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脊髄小脳変性症で障害年金を申請するときの認定基準

脊髄小脳変性症1

監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は日本年金機構の障害認定基準に基づき作成しています。

この記事の結論

脊髄小脳変性症には専用の等級表がなく、「神経系統の障害」の認定要領に基づき、肢体の障害の基準に準じて1級・2級・3級のいずれかに認定されます。

歩行や日常生活動作にどの程度の制限があるかが判定の中心になります。

運動失調以外に構音障害や精神症状を伴う場合は、複数の診断書が必要になることがあります。

脊髄小脳変性症は、歩行のふらつきや手のふるえ、ろれつが回りにくいといった症状が少しずつ進行していく指定難病です。症状が進むにつれて仕事や日常生活への影響も大きくなりますが、障害年金の申請時にはどの基準で等級が決まるのか分かりにくく、不安に感じる方が多い疾患でもあります。

この記事では、等級判定の基本的な考え方、判断材料になる日常生活動作の見方、必要な診断書、障害認定日の特例まで、社会保険労務士の視点から順に整理してお伝えします。

目次

脊髄小脳変性症は、障害年金の何級に認定されますか?

脊髄小脳変性症には専用の等級表がなく、「神経系統の障害」の認定要領に基づき、肢体の障害の認定基準に準じて1級・2級・3級のいずれかに認定されます。

日本年金機構の障害認定基準では、脳血管障害やパーキンソン病、脊髄小脳変性症のような神経系統の疾患による運動失調・運動障害は、部位ごとに固有の基準を設けず、「肢体の障害」の認定要領を準用して判断すると定められています。病名そのものではなく、症状によって生活にどれだけ支障が出ているかで等級が決まる仕組みです。

なぜ脊髄小脳変性症専用の基準がないのですか?

神経系統の障害は、原因となる病気の種類が非常に多く、同じ病名でも症状の出方に個人差が大きいためです。そのため日本年金機構は病名ごとの基準を設けず、日常生活の制限の程度から総合的に判断する枠組みを採用しています。

3級や障害手当金に認定されることもありますか?

あります。ただし3級と障害手当金は障害厚生年金だけの等級のため、国民年金のみ加入の方は1級・2級のいずれかに該当しない限り年金は支給されません。症状が軽度な初期段階では3級から申請するケースもあります。

何を基準に等級が判断されますか?

脊髄小脳変性症2

歩行や着替え、入浴といった日常生活動作にどの程度の制限があるか、介助がどれだけ必要かが判断の中心になります。

「運動失調がある」という診断名だけでは等級は決まりません。一人で歩けるか、杖や車椅子が必要か、食事や着替えに介助が要るかといった具体的な生活の様子が診断書に反映されているかどうかで、認定結果は大きく変わります。次の表で全体像を確認してみてください。

1級2級3級
生活の目安日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度日常生活に著しい制限を受ける程度労働に著しい制限を受ける程度
介助の目安ほぼ全ての動作に介助が必要多くの動作に見守り・介助が必要就労や作業の継続が難しい
対象となる年金国民年金・厚生年金どちらも対象国民年金・厚生年金どちらも対象厚生年金のみ対象

歩くことはできるのですが、少し歩くとふらついて疲れやすいです。この程度でも対象になりますか。

社労士

短い距離なら歩けても、疲労やふらつきで外出や家事にどれだけ支障が出ているかを具体的に伝えることが大切です。診断書と申立書の両方に、実際の生活の様子を詳しく書いてもらいましょう。

検査所見はどのように扱われますか?

MRIなどの画像所見や神経学的検査の結果は、症状の裏付けとして重視されます。ただし検査数値だけで等級が決まるわけではなく、その所見が実際の日常生活の制限とどう結びついているかが合わせて審査されます。

症状に日によって波がある場合はどうすればよいですか?

調子の良い日ではなく、症状が悪いときの状態も含めて診断書に記載してもらうことが重要です。良い状態だけを基準に書かれると、実際の生活の大変さが正しく伝わらず、等級が低く判断される原因になります。

ご自身のケースが当てはまるか、迷っていませんか

障害年金は、同じ傷病でも初診日や日常生活の状況によって結果が変わります。記事だけでは判断がつかない部分も多いので、気になる点があればお気軽にお声かけください。ご依頼前のご相談は無料です。

※LINEと問い合わせフォームは24時間受け付けています。しつこい勧誘は一切ございません。

診断書は何を使いますか?運動失調以外の症状がある場合は?

