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失業手当と障害年金は同時に受け取れる?「働ける・働けない」の矛盾をどうクリアするか

監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は雇用保険法、国民年金法施行令、日本年金機構の公表情報に基づき作成しています。

この記事の結論

失業手当(雇用保険の基本手当)と障害年金は、制度の目的が異なるため併給調整の規定がなく、どちらも減額されずに同時に受け取れます。

障害年金の「働けない」とは、労働により収入を得ることが困難な程度の制限を指し、あらゆる労働が不可能な状態のみを意味しません。

失業手当の受給には「働く意思と能力」が必要なため、ハローワークには「制限付きなら働ける」という実態を正確に伝えることが両立の鍵になります。

病気やケガで会社を退職すると、生活を支える「失業手当」と「障害年金」のどちらも気になる方が多いのではないでしょうか。「この2つは同時にもらえるのか」「ハローワークで正直に話すと、障害年金の審査に響くのでは」という不安の声もよく聞かれます。

結論からお伝えすると、両方を満額受け取ることができます。ここでは、「働ける」と「働けない」という一見矛盾するように見える2つの制度の考え方と、実際の手続きの流れを解説します。

目次

失業手当と障害年金は、同時に受け取れますか?

失業手当(雇用保険の基本手当)と障害年金は制度の目的が異なるため併給調整の規定がなく、どちらも減額されずに同時に受け取れます。同じ「働けない」ことへの補償である傷病手当金(健康保険)は障害年金と調整(減額)されますが、失業手当は「働く意欲があるのに仕事がない」ことへの給付のため、障害年金とは調整されません。

制度上お金の計算で損をすることはないため、退職後の生活を支える経済的な支えとして、両方の制度を漏れなく活用する価値があります。

制度目的障害年金との調整
傷病手当金(健康保険)病気で働けないことへの補償調整あり(減額される)
失業手当(雇用保険)働く意欲があるのに仕事がないことへの補償調整なし

「働ける」と「働けない」、矛盾しないのですか?

障害年金でいう「働けない」とは、国民年金法施行令第4条の6・別表が定める「労働により収入を得ることができない程度」の状態を指し、あらゆる労働が一切不可能という意味ではありません。実際、障害厚生年金3級は「労働に著しい制限を加えることを必要とする程度」とされ、日常生活にはほとんど支障がなくても労働に制限があれば該当します。

障害年金の「働けない」の範囲を社労士と確認する様子

一方、失業手当の受給要件である「失業」は、雇用保険法第4条第3項により「労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態」と定義されており、この「能力」は制限付きの就労能力も含みます。つまり「短時間・配慮ありなら働ける」という状態は、失業手当の要件と障害年金の要件のどちらにも矛盾しません。「働ける」か「働けない」かを二択で考えるのではなく、「どの程度の制限があるか」という一本の物差しで捉えることが、この矛盾を解消する考え方です。

障害年金をもらいながら失業手当をもらったら、不正受給になりませんか?

社労士

両方の受給要件を満たしていれば不正受給にはなりません。大切なのは、ハローワークと年金機構、それぞれに伝える内容に食い違いがないようにすることです。

ご自身のケースが当てはまるか、迷っていませんか

障害年金は、同じ傷病でも初診日や日常生活の状況によって結果が変わります。記事だけでは判断がつかない部分も多いので、気になる点があればお気軽にお声かけください。ご依頼前のご相談は無料です。

※LINEと問い合わせフォームは24時間受け付けています。しつこい勧誘は一切ございません。

ハローワークでは、どう説明すればいいですか?

