監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は国民年金法・社会保険労務士法・日本年金機構法・健康保険法、および日本年金機構の公表情報に基づき作成しています。
この記事の結論
障害年金を受け取っていることを、家族に知らせる法律上の義務はありません。
こちらから伝えない限り、日本年金機構や社会保険労務士から家族に連絡がいくことはありません。
ただし、家族の健康保険の扶養に入っている場合は、扶養の収入基準に障害年金額が含まれるため、手続きを通じて間接的に知られる可能性があります。
「障害年金を申請したいけれど、家族には知られたくない」というご相談を、これまで何度もいただいてきました。家族関係にはそれぞれ事情があり、心配をかけたくない、詮索されたくないなど、理由もさまざまです。同居している親族との関係が複雑な方や、まだ心の整理がついていない方にとって、この不安は申請そのものをためらう理由になりかねません。
結論として、家族に知らせる義務はありません。ただし、手続きの内容によっては、間接的に知られる可能性がある場面もいくつかあります。この記事では、どんな場合に情報が家族に及ぶ可能性があるのかを、社会保険労務士の視点から具体的に整理してご紹介します。漠然とした不安のまま申請を先延ばしにするより、どこに注意すればよいかを知っておいたほうが、気持ちの負担は軽くなるはずです。
障害年金の受給を、家族に知らせる義務はありますか?
法律上、家族に知らせる義務はありません。
障害年金の受給は、あくまで本人と日本年金機構の間の手続きです。相談を受ける社会保険労務士にも、社会保険労務士法第21条により秘密を守る義務が課されており、年金事務所等の職員についても、日本年金機構法第25条により同様の義務があります。ご本人の同意なく、相談内容や受給の事実が家族を含む第三者に伝えられることはありません。これは、どの窓口に相談した場合でも共通する原則です。
場面ごとに整理すると、こうなります
「知られる」「知られない」は場面によって異なります。まずは全体像を一覧で確認してみましょう。
| 場面 | 家族に伝わる可能性 | 配慮のポイント |
|---|---|---|
| 相談・請求の手続き | なし(守秘義務あり) | 特になし |
| 配偶者・子の加算 | なし(本人が書類提出) | 加算対象者がいなければ不要 |
| 健康保険の扶養 | あり(収入基準に算入) | 180万円未満なら扶養継続の余地あり |
| 国民年金保険料の申請免除(未受給時) | あり(世帯主の所得審査) | 受給開始後は法定免除で審査不要に |
| 年金証書・通知書の郵送 | 状況による | 私書箱や窓口受け取りの相談も可能 |
| 振込口座 | 状況による | 本人管理の口座を指定できる |
手続きの中で、家族の名前や情報を書く場面はありますか?
配偶者や子どもの加算がある場合は、続柄を確認する書類の提出が必要になります。逆に言えば、加算の対象となる家族がいなければ、この手続き自体が発生しません。
障害基礎年金の子の加算や、障害厚生年金の配偶者加給年金を受けるためには、続柄を確認できる戸籍謄本等の提出が必要です。これはご本人が窓口や郵送で提出するものであり、この手続きを通じて日本年金機構から家族に連絡が行くことはありません。単身で加算の対象になる家族がいない場合は、そもそもこうした書類の提出自体が不要です。書類を取り寄せる際に市区町村の窓口で理由を尋ねられることもありませんので、その点も安心していただければと思います。
家族の健康保険の扶養に入っている場合、どうなりますか?

扶養の収入基準に障害年金額が含まれるため、手続きを通じて間接的に知られる可能性があります。
健康保険の被扶養者として認定されるための年間収入基準は、通常130万円未満ですが、障害厚生年金を受けられる程度の障害がある方は180万円未満まで緩和されます。この収入には、非課税である障害年金の金額も合算されます。扶養している家族(被保険者)は、勤務先を通じて被扶養者の収入状況を定期的に確認・申告する立場にあるため、障害年金を受け取り始めたことが、この手続きを通じて伝わる可能性があります。基準額が180万円まで緩和されているため、障害年金だけであれば扶養の範囲内に収まるケースも少なくありません。
配偶者の扶養に入っている場合の国民年金(第3号被保険者)
配偶者の扶養に入っている方は、健康保険の被扶養者であると同時に、国民年金の第3号被保険者(保険料負担なし)にもなっています。健康保険の扶養から外れる際は、あわせて第3号被保険者ではなくなる届出も必要になり、この点も配偶者の勤務先を通じた手続きが発生します。届出をせずに放置すると、後日、国民年金の未納期間として扱われてしまうこともあるため、扶養の異動があった場合は早めに手続きすることをおすすめします。
夫の扶養に入っています。障害年金をもらい始めたら、夫に何か手続きをお願いしないといけないのでしょうか。
社労士年間の収入見込みが180万円を超える場合は、扶養から外れる手続きが必要になり、その過程でご主人の勤務先を通じた申告が発生します。180万円未満であれば、扶養はそのまま継続できることが多いです。まずは見込み額を一緒に確認しましょう。
実家暮らしで、まだ保険料の免除を申請していない場合はどうなりますか?
