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2つ以上の障害を合わせる「併合認定」|複数疾患で上位等級を目指す条件

併合1

監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は国民年金法、日本年金機構「障害認定基準 第2章 併合等認定基準」に基づき作成しています。

この記事の結論

2つ以上の障害がある場合は「併合認定」により障害を合わせた程度で等級が判定され、単独では届かなかった等級へ繰り上がることがあります。

単独では基準に届かなくても、後から生じた別の障害と合わせて初めて2級以上になる「初めて2級」(国民年金法第30条の3)という制度もあります。

ただし前後の障害に因果関係があるとみなされると最初の障害の初診日で一括判断されるため、この見極めが最も重要です。

障害年金の申請において、多くの方が直面する複雑な壁の一つに「複数の病気やケガを抱えている場合、どう評価されるのか」という問題があります。「うつ病で通院しているが、心臓の持病もある」「肢体の不自由に加え、最近は内臓疾患も悪化してきた」といったケースは決して珍しくありません。

このような場合、複数の障害を一つにまとめて評価する「併合認定(へいごうにんてい)」という仕組みを活用することで、単独では届かなかった等級への認定が可能になる場合があります。今回は、誤解の多い併合認定の仕組みと、実務上のポイントを詳しく解説します。

目次

併合認定とは、どんな仕組みですか?

初診日などが異なる複数の障害がある場合に、それぞれの障害の程度を「併合番号」に置き換え、日本年金機構の定めるマトリックス表に照らして最終的な等級を決定する仕組みです。単純な足し算ではなく、緻密なルールに基づいて判定されます。

複数の障害を併合認定で評価する仕組みを社労士に相談する様子

併合番号とマトリックス表による判定

障害年金の審査では、個々の障害の程度を「併合判定参考表」に基づき、1号から13号までの「併合番号」に置き換えます。

等級相当併合番号
1級相当1号
2級相当2号・3号・4号
3級相当5号・6号・7号
障害手当金相当8号・9号・10号
不該当11号・12号・13号

これらの番号を「併合(加重)認定表」に照らし合わせ、交差する箇所の数字によって最終的な等級が決まります。例えば「2級相当(2号〜4号)」の障害が2つある場合、交点は「1号(1級)」となり、1級へ繰り上がることがあります。

併合されない障害(総合認定)への注意点

すべての障害がこの「号数の足し算」で決まるわけではありません。内科的疾患(心疾患と腎疾患など)や精神疾患などが併存している場合は、個別に号数を出して足すのではなく、全体を一つの障害としてトータルで評価する「総合認定」が行われるのが実務上の通例です。この場合、機械的な計算通りにはいかないため、より慎重な準備が必要になります。

単独では受給できない場合でも、「初めて2級」で受給できることがありますか?

以前からの障害が単独では基準に届かなくても、後から生じた別の障害と合わせて初めて2級以上になれば、「初めて2級」(国民年金法第30条の3)として受給権が発生することがあります。基礎年金(国民年金)の対象となる方にとって、強力な救済策です。

初めて2級の仕組みで受給権が発生する条件を確認する様子

単独では受給できなくても、合算で受給権が発生する

以前からの障害(前障害)が3級相当やそれより軽い状態で基礎年金の受給権がなかった場合でも、新たに別の障害(基準障害)が生じ、65歳に達する前日までの間に前後の障害を合わせて初めて2級以上の基準を満たせば、受給権が発生します。過去に「3級程度だから」「未納があったから」と諦めていた障害であっても、前障害として活用できる可能性があります。

納付要件は「後から起きた障害」の時点で判定される

保険料の納付要件は「後から起きた障害(基準障害)」の初診日前日において判定されます。以前からある前障害の時点で納付要件を満たせなかったとしても、新しく起きた障害の初診日において納付要件を満たしていれば、合算して受給できる可能性があります。ただし、前障害についても「いつ始まったのか」という初診日の特定は不可欠で、受診状況等証明書などで客観的な記録を示す必要があります。

昔かかった病気のときは保険料を未納にしていた時期があるのですが、それでも合算の対象にできますか?