「以前と同じ仕事は難しいが、短時間の軽作業や配慮のある環境であれば働ける」という条件付き就労の意思と能力を伝えることが、両立の鍵になります。「全部大丈夫です」と元気すぎるアピールをする必要はなく、「週20時間程度の事務職を探しています」など、具体的な制限事項を正直に伝えましょう。

実際の求職活動も、無理に一般枠のフルタイムに応募する必要はありません。ハローワークの「専門援助部門(障害者窓口)」に相談し、病状に理解のある職場や障害者雇用枠の求人を探す活動をすれば、正式な求職活動として認められます。

伝え方理由
「短時間なら働ける」「配慮があれば働ける」と具体的に伝える制限付きの就労能力を正確に示せる
「全く働けない」とだけ伝える失業手当の受給資格がないと判断される
「なんでも大丈夫」と元気さを強調する障害年金の審査資料との整合性が崩れる

主治医に「働ける範囲」を確認しておく

ハローワークに行く前に、主治医に「今の状態で、週何時間くらいなら働いてよいか」を確認しておくと安心です。医師から求職活動の許可が出ていれば、その内容が障害年金の診断書との整合性を保つ材料にもなります。

手続きの順番で、気をつけることはありますか?

退職直後で治療に専念する必要がある場合は、まずハローワークで「受給期間の延長」の手続きを行うことが重要です。雇用保険法第20条により、病気やケガで30日以上働けない場合は申出によって受給期間を延長でき、原則1年の受給期間を最大4年まで確保できます。

ハローワークでの手続き順を社労士に相談する様子

延長期間中に体調を整えながら障害年金の申請準備を進め、決定後に体調が「条件付きなら働ける」レベルまで回復した段階で求職の申し込みを行えば、両方の制度を矛盾なく利用できます。

障害年金の決定を待ってから求職申し込みをする必要はない

障害年金の審査には数ヶ月かかることが一般的ですが、その決定を待ってから求職申し込みをする必要はありません。体調が「条件付きなら働ける」状態まで回復していれば、障害年金の審査結果が出る前に求職申し込みをしても問題ありません。両方の手続きは別々の窓口で進んでいくものとして、それぞれのタイミングで対応しましょう。

よくある質問

Q. 障害年金を受給しながら失業手当をもらうと、不正受給になりませんか?

A. いいえ。両方の受給要件を満たしていれば不正受給にはなりません。ハローワークと年金機構、それぞれに伝える内容に食い違いがないようにすることが重要です。

Q. 傷病手当金と失業手当は、障害年金との扱いが違うのですか?

A. はい。傷病手当金は障害年金と同じ目的のため調整(減額)されますが、失業手当は制度の目的が異なるため調整されません。

Q. 求職活動は、一般枠のフルタイムで探さないといけませんか?

A. いいえ。ハローワークの専門援助部門(障害者窓口)に相談し、病状に配慮のある職場や障害者雇用枠の求人を探す活動でも、正式な求職活動として認められます。

Q. 受給期間の延長は、どのくらいの期間認められますか?

A. 病気やケガで30日以上働けない場合、申出により最大3年間延長でき、原則1年の受給期間と合わせて最大4年まで確保できます。

まとめ:矛盾ではなく「制限付きの就労能力」を正確に伝える

失業手当と障害年金の併給は、「ズル」ではなく正当な権利です。ただし説明の仕方を間違えると、審査や受給資格に影響しかねません。「以前と同じようには働けないが、条件付きなら働ける」という実態を、ハローワークにも医師にも一貫して正直に伝えることが、両方の制度を矛盾なく活用する一番の近道です。判断に迷う場合は、行動する前に専門家へご相談ください。

来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。

参考資料

・雇用保険法 第4条・第20条(e-Gov法令検索)
・障害等級表(日本年金機構)
・障害認定基準(日本年金機構)

LINEでのご相談手順(24時間受付)

当センターでは、外出が難しい方や遠方にお住まいの方でもスマートフォン一つでご相談いただけるよう、公式LINEでの無料相談を承っております。全国どこからでもご利用いただけます。
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皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。

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この記事を書いた人

請川 智章のアバター 請川 智章 社会保険労務士・障害年金専門

香川県観音寺市を拠点とする障害年金専門の社会保険労務士
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