脊髄小脳変性症3

肢体の障害用(様式第120号の3)の診断書を基本としつつ、構音障害や精神症状を伴う場合は該当する診断書も追加で必要になります。

脊髄小脳変性症の中心的な症状である歩行障害・運動失調は、肢体の障害用の診断書で評価されます。一方でこの病気は症状が多岐にわたるため、他の障害を併せ持つ場合は、それぞれに対応する診断書を追加で用意する必要があります。

構音障害・言語障害がある場合はどうなりますか?

ろれつが回らない、言葉が聞き取りにくいといった構音障害が強い場合は、「音声又は言語機能の障害」の診断書もあわせて用意し、肢体の障害と併せて総合的に等級を判断してもらう必要があります。

気分の落ち込みなど精神的な症状がある場合はどうなりますか?

進行性の病気であることへの不安からうつ症状などを伴う場合は、精神の障害用の診断書もあわせて検討します。身体症状と精神症状の両方を漏れなく伝えることが、実態に合った等級判定につながります。

障害認定日はいつになりますか?進行しても早く認定される特例はありますか?

原則は初診日から1年6ヶ月後ですが、気管切開下での人工呼吸器使用や胃ろうなど恒久的な措置が行われている場合は、その前でも認定日として扱われる特例があります。

脊髄小脳変性症は緩やかに進行する病気のため、多くの場合は通常どおり1年6ヶ月後が認定日になります。ただし進行して嚥下障害などが重くなり、日常生活の用を弁ずることができない状態になっている場合は、この特例の対象になり得ます。

通常のケースでは、いつを基準に申請すればよいですか?

初診日から1年6ヶ月を経過した日が障害認定日になります。この日の前後3ヶ月以内の状態を記載した診断書を用意し、その時点での生活の制限を具体的に伝えることが申請の基本になります。

特例が適用されるのはどのような状態ですか?

気管切開をして人工呼吸器を使用している状態や、胃ろうなど恒久的な医療的措置が行われ、日常生活の用を弁ずることができないと医学的に認められる場合です。該当する場合は1年6ヶ月を待たずに申請できます。

よくある質問

Q. 難病医療費助成と障害年金は両方受けられますか?

A. 両方受け取れます。障害年金は所得を保障する制度、難病医療費助成は医療費の自己負担を軽減する制度で、目的が異なるため、それぞれの要件を満たせば併せて利用できます。

Q. 症状が進行して悪化したら、等級は見直されますか?

A. 見直される場合があります。進行して生活の制限が大きくなった際は、額改定請求という手続きで、現在の状態に応じた等級への変更を申請できます。

Q. パーキンソン病と同じ基準で判定されますか?

A. 同じ枠組みで判定されます。パーキンソン病も脊髄小脳変性症も「神経系統の障害」に分類され、いずれも肢体の障害の認定基準に準じて等級が判断されます。

Q. 診断書には具体的に何を書いてもらえばよいですか?

A. 歩行や着替え、入浴にどの程度介助が必要か、症状に波がある場合はその状況を、具体的な生活場面に沿って記載してもらうことが重要です。

まとめ:脊髄小脳変性症は肢体の障害の基準で総合的に判断される

脊髄小脳変性症には専用の等級表がなく、日常生活動作にどの程度の制限があるかを基準に、肢体の障害の認定基準に準じて1級から3級のいずれかに判断されます。症状の程度だけでなく、良い日と悪い日の差や、構音障害・精神症状の有無まで丁寧に伝えることが、実態に合った等級判定につながります。中四国にお住まいの方はもちろん、来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。

参考資料

障害認定基準(日本年金機構)
障害等級表(日本年金機構)
脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)(指定難病18)(難病情報センター)

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この記事を書いた人

請川 智章のアバター 請川 智章 社会保険労務士・障害年金専門

香川県観音寺市を拠点とする障害年金専門の社会保険労務士
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