監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は国民年金法(e-Gov法令検索)および日本年金機構の公表情報に基づき作成しています。
この記事の結論
障害年金は、初診日そのものに年齢の下限はなく(20歳前でも対象になり得ます)、ただし実際に請求できるのは20歳に達してからです。
年齢の上限は、状態の変化を機に請求する「事後重症請求」の場合に限り、国民年金法第30条の2により65歳の誕生日の前々日までと定められています。
一方、障害認定日にさかのぼって請求する「認定日請求」自体には年齢の上限がありませんが、さかのぼって受け取れる年金は時効により直近5年分が限度です。
「障害年金は高齢になると申請できなくなるのでは」「まだ20歳になっていない子どもは対象外なのでは」といった年齢に関する疑問は、とてもよくいただくご質問です。
この記事では、障害年金の申請における年齢条件を、下限・上限それぞれの観点から整理します。請求の種類によって年齢の考え方が変わる点も、あわせて解説します。
「もう年齢的に手遅れかもしれない」と諦めてしまう前に、まずはご自身のケースがどの請求方法に当てはまるのかを知ることが、次の一歩につながります。
障害年金は何歳から申請できますか?
初診日そのものに年齢の下限はなく、20歳前に初診日がある傷病であれば対象になります。ただし、実際に請求できるのは20歳に達してからです。
20歳前傷病の障害基礎年金
国民年金は20歳から加入する制度のため、20歳前に初診日がある傷病については、保険料を納めていなくても障害基礎年金を請求できる特例が設けられています。国民年金法第30条の4に基づき、障害認定日が20歳に達する前であれば20歳に達した日、障害認定日が20歳に達した後であればその障害認定日を基準に、障害の状態にあるかどうかが判断されます。生まれつきの知的障害や先天性の疾患も、この特例の対象です。保険料納付要件が問われないため、赤ちゃんの頃から病気やケガを抱えている方でも、20歳になった時点で申請の準備を始めることができます。
20歳以降に初診日がある場合
20歳以降に初診日がある場合は、国民年金法第30条に基づき、初診日から1年6か月を経過した障害認定日の時点で障害の状態にあれば請求できます。この場合は年齢による下限は特になく、20代でも50代でも、初診日と保険料納付要件を満たしていれば申請の対象になります。年齢そのものより、初診日の時点でどの年金制度に加入し、保険料をどれだけ納めていたかという要件のほうが重要になる点を押さえておきましょう。
ここまでの内容を年齢の節目ごとに整理すると、次のようになります。
| 年齢の節目 | 障害年金との関係 |
|---|---|
| 0歳〜20歳未満 | この間に初診日があれば20歳前傷病の対象 |
| 20歳 | 20歳前傷病の場合、この日を基準に請求可能 |
| 20歳〜60歳未満 | 国民年金加入期間。通常の保険料納付要件が問われる |
| 60歳〜65歳未満 | 国民年金は任意加入。この間に初診日があっても請求可能 |
| 65歳の誕生日の前々日 | 事後重症請求の期限 |
| 65歳以降 | 認定日請求は年齢を問わず可能。事後重症請求は不可 |
障害年金は何歳まで申請できますか?
症状の変化をきっかけに請求する「事後重症請求」は、国民年金法第30条の2により65歳の誕生日の前々日までと定められています。この期限を過ぎると、事後重症請求はできなくなります。
なぜ「誕生日の前々日」なのか
法律上、年齢は誕生日の前日に加算されるという考え方(年齢計算ニ関スル法律)があるため、「65歳に達する日」は誕生日の前日にあたります。条文にある「65歳に達する日の前日まで」は、誕生日の前日のさらに前日、つまり誕生日の2日前までを意味します。実務では「65歳の誕生日の前々日まで」と説明されることが一般的です。カレンダー上で数えると分かりにくいため、迷った場合は年金事務所や専門家に具体的な期限日を確認しておくと安心です。
老齢年金を繰上げ受給していると請求できない
老齢基礎年金を60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて受給している方は、繰り上げた時点で65歳に達したとみなされるため、その時点で事後重症請求ができなくなります。将来的に障害年金を請求する可能性がある方は、老齢年金の繰上げ受給を選ぶ前に、この点を踏まえて慎重に検討することをおすすめします。なお、繰上げではなく通常どおり65歳から老齢年金を受給している方が、後から障害年金を請求するケースは、これとは扱いが異なります。詳しくは後述のFAQでご紹介します。
もうすぐ65歳になるんですが、症状が悪化してきていて申請を迷っています
社労士事後重症請求は65歳の誕生日の前々日が期限になりますので、迷われているなら早めに動かれることをおすすめします。診断書の準備には数週間かかることもありますので、今すぐご相談いただいても大丈夫です
障害認定日にさかのぼる請求にも、年齢の上限はありますか?
いいえ。障害認定日の時点にさかのぼって請求する「認定日請求」自体には年齢の上限がなく、65歳を過ぎていても請求できます。ただし、さかのぼって受け取れる年金は時効により直近5年分が限度です。

認定日請求と事後重症請求の違い
| 認定日請求 | 事後重症請求 | |
|---|---|---|
| 請求の基準時点 | 障害認定日(初診日から1年6か月後等) | 請求時点の障害の状態 |
| 年齢の上限 | なし | 65歳の誕生日の前々日まで |
| 支給開始 | 障害認定日の翌月から(最大5年遡及) | 請求した月の翌月から |
65歳以降でも認定日請求ができる理由
認定日請求は、あくまで過去のある時点(障害認定日)で障害の状態にあったかどうかを審査するものです。請求する時点の年齢を問わないため、65歳を過ぎてから初めて障害年金の存在を知り、過去の障害認定日にさかのぼって請求するケースも珍しくありません。ただし、さかのぼって受け取れる年金は時効により直近5年分が限度となるため、年数が経っているほど遡及できる金額は限られます。障害認定日から長い年数が経っている場合、当時の症状を証明する診断書の取得が難しくなることもあるため、思い当たる方は早めに動き出すことをおすすめします。
65歳以降に初診日がある場合、障害年金は申請できますか?

