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皮膚筋炎・多発性筋炎でも障害年金は申請できる?

皮膚筋炎1

監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は国民年金法・厚生年金保険法・日本年金機構の障害認定基準・難病情報センターの公表情報に基づき作成しています。

この記事の結論

皮膚筋炎・多発性筋炎は障害年金の対象になる疾患で、筋力低下・皮膚症状・間質性肺炎のうち、どの症状が中心かによって認定の見方が変わります。

体幹・四肢近位筋の筋力低下が中心であれば肢体の障害として、間質性肺炎が中心であれば呼吸器疾患として評価されることがあります。

皮疹はあるのに筋力低下がほとんどない「無筋症性皮膚筋炎」でも、間質性肺炎の重さ次第で対象になることがあるため、症状の名前だけで判断しないことが重要です。

「筋炎という名前だけれど、筋力はそこまで落ちていない気がする」という理由で、障害年金の対象外だと思い込んでいる方がいらっしゃいます。皮膚筋炎・多発性筋炎は国の指定難病(指定難病50)で、全国に約23,168人の患者さんがいるとされる、自己免疫性の炎症性筋疾患です。

典型的な皮疹を伴うものを皮膚筋炎、伴わないものを多発性筋炎と呼びますが、いずれも障害年金の対象になり得ます。

この記事では、社会保険労務士の視点から、皮膚筋炎・多発性筋炎で障害年金の対象になるケースと、申請にあたって押さえておきたいポイントを整理します。診断されたばかりの方はもちろん、症状の組み合わせに悩んでいる方にも、参考にしていただける内容です。「筋炎」という名前だけで判断してしまう前に、ぜひ最後まで読んでみてください。

目次

皮膚筋炎・多発性筋炎は障害年金の対象になりますか?

対象になります。皮膚筋炎・多発性筋炎は、症状の中心がどこにあるかによって、肢体の障害・呼吸器疾患・その他の疾患のいずれかとして評価されます。

この病気は、体幹や四肢近位筋、頸筋、咽頭筋などの筋力低下を主症状としながら、皮膚症状や間質性肺炎、不整脈など、複数の臓器に影響が及ぶことがあります。障害年金の認定でも、どの臓器の障害が一番重いかによって、参照される認定基準が変わります。

似た膠原病の中でも「筋力低下」が主軸になりやすい

全身性エリテマトーデスや全身性強皮症など、他の膠原病の多くは「その他の疾患による障害」として評価されますが、皮膚筋炎・多発性筋炎は筋力低下が主症状であるため、体幹・四肢近位筋の状態次第では、肢体の障害用の診断書で評価されるケースも少なくありません。

障害基礎年金・障害厚生年金どちらも対象

初診日にどの年金制度に加入していたかによって、支給される年金が変わります。国民年金加入中であれば国民年金法第30条に基づく障害基礎年金、厚生年金加入中であれば厚生年金保険法第47条に基づく障害厚生年金が支給の対象です。

発症のピークは5〜9歳の小児期と50歳代の二峰性であることが、難病情報センターの資料でも示されています。どちらの年代で発症しても、障害年金の対象になり得る点は変わりません。

無筋症性皮膚筋炎(筋力低下がほとんどない場合)でも対象になりますか?

皮膚筋炎2

対象になり得ます。皮疹はあっても筋力低下がほとんどない「無筋症性皮膚筋炎」でも、合併する間質性肺炎の重さによっては、障害年金の対象になります。

無筋症性皮膚筋炎(CADM)は、特徴的な皮疹はあるものの、筋力低下がほとんど見られないタイプです。難病情報センターの資料によれば、このタイプは急速に進行する間質性肺炎を合併しやすく、初発患者のうち約1割が死の転帰をたどるとされる、決して軽視できない病型です。

手足の筋力はそんなに落ちていないので、対象にならないかもしれないと思っていました。

社労士

筋力の状態だけで判断する必要はありません。間質性肺炎の検査結果を確認させてください。無筋症性のタイプほど、肺の状態が重要な判断材料になります。

病名の「筋炎」という響きに惑わされない

「筋炎」という病名から、筋力低下がなければ軽症だと考えてしまいがちですが、この病気の重症度は筋力低下だけで決まるものではありません。皮疹の活動性や、間質性肺炎の有無・進行度も、あわせて総合的に見られます。

悪性腫瘍の合併にも注意が必要

皮膚筋炎は一般人口と比べて悪性腫瘍を合併しやすいことが知られています。難病情報センターの資料でも、皮膚筋炎では約3倍、多発性筋炎では2倍弱、悪性腫瘍を伴いやすいとされています。障害年金の認定に直接関わる話ではありませんが、診断時に悪性腫瘍の検索を勧められた場合は、指示に従って検査を受けておくことが、その後の治療方針にも影響します。

何級に認定される可能性がありますか?

どの認定基準で評価されるかによって等級の考え方が変わり、いずれの場合も1級から3級まで認定される可能性があります。

体幹・四肢近位筋の筋力低下が中心であれば、肢体の障害の認定基準に沿って、日常生活動作の制限の程度から等級が判断されます。間質性肺炎が中心であれば、呼吸機能検査の数値や在宅酸素の要否が、等級判定の大きな材料になります。

障害基礎年金と障害厚生年金の等級の違い

障害基礎年金は1級・2級のみで、3級はありません。初診日に国民年金第1号被保険者(自営業・専業主婦など)だった方は、3級相当の状態でも年金が支給されない場合がある点に注意が必要です。

治療後も筋力低下が残ることが多い

難病情報センターの資料によれば、治療後も過半数の症例で筋力低下が残るとされています。ステロイド治療で全身状態が落ち着いていても、筋力そのものが元どおりに回復していない場合は、その状態を正しく診断書に反映してもらうことが大切です。

初診日はいつとして扱われますか?

