、それでも配偶者加算はつきますか?
社労士配偶者の方が働いていても、収入が850万円未満であれば加算の対象になります。「主たる生計維持者かどうか」は問いません。同居して生活を共にしていること、そして収入要件を満たしていることが確認できれば、加算はつきます。
夫婦ともに障害年金を受給している場合はどうなるか
夫婦がともに障害年金を受給している場合、加算の取り扱いについて「どちらの年金にも加算がつかないのでは?」という不安の声をよく聞きます。実際の取り扱いを整理します。
配偶者加算は互いにつかない
夫婦がともに障害厚生年金を受給している場合、互いへの配偶者加算はつきません。配偶者加算は、配偶者自身が老齢年金・障害年金・遺族年金などを受給していないことが条件となっているためです。
一方が障害年金を受給し、もう一方は受給していない場合は通常どおり加算の対象となります。
子の加算は夫婦それぞれの年金につく―これは意外と知られていません
「夫婦ともに障害年金を受給していると、子の加算はどちらか一方にしかつかないのでは?」というご質問をよくいただきます。しかし、これは誤解です。
子の加算は障害基礎年金の制度です。夫婦ともに障害基礎年金(1級または2級)を受給している場合、子の加算は夫婦それぞれの障害基礎年金につきます。たとえばお子さんが1人いる場合、夫の年金にも妻の年金にも子の加算がつくため、世帯全体では子1人に対して2人分の加算額を受け取れることになります。
「どちらか一方だけ」と思い込んで届出をしていないケースも見受けられます。すでに夫婦ともに受給中で子の加算の届出をまだ行っていない方は、早めに年金事務所へご確認ください。
届出が遅れると加算が受けられない期間が生じる
子の誕生や婚姻など、加算の対象となる事由が発生したときは、速やかに日本年金機構へ届出を行う必要があります。届出が遅れると、その間の加算は原則としてさかのぼって受け取ることができません。
加算に関係する変化(結婚・出産・子の18歳到達・配偶者の年金受給開始など)があった際は、早めに年金事務所へ相談することをおすすめします。
加算が途中で止まるケースにも注意が必要
加算は一度認められれば永続するわけではありません。対象者の状況が変わると、加算が停止・消滅することがあります。
加算が停止・消滅する主な事由
- 配偶者が老齢年金・障害年金・遺族年金を受給し始めた
- 配偶者の前年収入が850万円以上になった
- 子が18歳到達年度の末日を過ぎた(障害のない場合)
- 子が結婚した
- 受給者と配偶者・子が離婚または生計が別々になった
これらの事由が生じたときは、受給者本人が届出を行う義務があります。届出を怠って加算を受け続けた場合、過払い分の返還を求められることがあります。
不明な点は年金事務所か社労士に確認を

加算の要件は、家族構成や双方の受給状況によって判断が複雑になることがあります。「自分のケースでは加算がつくのか」「届出のタイミングはいつが正しいのか」など、不安な点があれば、お住まいの地域の年金事務所か、障害年金専門の社労士に相談されることをおすすめします。
香川県内には高松東・高松西・善通寺の各年金事務所が、岡山県内には岡山東・岡山西・倉敷・津山・高梁の各年金事務所があります。愛媛県内は松山東・松山西・今治・新居浜・宇和島でご相談いただけます。
まとめ:加算の条件を正しく理解して、受け取れる年金を確実に
障害年金の子・配偶者加算について、要点を整理します。
- 配偶者加算は障害厚生年金のみ。障害基礎年金には子の加算のみ
- 生計同一要件は「主たる生計維持者であること」ではなく「生活を共にしていること」
- 配偶者が働いていても収入850万円未満であれば加算の対象になる
- 夫婦ともに受給している場合、配偶者加算は互いにつかない。子の加算はどちらか一方につく
- 加算に関わる変化は速やかに届出が必要。遅れると遡及受給できない
加算の要件は個々の家族構成によって判断が変わる部分もあります。香川・岡山・愛媛を中心に中四国地域の方からのご相談も多くお受けしていますので、ご自身のケースで気になることがあればお気軽にお問い合わせください。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
LINEでのご相談手順(24時間受付)
当センターでは、外出が難しい方でもスマートフォン一つでご相談いただけるよう、公式LINEでの無料相談・受給判定を承っております。
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