国民年金は原則60歳で被保険者資格を終えるため、65歳以降に初診日がある場合、新たに障害基礎年金が発生することは通常ありません。ただし、厚生年金に加入して働いている場合は状況が異なります。
65歳以降も厚生年金保険に加入して働いている方であれば、その期間中に初診日がある傷病について、障害厚生年金を請求できる可能性があります。一方、国民年金は60歳以降、任意加入を除いて被保険者ではなくなるため、65歳以降に初診日がある傷病で新たに障害基礎年金の対象となることは、実務上ほとんどありません。ご自身がどちらに該当するか分からない場合は、年金事務所や専門家に確認することをおすすめします。なお、65歳以降に初診日がある障害厚生年金であっても、3級までしか対象にならない点や、老齢厚生年金との選択が必要になる点には注意が必要です。
もう66歳なんですが、今から障害年金を申請するのは無理なんでしょうか
社労士過去に初診日がある傷病であれば、認定日請求として今から申請できる可能性があります。まずは初診日がいつだったかを一緒に整理させてください
20歳前傷病の場合、年齢条件で注意すべき点はありますか?
20歳前傷病の事後重症的な請求にも、国民年金法第30条の4により65歳の誕生日の前々日までという期限があります。20歳前傷病だからといって年齢の上限がなくなるわけではありません。
20歳になった時点では障害の状態になかった方が、その後悪化して65歳になるまでの間に障害等級に該当した場合も、期限内であれば請求できます。なお、20歳前傷病による障害基礎年金には、前年の所得に応じた支給制限があります。この点については、こちらの記事で詳しく解説しています。
障害年金にデメリットはある?申請前に知っておきたい影響
よくある質問
Q. 老齢年金の繰上げ受給をしていると、障害年金は請求できませんか?
A. 繰上げ受給をしている場合、事後重症請求はできなくなります。ただし、障害認定日にさかのぼる認定日請求であれば、繰上げ後でも請求できる可能性があります。繰上げ受給を検討している方は、将来の障害年金請求の可能性も踏まえて判断することをおすすめします。
Q. 障害認定日が65歳を過ぎてから来る場合はどうなりますか?
A. 初診日から1年6か月後の障害認定日が65歳を過ぎていても、認定日請求そのものには年齢の上限がないため、請求は可能です。障害認定日の時点で障害の状態にあったかどうかが審査されます。
Q. 更新(再認定)にも年齢の上限はありますか?
A. 更新(再認定)自体に年齢の上限はありません。受給権がある限り、何歳になっても更新の手続きは必要です。年齢を理由に更新が打ち切られることはなく、診断書に記載された症状の程度によって判断されます。
Q. 20歳の誕生日前に請求書を提出できますか?
A. 20歳前傷病の場合、20歳の誕生日の前日から請求書の提出が可能です。誕生日を待たずに事前準備を進めておくと、スムーズに手続きできます。
Q. 子どもの障害年金(20歳前傷病)はいつから申請できますか?
A. 20歳に達した時点で障害の状態にあれば、20歳の誕生日を基準に請求できます。診断書は20歳の誕生日の前後3か月以内のものが必要になるため、早めに準備を始めておくと安心です。療育手帳をお持ちの場合は、それを参考資料として活用できることもあります。
Q. すでに老齢年金を受給している場合、障害年金は請求できますか?
A. 請求すること自体は可能です。ただし、同じ期間について老齢年金と障害年金を両方受け取ることはできず、どちらか一方を選ぶ手続きが必要になるなど、通常のケースとは扱いが異なります。該当する方は、年金事務所や専門家に個別にご相談ください。
Q. 65歳を過ぎてから初診日の証明が必要になった場合はどうすればいいですか?
A. 年数が経っているほどカルテが残っていない可能性が高くなりますが、第三者証明など代わりの手段があります。早めに専門家へ相談し、初診日を証明できる資料が残っているか確認することをおすすめします。診察券やお薬手帳など、身近な資料が証拠になることもあります。
まとめ:年齢の壁があるのは事後重症請求だけです
障害年金の申請に年齢の下限は実質なく、20歳前傷病であれば20歳から、それ以降に初診日がある傷病であれば年齢を問わず請求できます。年齢の上限が関わってくるのは、症状の変化をきっかけに請求する事後重症請求の場合に限られ、65歳の誕生日の前々日までという期限があります。一方、障害認定日にさかのぼる認定日請求には年齢の上限がありませんが、さかのぼって受け取れる年金は時効により直近5年分が限度です。老齢年金を繰り上げて受給している方や、すでに老齢年金を受給している方は、通常のケースと扱いが異なる部分がありますので、該当する方は個別にご確認ください。
「もう年齢的に無理かもしれない」と諦める前に、ご自身がどの請求方法に当てはまるのか、一度確認してみることをおすすめします。年齢だけで判断せず、初診日と障害認定日を整理することが第一歩です。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
参考資料
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