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5年前の自分を救う遡及請求。当時の主治医と連絡不可・カルテがない場合の突破口

監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は国民年金法、医師法、日本年金機構の公表情報に基づき作成しています。

この記事の結論

障害認定日当時のカルテがなくても、転院先の記録や代替資料を組み合わせれば、認定日にさかのぼって請求できる場合があります。

まずは2番目以降に受診した病院の記録や、お薬手帳などの手元の資料を確認しましょう。

国民年金法第102条により実際に受け取れるのは直近5年分ですが、5年以上前でも受給権そのものは消滅しません。

「あの頃、本当につらかったのに、もっと早く申請していれば」という後悔から、遡及請求を検討される方は少なくありません。ただ、当センターにいただくご相談でも、障害認定日当時の主治医と連絡が取れない、カルテがすでに残っていない、というケースが実際によくあります。

この記事では、遡及請求で実際に受け取れる期間の仕組みと、当時の証拠が乏しい場合にどう対応していくかを解説します。

目次

遡及請求で受け取れるのは、なぜ直近5年分に限られるのですか?

国民年金法第102条により、年金を受け取る権利は5年で時効にかかるためです。ただし、時効にかかるのは既に発生した個々の支払い分であり、受給権そのものは消滅しません。

障害年金の遡及請求で実際に受け取れる期間が直近5年分に限られる仕組みの図

5年より前でも、請求自体はできる

障害認定日から5年以上が経過していても、認定日請求そのものをあきらめる必要はありません。時効の対象は、支払期月ごとに発生する個々の支払いを受ける権利であり、年金を受け取る権利自体が消えるわけではないためです。実際に振り込まれるのは、時効にかかっていない直近5年分に限られますが、それより先の期間についても、認定日時点の等級に該当していたことが認められれば、遡及請求として申請すること自体は可能です。「もう何年も前のことだから」とあきらめてしまう前に、まずは請求できるかどうかを確認することが大切です。

遡及請求には、なぜ2枚の診断書が必要なのですか?

障害認定日から3か月以内の診断書と、請求日前3か月以内の診断書の合計2枚が必要になるためです。当時の状態を証明する診断書は、当時のカルテがなければ作成できません。

カルテの保存期間が壁になる

カルテの保存期間は医師法第24条第2項で最終診療日から5年間と定められています。認定日から時間が経っているほど、当時通っていた病院でカルテが廃棄されていたり、病院自体が廃院していたりする可能性が高くなります。現在の主治医や別の医師が、当時の状態について新たに診断書を作成することは、実務上ほぼ認められません。診断書は「その時点で診察していた医師」が「その時点のカルテ」をもとに作成するものだからです。

ご自身のケースが当てはまるか、迷っていませんか

障害年金は、同じ傷病でも初診日や日常生活の状況によって結果が変わります。記事だけでは判断がつかない部分も多いので、気になる点があればお気軽にお声かけください。ご依頼前のご相談は無料です。

※LINEと問い合わせフォームは24時間受け付けています。しつこい勧誘は一切ございません。

当時の主治医と連絡が取れない・カルテがない場合、どう対処しますか?

診察券やお薬手帳、健康保険の給付記録などの代替資料を組み合わせれば、認定日当時の状態を裏付けられる場合があります。1枚だけでは弱くても、複数を積み重ねることが重要です。まず確認したいのは、当時の病院自体がまだ診療を続けているかどうかです。担当医が退職・異動していても、病院にカルテが残っていれば、後任の医師が引き継いで証明書を作成できることがあります。

手元の資料と第三者証明を組み合わせる

診察券、通院時の領収書、お薬手帳のほか、加入していた健康保険組合に開示請求できるレセプト(診療報酬明細書)も、当時の通院状況を示す資料になります。それでも証拠が集まらない場合、最終手段として第三者証明という制度もありますが、請求者の三親等内の親族は証明者になれません。

当時の主治医の先生が退職してしまい、連絡先も分かりません。もう無理でしょうか

社労士

その病院自体が今も診療を続けていれば、担当医が変わっていてもカルテをもとに証明書を発行してもらえることがあります。まずは病院に、当時のカルテが残っているかどうかを問い合わせてみましょう

どうしても証拠が集まらない場合、あきらめるしかありませんか?

認定日当時の証拠がどうしても集まらない場合は、現在の状態で申請する事後重症請求という方法があります。ただし、遡及請求とは支給の始まる時期が異なります。

認定日請求と事後重症請求の違い

認定日請求(遡及請求)事後重症請求
支給開始認定日の翌月分から(時効にかからない直近5年分)請求した翌月分から
必要な診断書認定日から3か月以内+現在の2枚現在(請求前3か月以内)の1枚
年齢の制限特になし65歳に達する日の前日まで

事後重症請求は、認定日にさかのぼって受け取ることはできず、請求した翌月分からの支給になります。その代わり、当時のカルテがなくても、現在の状態を示す診断書1枚で申請できます。65歳に達する日の前日までに請求する必要があるため、年齢が近い方は特に早めの行動が欠かせません。認定日から何年も経ってから相談に来られる方の中には、この期限を知らずに時間だけが過ぎてしまっているケースも見受けられます。

よくある質問

Q. 遡及請求と事後重症請求は、同時に検討できますか?

A. できます。まず認定日当時の証拠を探して遡及請求を目指し、どうしても証拠が集まらなければ事後重症請求に切り替えるという進め方が一般的です。証拠集めと並行して検討しておくと、判断に迷ったときに動きやすくなります。

Q. 65歳を過ぎたら、遡及請求はできませんか?

A. できます。年齢による制限があるのは事後重症請求だけで、認定日請求(遡及請求)に年齢の上限はありません。65歳を過ぎていても、認定日当時の証拠がそろえば申請できます。

Q. 5年より前の分は、本当に一切もらえませんか?

A. 通常の支分権としては受け取れません。ただし、年金記録の訂正など特別な事情がある場合には、時効特例により5年より前の分も含めて全額支給される制度があります。ご自身のケースが該当しそうかどうかは、年金事務所で確認してみましょう。

Q. 主治医が亡くなっている場合はどうすればいいですか?

A. 病院自体が診療を続けていれば、後任の医師がカルテをもとに証明書を作成できる場合があります。病院が廃院している場合は、代替資料や第三者証明を組み合わせる方法を検討しましょう。

まとめ:カルテがなくても、遡及請求をあきらめるのはまだ早い

障害認定日当時のカルテが残っていなくても、遡及請求そのものをあきらめる必要はありません。まずは2番目以降に受診した病院の記録や、お薬手帳・診察券といった手元の資料を確認する。それでも足りない場合は第三者証明を検討し、最終的に証拠がそろわなければ事後重症請求に切り替える。この順序で進めれば、5年以上前の分まで受け取れる可能性を残したまま検討できます。

証拠が残っているかどうかは、実際に問い合わせてみないと分からないことも多いものです。どこから手をつければよいか分からない場合は、当センターの無料相談もご利用いただけます。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。

参考資料

国民年金法 第102条(e-Gov法令検索)
医師法 第24条(e-Gov法令検索)
年金の時効(日本年金機構)

LINEでのご相談手順(24時間受付)

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この記事を書いた人

請川 智章のアバター 請川 智章 社会保険労務士・障害年金専門

香川県観音寺市を拠点とする障害年金専門の社会保険労務士
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