監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は国民年金法施行令・厚生年金保険法施行令及び日本年金機構の公表情報に基づき作成しています。
この記事の結論
手足の切断・欠損による障害年金の等級は、失った範囲によって1級から障害手当金まで区分され、両上肢の全ての指を失う場合は1級が目安です(国民年金法施行令別表)。
自分のケースがどの等級に近いかは、切断・欠損の範囲を診断書に正確に記載してもらうことが何より重要です。
多くの傷病と異なり、切断の場合は原則として切断した日そのものが障害認定日になる点にも注意してください。
事故や病気によって手足を切断・欠損した場合、障害年金を受け取れるのか、受け取れるとしたら何級になるのか、不安に感じる方は少なくありません。特に会社員か自営業かによって対象となる等級の範囲も変わってきます。
障害年金における手足の障害の等級は、失った部位・範囲によって細かく定められています。この記事では、上肢(腕)と下肢(足)それぞれの等級の目安と、見落とされがちな障害認定日の特例について整理します。
手足の切断・欠損で、障害年金は何級になりますか?

手足の切断・欠損による障害年金の等級は、失った範囲の広さによって1級から3級、障害手当金まで区分されており、両上肢または両下肢の全ての指を失うような重い場合は1級に該当します。
ただし、3級と障害手当金は障害厚生年金のみの制度です。初診日に国民年金にしか加入していなかった方(自営業者等)は、1級・2級に該当しない限り、障害年金の対象にはなりません。
また、上肢と下肢の両方に障害が重なっている場合や、他の傷病とあわせて等級を判断する場合には、それぞれの障害を組み合わせて評価する「併合認定」という仕組みが使われることもあります。
「欠く」と「失う」で意味が違うのですか?
はい。「指を欠くもの」は指の付け根から失った状態、「指を失ったもの」はおや指は関節から、その他の指は根元寄りの関節から先を失った状態を指し、認定基準上区別されています。
病気による切断でも対象になりますか?
事故によるものだけでなく、糖尿病性壊疽や血管の病気など、病気が原因で切断した場合も同じ基準で認定されます。原因を問わず、失った範囲そのもので判断される点は共通です。
腕(上肢)を切断した場合、何級になりますか?
上肢の障害は失った指の範囲によって等級が定められており、両上肢の全ての指を失うと1級、一上肢の全ての指を失うと2級に該当します。
| 両上肢 | 一上肢 | |
|---|---|---|
| 1級 | 全ての指を欠く(付け根から) | - |
| 2級 | おや指及びひとさし指又は中指を欠く | 全ての指を欠く |
| 3級(障害厚生年金のみ) | - | おや指及びひとさし指を失った、又はおや指若しくはひとさし指を併せ3指以上を失った |
| 障害手当金 | - | 2指以上を失った、又はひとさし指を失った |
例えば、右手のおや指とひとさし指を失った場合は3級に、おや指を含まない2本の指を失った場合は障害手当金に、それぞれ該当する可能性があります。どの指をどこまで失ったかによって等級が細かく分かれるため、診断書には正確な記載が欠かせません。
事故で指を何本か失ってしまいました…これくらいでは障害年金の対象にならないですよね?
社労士指の欠損の程度によっては、障害手当金や3級に該当する可能性がありますよ。まずは失った範囲を診断書で確認してみましょう。
腕自体を切断した場合はどうなりますか?
肘関節より上で両腕を失うような場合は、併合判定の基準により1級に相当する扱いとなります。
利き手かどうかで等級は変わりますか?
認定基準上、利き手かどうかによる区別はなく、失った範囲そのもので等級が判断されます。
ご自身のケースが当てはまるか、迷っていませんか
障害年金は、同じ傷病でも初診日や日常生活の状況によって結果が変わります。記事だけでは判断がつかない部分も多いので、気になる点があればお気軽にお声かけください。ご依頼前のご相談は無料です。
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足(下肢)を切断した場合、何級になりますか?

