監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は日本年金機構の公表情報に基づき作成しています。
この記事の結論
障害年金の診断書は、傷病の種類によって「眼」「聴覚・平衡機能等」「肢体」「精神」「呼吸器疾患」「循環器疾患」「腎疾患・肝疾患・糖尿病」「血液・造血器・その他」の8種類に分かれています。
どの様式を使うかは医療機関ではなく請求者側が傷病名にあわせて事前に確認し、正しい様式を用意したうえで作成を依頼する必要があります。
複数の傷病がある場合や、どの様式に当てはまるか迷う場合は、依頼する前に年金事務所または専門家に確認しておくと安心です。
障害年金の申請準備を進めていると、「診断書」と一言でいっても複数の様式があることに気づき、自分はどれを使えばいいのか分からず戸惑う方が少なくありません。
この記事では、障害年金の診断書に用意されている8種類の様式と、ご自身の傷病がどれに当てはまるかを見分ける方法を、社労士の視点から整理します。複数の様式にまたがる可能性がある傷病についても触れていきます。
様式選びを間違えると、せっかく取得した診断書が使えなかったり、再度費用をかけて依頼し直したりすることにもなりかねません。依頼する前に、ぜひこの記事で一度確認しておいてください。
障害年金の診断書は、なぜ8種類もあるのですか?
傷病の種類ごとに、審査で確認すべき症状や検査項目がまったく異なるため、日本年金機構は障害の部位・種類に応じて8種類の診断書様式を用意しています。1つの様式ですべての傷病に対応することはできません。
診断書8種類の一覧

| No. | 診断書の種類 |
|---|---|
| 1 | 眼の障害用 |
| 2 | 聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の障害用 |
| 3 | 肢体の障害用 |
| 4 | 精神の障害用 |
| 5 | 呼吸器疾患の障害用 |
| 6 | 循環器疾患の障害用 |
| 7 | 腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用 |
| 8 | 血液・造血器・その他の障害用 |
それぞれの様式は、日本年金機構のホームページから傷病の種類ごとにダウンロードできます。診断書を依頼する前に、まずこの一覧でご自身の傷病がどこに当てはまるか確認しましょう。
様式が分かれている理由
例えば、精神の障害用の診断書には「日常生活能力の判定」「日常生活能力の程度」といった、精神疾患特有の評価項目が設けられています。一方、肢体の障害用の診断書には関節可動域や筋力の測定値を記入する欄があり、循環器疾患の障害用には心電図所見や心機能の分類を記入する欄があります。このように、傷病ごとに評価すべきポイントがまったく異なるため、8種類の様式に分かれているのです。
自分の傷病はどの様式に当てはまりますか?
基本的には傷病名から判断しますが、同じ傷病でも症状の現れ方によって複数の様式にまたがる場合があります。迷ったときは、症状が最も強く出ている部位を基準に考えます。
主な傷病と様式の対応例
| 様式 | 対応する傷病の例 |
|---|---|
| 眼の障害用 | 網膜色素変性症、緑内障、白内障後の視力低下など |
| 肢体の障害用 | 脳梗塞の後遺症、関節リウマチ、人工関節、切断など |
| 精神の障害用 | うつ病、統合失調症、双極性障害、知的障害、発達障害など |
| 呼吸器疾患の障害用 | 慢性閉塞性肺疾患、気管支喘息、肺線維症など |
| 循環器疾患の障害用 | 心筋梗塞、心不全、ペースメーカー装着など |
| 腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用 | 人工透析、肝硬変、糖尿病(合併症を含む)など |
迷いやすいケース
糖尿病性網膜症のように、1つの原因疾患から複数の部位に症状が出ている場合、糖尿病自体は「腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用」、視力低下は「眼の障害用」というように、部位ごとに異なる様式で評価されることがあります。どちらの様式を使うべきか迷う場合は、自己判断せずに年金事務所や社労士に相談することをおすすめします。同様に、脳血管疾患の後遺症で肢体に麻痺が残りつつ、高次脳機能障害の症状もある場合など、原因は1つでも評価すべき障害が複数の様式にまたがるケースは珍しくありません。
糖尿病の合併症で目も悪くなっているんですが、どちらの診断書を使えばいいんでしょうか
社労士そのようなケースでは、糖尿病と眼の障害、それぞれ別の様式で診断書が必要になることがあります。どちらの症状を中心に申請するかによっても変わってきますので、一度詳しい状況をお伺いさせてください
複数の傷病がある場合、診断書は何枚必要ですか?
それぞれの傷病について、対応する様式の診断書が必要になるため、傷病の数だけ診断書の枚数も増える可能性があります。1枚の診断書で複数の傷病をまとめて証明することはできません。
例えば、精神疾患と肢体の障害の両方をお持ちの場合、原則としてそれぞれの様式で診断書を用意する必要があります。ただし、どちらの症状を中心に請求するか、あるいは併合認定の対象になるかによって、必要な診断書の組み合わせは変わってきます。診断書料もその分加算されるため、事前に必要な枚数を把握しておくことが大切です。複数の診断書が必要になりそうな場合は、どの医療機関にどの様式を依頼すればよいか、あらかじめリストにして整理しておくと、依頼の抜け漏れを防ぎやすくなります。
また、1つの傷病が原因で複数の障害が生じている場合(併合)と、まったく別の原因で複数の傷病を抱えている場合とでは、認定の考え方が異なります。どちらのケースに該当するかによって、診断書の依頼先や順序も変わってくるため、判断に迷う場合は早めに相談しておくと安心です。特にご自身で複数の医療機関を受診されている場合は、それぞれの主治医に依頼内容が正しく伝わっているか、一つずつ確認しておきましょう。
様式を間違えて依頼してしまったら、どうなりますか?