発熱や倦怠感、皮疹、筋肉痛といった症状で最初に医療機関を受診した日が、初診日になるのが原則です。

皮膚筋炎・多発性筋炎と診断される前に、発熱やだるさで内科を、皮疹で皮膚科を、それぞれ別々に受診しているケースが多くあります。診断名がまだ確定していなくても、これらの症状で最初に受診した日が初診日として扱われます。複数の科を受診している場合は、一番早い受診日を見落とさないよう注意してください。

皮膚科と内科、どちらが先か整理しておく

皮膚症状が先に出た方、筋肉の症状が先に出た方など、発症の経過は人によって異なります。どちらの症状が先に出て、どちらの科を先に受診したのか、時系列で整理しておくと、初診日の特定がスムーズになります。

子どもの頃に発症した場合は「20歳前傷病」になることも

若年性皮膚筋炎・若年性多発性筋炎は、5歳から9歳ごろに発症のピークがあるとされています。この年代で発症した場合、初診日が20歳より前になるため、保険料の納付要件を問わない「20歳前傷病」による障害基礎年金の対象になります。

診断書はどの様式を使えばいいですか?

皮膚筋炎3

体幹・四肢近位筋の筋力低下が中心か、間質性肺炎による呼吸機能低下が中心かによって、使用する診断書の様式が変わります。

皮膚筋炎・多発性筋炎は、症状の組み合わせが患者さんごとに大きく異なる病気です。どの診断書で申請するかを慎重に見極める必要があります。同じ病名でも、選ぶ診断書によって結果が変わることがあるのは、この病気ならではの特徴です。

主な症状検討される診断書
体幹・四肢近位筋の筋力低下が中心肢体の障害用
間質性肺炎による呼吸機能低下が中心呼吸器疾患用
皮疹・全身状態が中心で上記に当てはまらないその他の疾患用

複数の症状がある場合は「併合認定」も検討される

筋力低下と間質性肺炎の両方に相応の障害がある場合は、それぞれを組み合わせて評価する「併合認定」が検討されることもあります。この場合は、複数の様式の診断書が必要になることがあります。

診断書代が無駄にならないよう事前に見極める

症状によっては、間質性肺炎の診断書よりも、筋力低下を反映した診断書のほうが、結果的に高い等級につながることもあります。どちらの診断書を優先すべきか迷う場合は、診断書を依頼する前に一度相談することをおすすめします。

よくある質問

Q. 皮膚の症状だけで、筋力低下がない場合も申請できますか?

A. 皮疹だけでは通常、障害等級に該当しません。ただし、無筋症性皮膚筋炎で間質性肺炎を合併している場合は、その重さによって対象になることがあります。

Q. 間質性肺炎の治療中ですが、こちらの診断書のほうがいいですか?

A. 一概には言えません。筋力低下と間質性肺炎、どちらの状態がより重いかによって、有利な診断書が変わります。

Q. ステロイドで症状が落ち着いていますが、それでも申請できますか?

A. 申請できます。全身状態が落ち着いていても、筋力低下や呼吸機能の低下が残っていれば、その状態に応じて評価されます。

Q. 50代で発症し、悪性腫瘍の検査も勧められました。年金の申請に関係しますか?

A. 悪性腫瘍の有無自体が障害年金の等級を直接左右するわけではありません。ただし、悪性腫瘍を合併している場合は、その治療状況もあわせて申立書に記載しておくとよいでしょう。

Q. 子どもの発症(若年性皮膚筋炎)でも対象になりますか?

A. 対象になります。20歳になった時点で障害等級に該当していれば、20歳前傷病による障害基礎年金が支給されます。

Q. 更新のときに注意することはありますか?

A. 症状が改善し等級が変わることがあるため、更新時には筋力・皮膚症状・呼吸機能のうち、どの状態が変化したのかを正確に伝えることが重要です。

まとめ:皮膚筋炎・多発性筋炎の障害年金は「症状の組み合わせ」がカギ

皮膚筋炎・多発性筋炎は、筋力低下・皮膚症状・間質性肺炎のうち、どの症状が中心かによって評価のされ方が変わる病気です。国民年金法第30条・厚生年金保険法第47条の支給要件を満たしていれば、指定難病であることは何のマイナスにもなりません。発症年齢も小児期から中高年まで幅広く、ご自身やご家族のケースに当てはめて考えていただければと思います。

「筋炎なのに筋力はそこまで落ちていない」という無筋症性のケースこそ、間質性肺炎の状態を見落とさずに評価してもらうことが大切です。症状の組み合わせが一人ひとり違う病気だからこそ、どの診断書で臨むかの見極めが結果を左右します。

当事務所は香川県観音寺市に事務所を構え、全国どこからのご相談にも対応していますので、診断書の様式選びでお困りの際は、お気軽にご相談ください。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。

参考資料

国民年金法 第30条(e-Gov法令検索)
厚生年金保険法 第47条(e-Gov法令検索)
皮膚筋炎/多発性筋炎(指定難病50)診断・治療指針(難病情報センター)
障害認定基準 第18節「その他の疾患による障害」(日本年金機構)

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この記事を書いた人

請川 智章のアバター 請川 智章 社会保険労務士・障害年金専門

香川県観音寺市を拠点とする障害年金専門の社会保険労務士
登録番号第37250012号 香川県社会保険労務士会会員
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