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診断名が「抑うつ状態」でも障害年金は申請できる?

抑鬱状態申請1

監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は国民年金法・障害認定基準・診断書(精神の障害用)記載要領に基づき作成しています。

この記事の結論

診断名が「抑うつ状態」でも、障害年金は申請できます。

審査では病名欄の言葉より、診断書に書かれるICD-10コードと病態が見られるため、診断書を頼む前に、どのコードになるかを主治医に確認してください。

コードがF4(神経症性障害など)だと原則として対象外ですが、うつ病などの病態を示していれば、その病態とコードを備考欄に書いてもらうことで審査の対象になります。

診察のたびに「抑うつ状態ですね」と言われ、診断書や会社に出す書類にもその言葉が書かれている。「これは正式な病名なのか」「障害年金の対象になるのか」と迷う方は少なくありません。

この記事では、「抑うつ状態」が審査でどう扱われるか、ICD-10コードで何が変わるか、診断書を頼む前に確認しておきたいことを、日本年金機構の資料をもとに整理します。

目次

診断名が「抑うつ状態」でも、障害年金は申請できますか?

申請できます。審査で見られるのは、診断書に書かれる傷病名とICD-10コード、そして実際の病態です。

「抑うつ状態」は、状態を表す言葉

「抑うつ状態」は、気分の落ち込みや意欲の低下が続いている状態を表す言葉です。うつ病のほか、適応障害や双極性障害のうつの時期など、いくつもの病気で使われます。この言葉だけでは、どの病気として審査されるかが分かりません。

診断書には傷病名とコードを書く

診断書(精神の障害用)の記載要領は、傷病名の欄に「障害年金を請求する傷病名及び該当する ICD-10 コードを記載してください」と医師に求めています。ICD-10は、世界保健機関(WHO)が定めた病気の分類で、精神の病気には「F」から始まるコードが付きます。

ICD-10コードによって、審査の扱いはどう変わりますか?

F3(気分[感情]障害)なら認定の対象です。F4(神経症性障害など)なら、原則として認定の対象になりません。

ICD-10の区分例障害年金での扱い
F30-F39 気分[感情]障害F32 うつ病エピソード気分(感情)障害として認定の対象
F40-F48 神経症性障害,ストレス関連障害及び身体表現性障害F43 重度ストレスへの反応及び適応障害原則として対象外。精神病の病態を示す場合は例外

障害認定基準の定め

障害認定基準 第8節は「神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない」としています。続けて「ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う」と例外を置いています。

抑鬱状態申請2

自分の診断書にどのコードが書かれるのか、考えたこともありませんでした。

社労士

多くの方がそうです。診断書をお願いするときに「どの病名とコードになりそうですか」と主治医に聞いてみると、見通しが立ちやすくなりますよ。

ご自身のケースが当てはまるか、迷っていませんか

障害年金は、同じ傷病でも初診日や日常生活の状況によって結果が変わります。記事だけでは判断がつかない部分も多いので、気になる点があればお気軽にお声かけください。ご依頼前のご相談は無料です。

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コードがF4だった場合は、どうすればいいですか?

今の病態がうつ病などの病態を示しているかを、主治医に確認してください。示している場合は、その病態とICD-10コードを備考欄に書いてもらいます。

記載要領が定める備考欄の書き方

記載要領は、傷病名の欄に「神経症圏(ICD-10 コードが F4)の傷病名を記入した場合であっても」、気分(感情)障害などの病態を示しているときは「その病態と ICD-10 コードを記入してください」としています。障害認定基準も、認定にあたっては、病態がICD-10のどの区分に当たるかを考慮して判断するとしています。

病名を変えてもらうのではない

どの病名やコードを付けるかは、医師の医学的な判断です。お願いするのは病名の変更ではなく、今の病態についての医師の見立てを、記載要領に沿って書いてもらうことです。症状の経過や生活の様子をメモにして渡すと、医師も判断しやすくなります。

診断書を頼む前に、何を確認しておけばいいですか?

傷病名とICD-10コード、初診日、そして日常生活の困りごとの3つです。

初診日は、病名が付いた日ではない

国民年金法第30条第1項と厚生年金保険法第47条第1項は、初診日を、その病気やけがについて「初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日」としています。「抑うつ状態」と言われて最初に受診した日や、その前に同じ症状で内科にかかった日が、初診日になることがあります。

抑鬱状態申請3

日常生活の困りごとを書き出す

等級は、病名ではなく日常生活や仕事への影響で決まります。食事、身の回りのこと、通院や服薬、人との関わりなどで困っていること、家族に手伝ってもらっていることを書き出して、主治医に渡しましょう。調子の悪い日がどのくらいの頻度であるかも、あわせて書いておくと伝わりやすくなります。

よくある質問

Q. 病名が「抑うつ状態」から「うつ病」に変わったら、初診日も変わりますか?

A. 原則として変わりません。初診日は病名が付いた日ではなく、同じ病気の症状で初めて医師の診療を受けた日だからです。最初の医療機関で受診状況等証明書を取る必要があるかを確認しましょう。病名が変わった経過も、申立書に書いておくと伝わります。

Q. 抑うつ状態で、3級に認定されることはありますか?

A. あります。気分(感情)障害として審査され、労働が制限を受ける状態であれば3級の対象です。ただし3級は障害厚生年金だけの等級で、初診日に厚生年金に入っていたことが必要です(厚生年金保険法第47条第2項)。

Q. 主治医に病名を変えてもらうよう頼めますか?

A. 頼むことはできません。病名やコードは、医師が医学的に判断するものです。伝えるべきなのは、症状がいつから、どのくらい続いているかと、生活や仕事への影響です。その情報が、医師の判断の大切な材料になります。

Q. 抑うつ状態のほかに、発達障害などの診断もある場合は?

A. 両方を診断書に書いてもらいます。記載要領は、複数の精神疾患がある場合、障害年金を請求する全ての傷病名とICD-10コードを記載するよう求めています。抑うつが発達障害の特性から生じている場合もあるため、経過も伝えましょう。

まとめ:「抑うつ状態」は、コードと病態で確かめる

「抑うつ状態」という言葉だけで、申請をあきらめる必要はありません。大切なのは、診断書にどの傷病名とICD-10コードが書かれるか、そして今の病態です。診断書を頼む前に主治医と確認し、症状の経過や生活の困りごとをメモにして渡しましょう。病名やコードの見通しが立たず迷うときは、お気軽にご相談ください。

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参考資料

・国民年金法 第30条(e-Gov法令検索)
・障害認定基準 第8節 精神の障害(日本年金機構)
・診断書(精神の障害用)記載要領(日本年金機構)
・疾病、傷害及び死因の統計分類(政府統計の総合窓口 e-Stat)

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この記事を書いた人

請川 智章のアバター 請川 智章 社会保険労務士・障害年金専門

香川県観音寺市を拠点とする障害年金専門の社会保険労務士
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