国民年金保険料の「申請免除」は世帯主の所得も審査対象になるため、間接的に家族の情報が必要になることがあります。
まだ障害年金を受給しておらず、保険料の納付が難しくて申請免除を利用する場合、本人・配偶者に加えて世帯主の前年所得も審査の対象になります。実家で親が世帯主になっている場合、この審査を通じて間接的に事情が伝わることがあります。一方、すでに障害基礎年金1級・2級を受給している方は、届出のみで保険料が免除される「法定免除」の対象となり、世帯主の所得審査自体が不要です。この違いを知らずに、免除の申請自体をためらってしまう方もいらっしゃいますが、状況によって扱いが変わる点を押さえておくと安心です。
年金証書や通知書は、どこに届きますか?

原則として、ご本人の住民票上の住所に郵送で届きます。
年金証書や年金額改定通知書などは、本人宛てに送付されます。家族と同居していて郵便物を見られる可能性がある場合は、私書箱の利用や、年金事務所窓口での受け取りについて相談できることもあります。気になる場合は、請求の準備を進める段階で一緒に確認しておくと安心です。封筒の差出人表記についても、通常は「日本年金機構」など事務的な表記にとどまり、内容が一目で分かるようなものではありません。
家族に伝えるかどうかは、自分で決めていいのですか?
はい。伝えるかどうかは、すべてご本人の判断に委ねられています。
家族に話すことで気持ちが楽になったという方もいれば、あえて話さない選択をされる方もいます。どちらが正しいということはありません。初診日の証明で当時の記憶をたどる際に、家族の協力が助けになる場面はありますが、それも「必ず頼らなければならない」ものではなく、他の資料で対応できることも多くあります。ご自身のペースで、伝えるタイミングや範囲を決めていただいて構いません。後になって気持ちが変わり、途中から家族に伝えることにした、という方もいらっしゃいます。
よくある質問
Q. 会社に知られることと、家族に知られることは違いますか?
A. 別の話です。会社への告知義務についても、原則として法律上の義務はありませんが、詳しくは会社への告知に関する記事をご参照ください。この記事では家族に限定してご説明しています。会社の同僚や上司に知られることと、家族に知られることでは、心配される内容も対策も異なります。
Q. 銀行口座に振り込まれることで、家族に気づかれませんか?
A. 家族と共用の口座や、通帳・明細を家族が確認できる状況であれば、振込によって気づかれる可能性はあります。気になる場合は、ご自身だけが管理する口座を受取先に指定することもできます。振込先の口座は、後から変更することも可能です。
Q. 家族に内緒で申請することはできますか?
A. 可能です。請求書の作成・提出はご本人が行うことができ、家族の同意や同席は必須ではありません。ただし、初診日の証明や病歴の整理で家族の記憶を頼る場面はあります。その場合も、事情を詳しく話さずに部分的に確認するだけで済むこともあります。
Q. 家族に相談せずに、社労士に依頼してもいいですか?
A. 問題ありません。ご依頼はご本人と社会保険労務士の契約であり、家族の同意は必要ありません。ご家族に知られたくない事情がある場合は、あらかじめお伝えいただければ、やり取りの方法にも配慮いたします。ご連絡はLINEやメールなど、ご希望の手段で進めることも可能です。
Q. 扶養から外れると、何か手続きが必要ですか?
A. 扶養している家族の勤務先を通じた手続きが必要になり、その後はご自身で国民健康保険や国民年金への加入手続きを行うことになります。扶養から外れるかどうかは、年間収入見込みが基準を超えるかどうかで決まります。障害年金だけであれば180万円という緩和後の基準内に収まることも多く、必ず外れるわけではありません。
Q. 家族に知られたくない理由があっても、相談できますか?
A. もちろんです。ご事情をお伺いしたうえで、連絡方法や書類の送付先など、できる範囲で配慮しながら進めさせていただきます。理由をすべてお話しいただく必要もありません。安心して、まずはご相談ください。
まとめ:知らせる義務はありませんが、間接的に伝わる場面もあります
障害年金の受給を家族に知らせる法律上の義務はなく、社会保険労務士や年金事務所の職員には守秘義務があるため、こちらから伝えない限り情報が漏れることはありません。一方で、家族の健康保険の扶養に入っている場合の収入基準や、保険料の申請免除における世帯主の所得審査など、制度上の手続きを通じて間接的に事情が伝わる場面はあります。逆に言えば、この2つの場面さえ気をつけておけば、それ以外で不意に知られてしまう心配は大きくありません。
ご自身の状況によって、どこまで配慮できるかは変わってきます。家族に知られたくない事情がある場合も、遠慮なくその旨をお伝えください。伝えるかどうかを決めるのは、最後まであなた自身です。
来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
参考資料
- 社会保険労務士法 第21条(e-Gov法令検索)
- 日本年金機構法 第25条(e-Gov法令検索)
- 健康保険法(被扶養者の範囲・認定基準/e-Gov法令検索)
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
LINEでのご相談手順(24時間受付)
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- 案内に沿って、現在のご状況をメッセージでお送りください。「障害年金が受給できるか知りたい」「診断書の依頼で迷っている」等、一言添えていただくとスムーズです。
- 内容を確認次第、社労士より直接、今後の進め方や受給の可能性について順次お返事させていただきます。
皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。
※スマートフォンからそのまま追加できます。
※しつこい営業等は一切行いませんのでご安心ください。
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