誤った様式で作成を依頼すると、医療機関で対応してもらえなかったり、正しい様式で改めて依頼し直すことになったりします。依頼前の確認が、時間と費用のロスを防ぐ一番の対策です。
診断書料は自費文書のため、様式を間違えて再依頼することになると、費用が二重にかかってしまう可能性があります。特に精神疾患のように様式の裏面に日常生活能力の判定など専用の記載欄がある場合、他の様式では代用できません。依頼前に、日本年金機構のホームページで最新の様式を確認するか、年金事務所の窓口で「この傷病にはどの様式を使えばよいか」を確認してから医療機関に渡すことをおすすめします。医療機関側も、依頼された様式が正しいかどうかまで確認してくれるとは限らないため、様式選びの最終確認は請求者自身が行う心づもりでいるとよいでしょう。
違う様式で依頼してしまったら、また診断書料がかかってしまうということですか
社労士その可能性が高いです。依頼する前に一度、年金事務所や専門家に様式を確認していただくと、無駄な出費を防ぐことができますよ
診断書の様式は、どこで入手できますか?
日本年金機構のホームページから、傷病の種類ごとにダウンロードできるほか、年金事務所の窓口でも入手できます。医療機関によっては、様式を持参せずとも院内に備えている場合もあります。
様式は、PDF形式のほか、パソコンで直接入力できるエクセル形式が用意されている診断書もあります。記入上の注意や記載要領もあわせて公開されているため、医療機関に依頼する際にこれらを一緒に渡すと、記載漏れを防ぎやすくなります。診断書は原則としてA3サイズの両面印刷で提出しますが、A4サイズの片面印刷2枚でも受付は可能です。その場合は、割り印または医師の署名・捺印をそれぞれの用紙に必要とする点に注意してください。
様式は法改正や運用の見直しにあわせて随時更新されるため、以前に取得して保管していた様式をそのまま使うと、古いバージョンになっている可能性があります。依頼する直前に、必ず日本年金機構のホームページで最新の様式かどうかを確認する習慣をつけておきましょう。
よくある質問
Q. 精神と身体、両方に障害がある場合はどうすればいいですか?
A. それぞれの傷病に対応する様式で、別々に診断書を用意する必要があります。どちらを中心に請求するか、あわせて申請するかによって進め方が変わるため、事前に整理しておくことをおすすめします。それぞれの傷病の初診日が異なる場合は、初診日ごとに保険料納付要件を満たしているかも確認が必要です。
Q. 診断書の様式が変更されることはありますか?
A. あります。実際に令和7年6月には様式が大きく変更されており、令和4年1月には眼の障害用の様式も変更されています。古い様式のまま依頼してしまわないよう、依頼の都度、日本年金機構のホームページで最新版を確認しましょう。以前に他の手続きで使った様式を使い回すのは避けたほうが安全です。
Q. パソコンで入力・印刷した診断書でも大丈夫ですか?
A. 問題ありません。医師がパソコンで作成し、印刷したものであっても、必要事項が正しく記載され、医師の署名・捺印があれば受け付けられます。
Q. A3とA4、どちらで提出すればいいですか?
A. 原則はA3サイズの両面印刷ですが、A4サイズの片面印刷2枚でも受付は可能です。その場合は、2枚の用紙にまたがって割り印をするか、それぞれに医師の署名・捺印が必要になります。
Q. 診断書に有効期限はありますか?
A. あります。診断書は原則として、認定日から3ヶ月以内または請求日以前3か月以内の症状が記載されたものである必要があります。受診状況等証明書とは異なり、時期が限定されている点に注意してください。早めに取得しすぎると、提出時には期限切れになってしまうこともあるため、請求のタイミングにあわせて依頼することが大切です。
Q. 様式選びに迷ったら、誰に相談すればいいですか?
A. お近くの年金事務所の窓口で、傷病名を伝えれば案内してもらえます。複数の様式にまたがりそうな場合や、請求方法まで含めて相談したい場合は、障害年金に詳しい社労士に相談するのも一つの方法です。
まとめ:まずは8種類の一覧でご自身の様式を確認しましょう
障害年金の診断書は、眼・聴覚等・肢体・精神・呼吸器・循環器・腎疾患等・血液等の8種類に分かれており、傷病名にあわせて正しい様式を選ぶ必要があります。誤った様式で依頼してしまうと、再依頼による時間と費用のロスにつながるため、医療機関に渡す前に必ず確認しておきましょう。複数の傷病がある場合や様式選びに迷う場合は、年金事務所や専門家に相談することで、無駄なく準備を進めることができます。様式は改定されることもあるため、依頼のたびに最新版を確認する習慣も忘れないようにしてください。
ご自身の傷病がどの様式に当てはまるか分からない場合や、複数の様式にまたがりそうで不安な場合は、一人で悩まず専門家に相談することをおすすめします。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
参考資料
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