社労士

「初めて2級」の場合、納付要件は前障害ではなく、後から生じた障害(基準障害)の初診日時点で判定されます。当時未納があっても、今の障害の初診日で要件を満たしていれば、合算して受給できる可能性があります。

ご自身のケースが当てはまるか、迷っていませんか

障害年金は、同じ傷病でも初診日や日常生活の状況によって結果が変わります。記事だけでは判断がつかない部分も多いので、気になる点があればお気軽にお声かけください。ご依頼前のご相談は無料です。

※LINEと問い合わせフォームは24時間受け付けています。しつこい勧誘は一切ございません。

併合認定で最も重要な注意点は何ですか?

前後の障害が医学的に「別々の病気」であることが絶対条件で、「相当因果関係」があるとみなされると、すべて最初の病気の初診日で判断されてしまいます。この判断が、併合申請における実務上の最難関です。

2つの病気に因果関係があるかどうかを確認する様子

2つの病気に「因果関係」がないこと

因果関係があるとみなされると、納付要件の判定も「大昔の初診日」まで遡ってしまい、当時の未納が原因で受給できなくなるケースも起こり得ます。「別々の病気として切り離せるのか」「それとも関連した病気とみなされるのか」の判断こそが、社労士の専門性が問われる部分です。

因果関係なし(別々の病気)因果関係あり(相当因果関係)
初診日の判断それぞれの障害の初診日で判断最初の障害の初診日で一括判断
納付要件基準障害(後発)の初診日で判定最初の初診日まで遡って判定

併合申請を成功させるには、どう準備すればいいですか?

複数の病院から有効期限内の診断書を同時に揃え、複数の疾患がどのように生活を制限しているかを申立書で論理的に説明することが重要です。併合認定や「初めて2級」の申請は、通常の申請に比べて事務負担や立証の難易度が上がります。

複数の病院から「有効な診断書」を同時に揃える

障害年金の診断書には「現症日(その時の状態)」から3ヶ月以内という有効期限があります。複数の病院を掛け持ちしている場合、すべての診断書をこの期限内に、かつ内容に齟齬がないよう揃えるには、精密なスケジュール管理が求められます。

症状の「優先順位」を整理した申立書

複数の疾患がある場合、それらがどのように干渉し合い、日常生活を制限しているのかを論理的に説明しなければなりません。単に病名を並べるだけでは実態が伝わらず、低く評価されてしまうリスクがあります。どの症状を主軸に据え、どのように合算の正当性を主張するかという整理が成否を分けます。

よくある質問

Q. 3つ以上の障害がある場合も併合認定できますか?

A. はい。3つ以上の場合は、まず番号が下位の2つを併合し、その結果と残りの障害を順次併合していく方法で最終的な等級を求めます。

Q. 障害基礎年金と障害厚生年金、両方に併合認定は使えますか?

A. はい。併合認定の仕組み自体はどちらの年金にも共通して適用されます。ただし「初めて2級」は障害基礎年金・障害厚生年金のいずれについても請求可能です。

Q. 因果関係があるかどうかは誰が判断するのですか?

A. 最終的には日本年金機構の審査で判断されますが、医学的な経過や治療記録をもとに、請求者側が根拠を示して主張することも可能です。

Q. 同じ部位に複数の障害がある場合も同じルールですか?

A. いいえ。同一部位に障害が併存する場合は、併合認定の結果が法令に明示された等級との均衡を失わないよう、別の調整が行われることがあります。

まとめ:個別の症状で諦めず、「合計の力」で未来を支える

障害年金は、一つの病気だけで戦う必要はありません。複数の障害があることは、それだけ日々の生活に多大な苦労があるという証です。併合認定や「初めて2級」は、その困難を総合的に評価し、救済するための制度です。「自分の状態では無理だ」と個別に判断せず、全体像を捉え直すことで、新しい道が見えてくるはずです。香川・岡山・愛媛をはじめ中四国エリアで複雑な病歴にお悩みの方も、来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。

参考資料

国民年金法 第30条の3(e-Gov法令検索)
障害認定基準 第2章 併合等認定基準(日本年金機構)

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この記事を書いた人

請川 智章のアバター 請川 智章 社会保険労務士・障害年金専門

香川県観音寺市を拠点とする障害年金専門の社会保険労務士
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