監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は日本年金機構の障害認定基準・精神の障害に係る等級判定ガイドライン・健康保険法に基づき作成しています。
この記事の結論
リワーク(復職支援プログラム)に通っていることだけで、障害年金の審査で不利になることはありません。
障害認定基準は、実際に働いている人についても「直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず」と定めています。
ただし通所できていることだけが書類に残ると回復と受け取られるおそれがあるため、欠席の多さや受けている支援まで伝えることが大切です。
「リワークに通い始めたら、もう働けると思われるのでは」「復職を目指していることが、審査でマイナスにならないか」。うつ病などで休職し、復職に向けて準備している方から、よくいただくご質問です。
この記事では、リワークに通っていることが審査でどう見られるか、不利に受け取られやすい場面、診断書や申立書で伝えたいこと、復職後の扱いを、国の資料をもとに整理します。
リワークに通っていると、障害年金の審査で不利になりますか?
リワークに通っていることだけで、不利になることはありません。審査されるのは、病気による日常生活や仕事の制限の程度です。
リワークは「働いている」状態ではない
リワークは、休職中の方が復職に向けて生活リズムや体力、集中力を整えるための支援プログラムです。医療機関などで行われ、仕事そのものではありません。通っていることは、症状が残っているからこそ支援を受けている状態ともいえます。
働いていても「直ちに回復」とは捉えない
障害認定基準は、気分(感情)障害などについて「現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず」としています。実際に働いている場合でさえこの考え方なので、リワークへの通所だけで回復と判断されるものではありません。障害年金は、障害の状態が国の定める等級に当てはまるかで判断されます(国民年金法第30条・厚生年金保険法第47条)。
どのような場合に、不利に受け取られやすいですか?
「通えている」「プログラムに参加している」という事実だけが書類に残り、実際の困難が伝わっていない場合です。書類に書かれていないことは、審査で考慮されにくくなります。
| 書類に残りやすいこと | あわせて伝えたい実態 |
|---|---|
| 週に数日、リワークに通っている | 体調不良による欠席・遅刻・早退の頻度 |
| プログラムに参加している | スタッフの個別の声かけや見守り、途中で休憩室に移ることが多いなど |
| 復職を予定している | 復職の時期が何度も延期されている、見通しが立っていない |
| 通所できている | 通所後は疲れて家事ができない、翌日は寝込んでしまう |

「できたこと」より「支えがあってできたこと」
等級判定ガイドラインは、就労について「援助や配慮が常態化した環境下では安定した就労ができている場合でも、その援助や配慮がない場合に予想される状態を考慮する」としています。リワークでも、支援があってようやく通えている実態を伝えることが大切です。
リワークには週3日通っていますが、半分くらいは休んでしまいます。それでも「通えている」と見られますか?
社労士休んでしまう頻度や、その日の体調こそ大切な情報です。診断書や申立書に実態が伝わるよう、一緒に整理しましょう。
ご自身のケースが当てはまるか、迷っていませんか
障害年金は、同じ傷病でも初診日や日常生活の状況によって結果が変わります。記事だけでは判断がつかない部分も多いので、気になる点があればお気軽にお声かけください。ご依頼前のご相談は無料です。
※LINEと問い合わせフォームは24時間受け付けています。しつこい勧誘は一切ございません。
診断書や申立書では、何を伝えればいいですか?
通所の頻度と欠席の多さ、受けている支援の内容、通所後の日常生活への影響を具体的に伝えます。
主治医にはメモで伝える
リワークでの様子は、診察の短い時間では主治医に伝わりきらないことがあります。月にどれくらい休んだか、どの場面でスタッフの支援を受けたか、帰宅後にどう過ごしているかをメモにまとめて渡すと、診断書に実態が反映されやすくなります。
申立書には、休職からの経過を途切れなく
病歴・就労状況等申立書には、休職に至った経緯、リワークを始めた時期と通所の実態、復職の見通しを順に書きます。リワークのスタッフから受けた評価や記録があれば、本人の記憶を補う材料として役立ちます。
復職したら、障害年金はどうなりますか?
復職したことだけで、直ちに不支給や支給停止になるわけではありません。仕事の内容や職場での援助、出勤状況が考慮されます。
ガイドラインは「出勤状況への影響」を見る
等級判定ガイドラインは、「発病後も継続雇用されている場合は、従前の就労状況を参照しつつ、現在の仕事の内容や仕事場での援助の有無などの状況を考慮する」とし、「精神障害による出勤状況への影響(頻回の欠勤・早退・遅刻など)を考慮する」としています。

短時間勤務や業務の軽減は記録しておく
復職後に短時間勤務や業務の軽減、配置転換などの配慮を受けている場合は、その内容を書き留めておきましょう。更新の診断書や、今後の請求のときに、職場での援助の実態を伝える材料になります。受給中の方は、更新で提出する障害状態確認届でも、こうした就労の実態が見られます。
よくある質問
Q. 休職中でリワークに通っている間も、障害年金を請求できますか?
A. 請求できます。休職中であることや、リワークに通っていることは請求の妨げになりません。初診日や保険料の納付要件を満たし、障害認定日以降に一定の障害の状態にあれば、申請の対象になります(国民年金法第30条)。
Q. 傷病手当金を受けている間でも、請求できますか?
A. 請求できます。ただし同じ病気で障害厚生年金を受けられるようになると、傷病手当金は調整されます(健康保険法第108条第3項)。障害基礎年金だけの場合は調整されません。受け取る時期が重なる場合は、あとで返還が必要になることもあります。
Q. リワークを途中でやめた場合、不利になりますか?
A. 不利になるとは限りません。症状が重くて通い続けられなかった場合は、その事情自体が日常生活や仕事の制限を示す情報になります。やめた理由と時期を主治医に伝え、病歴・就労状況等申立書にも書いておきましょう。
Q. 精神科デイケアに通っている場合も、同じ考え方ですか?
A. 同じ考え方です。精神科デイケアに通っていることだけで不利になることはありません。通所の頻度、休みがちかどうか、スタッフからどのような援助を受けているかを、診断書や申立書で具体的に伝えることが大切です。
まとめ:リワークは「支援を受けて通っている実態」を伝える
リワークに通っていることだけで障害年金の審査が不利になることはなく、大切なのは日常生活や仕事の制限の実態です。まずは通所の頻度や欠席の多さ、受けている支援を書き出し、主治医と共有するところから始めてみてください。中四国にお住まいの方はもちろん、全国からのお問い合わせに対応しています。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
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参考資料
・国民年金法 第30条(e-Gov法令検索)
・健康保険法 第108条(e-Gov法令検索)
・国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第8節 精神の障害(日本年金機構)
・国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン(日本年金機構)
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