監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は国税庁の公表資料および各自治体・医療機関の公表情報に基づき作成しています。
この記事の結論
障害年金を自分で申請する場合、実費としてかかるのは主に診断書料と証明書取得費用で、一般的な目安は1万円〜3万円程度です。
遡及請求で診断書が2枚必要になる場合や、複数の傷病について申請する場合は、この目安より費用がかさむことがあります。
一方、戸籍謄本や住民票は、公的年金の裁定請求に使う目的であれば、多くの自治体で交付手数料が無料になる制度があるため、窓口で確認すると費用を抑えられます。
障害年金の申請を検討し始めると、「社労士に頼まず自分で手続きしたいけれど、実際いくらかかるのか分からない」という声をよくお聞きします。診断書料が高いという話を聞いて、申請自体をためらってしまう方もいらっしゃいます。
この記事では、自分で申請する場合に実際にかかる費用の内訳を、項目ごとに具体的な金額の目安とあわせて整理します。あわせて、費用を抑えられる制度についてもご紹介します。
費用は診断書料が中心になりますが、遡及請求の有無や傷病の数によっても変わってきます。ご自身のケースではどのくらいかかりそうか、この記事を読みながらイメージしていただければと思います。
障害年金を自分で申請すると、実際にいくらかかりますか?
自分で申請する場合、実費の合計は7,000円台から2万円台になることが一般的です。内訳は主に診断書料と証明書の取得費用で、社労士への依頼費用はかかりません。

費用の内訳
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 診断書料 | 5,000円〜15,000円程度 |
| 受診状況等証明書 | 2,000円〜6,000円程度 |
| 戸籍謄本 | 450円程度(無料になる場合あり) |
| 住民票 | 300円程度(無料になる場合あり) |
| 郵送費 | 数百円程度 |
診断書料と受診状況等証明書は、医療機関が自由に金額を設定する自費文書のため、病院によって差があります。事前に窓口で金額を確認しておくと安心です。なお、初診の病院と現在通院している病院が同じ場合は、受診状況等証明書そのものが不要になり、その分の費用がかかりません。
合計の目安
初診の病院と現在通院している病院が同じで、受診状況等証明書が不要な場合は、診断書料と戸籍謄本・住民票の実費だけで7,000円〜16,000円程度に収まることが多くなります。初診の病院と現在の病院が異なり、受診状況等証明書が必要な場合は、これに2,000円〜6,000円程度が加わります。転居や結婚などで戸籍謄本を複数通取得する必要がある場合は、その分の実費も見込んでおきましょう。
診断書料はなぜ病院によってこんなに差があるのですか?
障害年金の診断書は健康保険が使えない「自費文書」にあたるため、料金を医療機関が自由に設定できるからです。全国一律の料金は定められていません。
自費文書とはどういうことか
診断書は、病気やケガの治療そのものではなく、状態を証明するための文書です。そのため健康保険が適用されず、医療機関が独自に料金を決める「自由診療」の扱いになります。同じ病院でも、様式や記載する内容の分量によって金額が変わることもあります。健康保険が適用される診察料とは性質が異なるため、窓口で「保険適用外」と案内されても心配する必要はありません。
精神科や大学病院は高くなりやすい理由
障害年金の診断書は、日常生活能力や就労状況など記載項目が多く、通常の診断書より医師の作成に時間がかかります。特に精神障害の診断書は記載量が多いため、1万円を超える設定にしている医療機関も珍しくありません。
同じ病院でも先生によって金額が違うことはあるんでしょうか
社労士金額は病院単位で決まっていることがほとんどですので、医師個人で差が出ることは少ないです。ただ、確定した金額は病院ごとに異なりますので、依頼する前に窓口で確認しておくと安心です
遡及請求をすると、費用は倍になりますか?
遡及請求では障害認定日時点と現在の2枚の診断書が必要になるため、診断書料は通常より多くかかります。単純に2倍になるとは限りませんが、負担は増えると考えておきましょう。
遡及請求で必要になる書類
障害認定日にさかのぼって請求する遡及請求では、障害認定日から3か月以内の診断書と、請求日以前3か月以内の診断書の合計2枚が必要です。障害認定日当時の主治医が転院・退職している場合は、当時のカルテをもとに別の医師に作成を依頼することもあります。カルテの保存期間は法律上5年とされていますが、実際にはそれより長く保管している医療機関も多いため、まずは当時の病院に確認してみましょう。
同じ病院なら費用を抑えられる場合がある
2枚とも同じ医療機関に依頼する場合、医療機関によっては2枚目以降を割引価格で作成してくれることがあります。金額は病院ごとに異なるため、依頼時にまとめて確認しておくとよいでしょう。
戸籍謄本や住民票は、必ず用意しないといけませんか?
