監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は精神の障害に係る等級判定ガイドライン・診断書記載要領・日本年金機構の公表情報に基づき作成しています。
この記事の結論
精神の障害年金では、通院頻度だけで等級が決まることはなく、「月1回以上」といった回数の決まりもありません。
ただし等級判定ガイドラインは「療養状況」として通院の頻度や治療内容、服薬状況も考慮するとしています。
通院が少ない場合は、症状が重く外出できないなどの理由も考慮されるため、その理由が診断書や申立書で伝わっているかが大切です。
「2か月に1回しか通院していないけれど、障害年金は大丈夫だろうか」「通院が少ないと軽いと判断されるのでは」。精神の病気で通院している方から、よくいただくご質問です。
この記事では、通院頻度が審査でどう見られるか、通院が少ない場合の考え方、診断書のどこに書かれるか、診断書のために受診しておくべき時期を、国の資料をもとに整理します。
通院頻度は、障害年金の審査に影響しますか?
通院頻度だけで等級が決まることはありません。ただし「療養状況」の一つとして、審査で考慮されます。
「月1回以上」という決まりはない
障害年金は、障害の状態が国の定める等級に当てはまるかで判断されます(国民年金法第30条・厚生年金保険法第47条)。何日に1回通院しなければならないという決まりはなく、月1回でも2〜3か月に1回でも、それだけで不利になるわけではありません。
ガイドラインは「療養状況」として考慮する
精神の障害に係る等級判定ガイドラインは、総合評価で考慮する要素の一つに「療養状況」を挙げ、「通院の状況(頻度、治療内容など)を考慮する」としています。薬物治療をしている場合は、その目的や内容、服薬状況も考慮されます。頻度は、生活の制限と合わせて全体の中で見られる要素です。
通院が少ないと、軽いと判断されますか?
通院が少ないことだけで軽いと判断されるわけではありません。通院が難しい理由があれば、その理由も考慮されます。ガイドラインは「通院や薬物治療が困難又は不可能である場合は、その理由や他の治療の有無及びその内容を考慮する」としています。
| 通院が少ない理由の例 | 伝えておきたいこと |
|---|---|
| 症状が重く、外出や受診ができない | 予約を守れない頻度、外出時に家族の付き添いが必要なことなど |
| 主治医の方針で間隔があいている | 通院の間も続いている生活の制限や家族の援助の内容 |
| 通院先が遠い、通院費の負担が大きい | 通院が難しい事情と、その間の服薬や療養の状況 |

理由が伝わらないと、実態より軽く見えることも
通院の間隔があいている理由が書類に書かれていないと、「状態が安定している」と受け取られるおそれがあります。通院できない時期の様子は、病歴・就労状況等申立書でも具体的に補いましょう。通院の付き添いや予約の管理を家族がしている場合も、その様子を書いておくと実態が伝わります。
しんどくて予約の日に行けず、結局2か月に1回くらいしか通えていません。不利になりますか?
社労士通院できない理由そのものが、症状の重さを示すこともあります。その事情が診断書や申立書に伝わるよう、一緒に整理しましょう。
ご自身のケースが当てはまるか、迷っていませんか
障害年金は、同じ傷病でも初診日や日常生活の状況によって結果が変わります。記事だけでは判断がつかない部分も多いので、気になる点があればお気軽にお声かけください。ご依頼前のご相談は無料です。
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通院頻度は、診断書のどこに書かれますか?
精神の診断書では、⑩「障害の状態」のイ欄に通院の頻度や治療内容が書かれます。
記載要領は「通院の頻度」の記入を求めている
日本年金機構の診断書(精神の障害用)記載要領は、⑩イ欄に「通院の頻度や治療内容」を記載するよう求めています。また共通事項として、通院や薬物治療が困難又は不可能である場合は、その理由や代わりの治療内容をできるだけ詳しく記載するよう定めています。
「通院と服薬」は日常生活能力の項目でもある
診断書裏面の日常生活能力の判定には「通院と服薬」の項目があり、自発的かつ規則的に通院・服薬ができるか、助言や援助が必要かが評価されます。家族の声かけがないと通院できない、薬の飲み忘れが多いといった様子も、主治医に伝えておきましょう。
診断書のために、いつ受診しておけばいいですか?
診断書に書く時期の3か月以内に、受診しておく必要があります。通院頻度が少ない方は、この時期に受診が入っているかを先に確かめましょう。
請求のときは「3か月以内」の状態が必要
日本年金機構は、障害認定日による請求の診断書を「障害認定日より3カ月以内の現症のもの」、障害認定日と請求日が1年以上離れている場合の直近の診断書を「年金請求日前3カ月以内の現症のもの」としています。今の状態で請求する事後重症請求(国民年金法第30条の2)でも、直近の受診が必要です。

更新のときも、提出期限前3か月以内の受診を
受給中の更新で提出する障害状態確認届(診断書)には、提出期限前3カ月以内の障害の状態が記入されている必要があります。誕生月の3か月前に書類が届くので、通院の予定がその期間に入っているかを早めに確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. 2か月に1回の通院でも、更新できますか?
A. 更新できます。通院の間隔そのものが更新の条件になっているわけではありません。ただし障害状態確認届には提出期限前3カ月以内の状態を書いてもらう必要があるため、その期間に受診の予定が入っているかを確認しておきましょう。
Q. 通院の回数を増やせば、等級は上がりますか?
A. 回数を増やすだけで等級が上がることはありません。等級は日常生活や仕事の制限の程度を中心に、療養状況も含めて総合的に判断されます。必要な治療を続けながら、日常生活の困りごとを主治医に正確に伝えることが大切です。
Q. 薬を飲んでいないと、不利になりますか?
A. 飲んでいない理由によります。ガイドラインは服薬状況を考慮するとしていますが、副作用などで薬物治療が難しい場合は、その理由や他の治療の内容も考慮するとしています。理由を主治医から診断書に書いてもらえるよう伝えておきましょう。
Q. しばらく通院をやめていた時期があっても、請求できますか?
A. 請求できます。ただし、診断書を書いてもらう時期の3か月以内には受診が必要です。通院していなかった期間の生活の様子は、病歴・就労状況等申立書に途切れなく書くことで、その間の状態を審査に伝えることができます。
まとめ:通院頻度より「理由」と「生活の実態」が大切
精神の障害年金では、通院頻度だけで等級が決まることはなく、通院が少ない理由や日常生活の制限とあわせて判断されます。まずは今の通院のペースと、その理由を主治医と共有し、診断書を依頼する時期に受診が入っているかを確かめてみてください。中四国にお住まいの方はもちろん、全国からのお問い合わせに対応しています。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
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長期間の通院中断中も家族の支援が欠かせなかったうつ病で障害基礎年金2級が認められたケース|愛媛県
参考資料
・国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン(日本年金機構)
・精神の障害用の診断書を提出するとき(記載要領)(日本年金機構)
・障害基礎年金を受けられるとき(日本年金機構)
・障害状態確認届(診断書)が届いたとき(日本年金機構)
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