下肢の障害も同様に、失った範囲によって等級が定められており、両下肢を足関節以上で失うと1級、一下肢を足関節以上で失うと2級に該当します。
| 両下肢 | 一下肢 | |
|---|---|---|
| 1級 | 足関節以上で欠く | - |
| 2級 | 全ての指(10趾)を欠く | 足関節以上で欠く |
| 3級(障害厚生年金のみ) | - | リスフラン関節以上で失った |
| 障害手当金 | - | 第1趾又は他の4趾以上を失った |
例えば、片足を足首(足関節)から失った場合は2級、足の親指を含めて4本以上の指を失った場合は障害手当金の対象になり得ます。歩行への影響が大きいため、診断書には失った範囲や歩行の状況を具体的に記載してもらうことが大切です。
足関節とはどのあたりですか?
「足関節以上で欠くもの」とは、足首にあるショパール関節より上で失った場合を指します。
足の指だけの切断でも対象になりますか?
足の指のみの喪失も障害手当金や3級の対象になる場合がありますが、いずれも障害厚生年金の制度のため、国民年金のみの方は対象外です。
障害認定日はいつになりますか?
切断・離断による障害は、多くの傷病と異なり、原則として切断・離断をした日そのものが障害認定日になります。
通常は初診日から1年6ヶ月を経過した日を待つ必要がありますが、切断の場合はその期間を待たずに請求できる点が大きな特徴です。ただし、障害手当金に該当する場合は、傷口が治った日(創面治癒日)が認定日となります。
そのため、切断・離断をした時点で、通常より早く年金請求の手続きを始めることができます。請求する際は、切断した日を証明できる診断書や手術記録などを準備しておくとスムーズです。
1年6ヶ月を待たずに請求できるのですか?
はい。切断・離断をした日から請求手続きを進めることができ、通常より早く年金を受け取れる可能性があります。
義手・義足をつけていても等級は変わりませんか?
認定は失った身体の範囲そのもので行われるため、義手・義足を装着していても等級の判断は変わりません。
よくある質問
Q. 指を1本だけ切断した場合も対象になりますか?
A. 指1本の切断でも、障害手当金や3級の対象になる場合があります。ただし対象となるのは障害厚生年金の制度のみで、国民年金のみの方は原則として対象になりません。
Q. 労災保険からも同時に補償を受けられますか?
A. 業務上の事故であれば、労災保険の障害給付と障害年金を同時に受け取れる場合がありますが、労災側の年金額が調整(減額)される仕組みがあります。詳細は年金事務所や社労士へご確認ください。
Q. 義手・義足の費用も障害年金でまかなえますか?
A. 障害年金はあくまで生活費を補う所得保障の制度であり、義手・義足の費用そのものを対象とする給付ではありません。用具の費用は別の公的制度の対象となる場合があります。
Q. 切断から何年経っていても請求できますか?
A. 障害認定日から時間が経っていても請求は可能です。ただし、さかのぼって受け取れる年金には時効があるため、心当たりのある方は早めに年金事務所へご相談ください。
まとめ:手足の切断・欠損は、範囲を正確に伝えることが等級判定の鍵
手足の切断・欠損による障害年金の等級は、失った範囲の広さと、両側か片側かによって細かく分かれます。まずはご自身のケースが上肢・下肢のどの区分に近いかを確認し、診断書に実際の状態が正確に反映されるようにすることが大切です。3級・障害手当金は障害厚生年金のみの制度である点や、切断日が障害認定日になる特例にも注意してください。中四国障害年金相談センターでは、切断・欠損による障害年金のご相談も承っています。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
参考資料
・国民年金法施行令 別表(e-Gov法令検索)
・厚生年金保険法施行令 別表第1・別表第2(e-Gov法令検索)
・障害認定基準(日本年金機構)
・障害等級表(日本年金機構)
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