マイナンバーを年金請求書に記載すれば、戸籍謄本や住民票の添付そのものを省略できるケースがほとんどです。用意する前に、まずマイナンバーの記載で足りないか確認しましょう。

マイナンバーによる添付省略の仕組み
日本年金機構は、マイナンバーを利用した情報連携の仕組みにより、年金請求書にマイナンバーを記載することで、戸籍・住民票・所得証明書等の添付を省略できるようにしています。これまでは住民票や所得証明書のみが対象でしたが、令和6年11月1日からは戸籍関連の情報連携も強化され、配偶者加給年金や子の加算のために必要な戸籍謄本についても、省略できる範囲が広がりました。
それでも戸籍謄本・住民票が必要になるケース
次のような場合は、マイナンバーによる情報連携ができず、戸籍謄本・住民票の添付が必要になることがあります。年金請求書にマイナンバーを記載していない場合、DV等の被害者で情報の閲覧制限をかけている場合、遡及請求で戸籍の電算化以前や古い日付の情報が必要な場合、街角の年金相談センターなど窓口でその場での情報連携ができない場合などです。ご自身がどちらに当たるかは、年金事務所の窓口で確認しておくと安心です。
それでも必要な場合は、無料になる自治体もある
マイナンバーによる省略ができず、戸籍謄本・住民票を実際に取得する必要がある場合でも、公的年金の裁定請求に使う目的であれば、多くの自治体で交付手数料が無料になる制度があります。請求する際に「障害年金の裁定請求(年金事務所への提出)に使う」ことを窓口で伝えると、案内してもらえます。
戸籍謄本や住民票が原則いらなくなるなんて知りませんでした
社労士意外と知られていないんです。年金請求書にマイナンバーを記載するだけで済むケースがほとんどですので、まずは記載欄を埋めることを忘れないようにしてくださいね
自分で申請する費用と、社労士に依頼する費用はどう違いますか?
自分で申請する場合は実費のみで済みますが、社労士に依頼する場合は実費に加えて事務手数料や成功報酬が発生します。その分、書類作成や医師とのやり取りの負担を減らすことができます。
社労士に依頼した場合の費用体系の例
| 自分で申請する場合 | 社労士に依頼する場合(当センターの例) | |
|---|---|---|
| 診断書料・証明書代 | 実費(1万円〜3万円程度) | 実費(同左) |
| 事務手数料 | なし | 22,000円 |
| 着手金 | なし | なし |
| 成功報酬 | なし | 年金額の2か月分+消費税 |
| 遡及分がある場合 | なし | 上記に加え遡及額の10%+消費税 |
社労士の費用体系は事務所によって異なりますが、一般的には「事務手数料」「着手金」「成功報酬」の組み合わせで構成されます。当センターの場合は、事務手数料22,000円、着手金なし、成功報酬は受給が決定した年金額の2か月分+消費税(遡及分がある場合は遡及額の10%+消費税を追加)という体系にしています。この着手金なし・成功報酬型は、依頼した時点でまとまった費用が発生しないため、経済的に不安がある方にも利用しやすい仕組みです。詳しくは費用の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
障害年金の社労士費用は高い?成功報酬の相場と「自分でする」リスク
実費だけを比べれば自分で申請する方が安くなりますが、書類の不備や記載内容の見落としで不支給になってしまうと、結果的に時間も費用も余計にかかってしまうことがあります。ご自身での準備に不安がある場合は、無料相談だけでも利用してみることをおすすめします。
よくある質問
Q. 診断書料は医療費控除の対象になりますか?
A. 対象になりません。診断書の作成費用は、医師による診療・治療の対価には当たらないため、所得税法第73条にもとづく医療費控除の対象外とされています(東京国税局の文書回答事例でも同様の見解が示されています)。
Q. 年金事務所での相談は無料ですか?
A. はい、年金事務所での相談や、年金加入期間の確認などの証明書の発行は無料です。実費がかかるのは、医療機関に依頼する診断書・証明書と、市区町村役場で取得する戸籍謄本・住民票です。
Q. 複数の傷病で申請する場合、費用は何倍になりますか?
A. 傷病ごとに別々の診断書が必要になるため、傷病の数に応じて診断書料も増えます。1つの傷病で複数の症状が出ている場合に、部位ごとに複数枚の診断書が必要になることもあります。何枚の診断書が必要になるかはケースによって異なるため、迷う場合は年金事務所や専門家に事前に確認しておくと、余分な出費を防げます。
Q. 診断書費用が払えない場合、助成制度はありますか?
A. 一部の市区町村では、低所得の方を対象に診断書費用の一部を助成する制度を設けている場合があります。お住まいの自治体の福祉担当窓口に問い合わせてみることをおすすめします。
Q. 自分で申請して不支給になった場合、費用は戻ってきますか?
A. 診断書料などの実費は、結果にかかわらず返金されません。不支給のリスクを減らすためにも、申請前に受給の見込みを確認しておくことが大切です。
Q. 郵送で請求する場合、追加費用はかかりますか?
A. 年金事務所への請求書提出自体に手数料はかかりません。郵送する場合は、切手代など数百円程度の郵送費が実費として別途かかります。書類に不備があると返送・再提出のやり取りが発生し、その分の郵送費もかさむため、提出前に必要書類が揃っているか一つずつ確認することをおすすめします。
まとめ:自分で申請する費用は実費のみ、目安は1万円台〜3万円程度
障害年金を自分で申請する場合にかかる費用は、診断書料を中心とした実費のみで、目安としては1万円台から3万円程度です。遡及請求で診断書が2枚必要な場合や、複数の傷病を申請する場合は、これより費用がかさむことがあります。マイナンバーを年金請求書に記載すれば、戸籍謄本や住民票の添付そのものを省略できるケースが多く、令和6年11月からは戸籍謄本も対象が拡大されています。診断書料は医療費控除の対象にもならないため、事前に金額を把握し、家計の中で無理なく準備できるようにしておくと安心です。
費用の面だけで見れば自分で申請する方が安く済みますが、書類の準備に不安がある場合は、無料相談を利用して見通しを立ててから進めるのも一つの方法です。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
参考資料
- No.1122 医療費控除の対象となる医療費(国税庁)
- 診療情報提供書に係る文書料の医療費控除の取扱いについて(東京国税局)
- 証明書等の手数料|公的年金の手続きに使う戸籍証明書等の発行手数料の免除について(東大阪市の例)
LINEでのご相談手順(24時間受付)
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