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「症状固定」と言われたら申請の合図?肢体の障害において診断書を依頼する適切な時期とは

症状固定1

監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は国民年金法、厚生年金保険法、日本年金機構「障害認定基準」に基づき作成しています。

この記事の結論

「症状固定」は治療を続けても回復が見込めない状態を指しますが、肢体の障害では、この症状固定日ではなく「障害認定日の特例」に該当する日が、診断書を依頼すべき正しい基準日になります。

特例に当てはまらない傷病は、症状固定日を含め初診日から1年6ヶ月を経過した日が基準になります。

人工関節・人工骨頭による3級認定は厚生年金加入者に限られ、国民年金のみの加入では原則として対象外になる点に注意が必要です。

「これ以上の回復は見込めません。今日でリハビリは終了、症状固定ですね」主治医からそう告げられたとき、多くの方は「ようやく申請できる」と考えます。しかし医師の言う「症状固定」と、年金機構が求める「障害認定日」は、一致しないこともあります。

特に肢体の障害は、タイミングの判断ひとつで受給額が数百万円単位で変わることも珍しくありません。ここでは、肢体の障害で診断書を依頼すべき本当のタイミングを解説します。

目次

肢体の障害で「症状固定」と言われたら、いつ診断書を依頼すればいいですか?

原則は初診日から1年6ヶ月を経過した日(症状固定日を含む)が障害認定日ですが、肢体の障害には、この日を待たずに障害認定日にできる「認定日の特例」が数多く認められています。特例に該当する日を先に確認することが、診断書を依頼すべき正しいタイミングを知る第一歩です。

障害認定日の原則は「初診日から1年6ヶ月」

障害認定日は、国民年金法第30条第1項・厚生年金保険法第47条第1項により「初診日から起算して1年6ヶ月を経過した日(その期間内に症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日があるときは、その日)」と定められています。つまり症状固定日そのものが障害認定日になり得ますが、肢体の障害の場合はさらに、切断・離断日や人工関節の挿入置換日などを基準日にできる特例が認められています。

肢体の障害に認められる認定日の特例

ケース障害認定日となる基準日等級の目安
肢体の切断・離断切断または離断した日1肢の切断で2級、2肢の切断で1級が目安
人工関節・人工骨頭の挿入置換挿入置換した日原則3級(要件は後述)
脳血管障害(脳梗塞・脳出血等)による麻痺初診日から6ヶ月経過後、それ以上の回復が見込めないと認められる日症状の程度による
人工透析透析開始から3ヶ月経過した日2級が目安
人工肛門造設・尿路変更術造設日・手術日から6ヶ月経過した日症状の程度による
喉頭全摘出手術を行った日2級が目安
ペースメーカー・ICD・人工弁の装着装着した日3級が目安

いずれも、該当日が初診日から1年6ヶ月を超えている場合は特例が使えなくなり、原則どおり初診日から1年6ヶ月を経過した日が障害認定日になります。

人工関節・人工骨頭を入れたら、必ず3級を受給できますか?

人工関節・人工骨頭の挿入置換は原則3級の認定を受けられますが、この等級は厚生年金保険法施行令第3条の8に定める厚生年金保険特有の等級のため、初診日に国民年金のみに加入していた方は原則として対象になりません。3級は障害厚生年金にのみ存在し、障害基礎年金には3級がないためです。

障害認定日の特例について社労士に相談する様子

国民年金加入中の初診であっても、その後さらに症状が悪化し2級以上に該当する状態になれば、障害基礎年金として受給できる可能性があります。

人工股関節の手術を受けたのですが、当時は自営業で国民年金だけに加入していました。それでも障害年金はもらえますか?

社労士

人工関節の3級認定は障害厚生年金の制度なので、初診日に国民年金のみだった場合は原則として対象になりません。ただし、その後さらに症状が悪化して2級相当の状態になっていれば、障害基礎年金として受給できる可能性があります。まずは現在の日常生活の状態を詳しく確認させてください。

ご自身のケースが当てはまるか、迷っていませんか

障害年金は、同じ傷病でも初診日や日常生活の状況によって結果が変わります。記事だけでは判断がつかない部分も多いので、気になる点があればお気軽にお声かけください。ご依頼前のご相談は無料です。

※LINEと問い合わせフォームは24時間受け付けています。しつこい勧誘は一切ございません。

症状固定と言われたら、医師にはどう伝えれば実態に即した診断書になりますか?

診察室での「頑張ればできる姿」と自宅での実態に乖離があるまま診断書を依頼すると、実態より軽い等級に判断されてしまうリスクがあるため、依頼前に自宅での実態を整理して伝えることが重要です。リハビリ室という整った環境で「頑張ればできる姿」を基準に診断書が書かれてしまうと、日常生活の困難さが反映されないことがあります。特に次の3点は、自分から伝えないと診断書に反映されません。

伝えるべき項目具体的な内容
補助器具の使用実態杖・歩行器・車椅子がなければ移動できない、壁をつたわなければ歩けないなど
転倒のリスクと動作の質すぐにふらつく、激しい痛みを伴うなど、「立てる」だけでは伝わらない安全性
就労・社会生活への制限通勤時の段差や長時間の座位保持がどれほど困難かなど

「症状固定」はその時点の状態が一生の評価として固定されることも意味し、一度書かれた診断書を後から修正してもらうのは非常に困難です。だからこそ依頼するその瞬間に、これらの実態を客観的な資料として医師に示す必要があります。

何年も前に症状固定していた場合、今から遡って請求できますか?

「障害認定日(特例を含む)」時点の診断書と「現在」の診断書の2枚を揃えれば、最大5年分の年金を一括で受け取れる遡及請求が可能です。年金を受け取る権利は国民年金法第102条第1項・厚生年金保険法第92条第1項により5年で時効消滅するため、さかのぼれるのは直近5年分に限られます。

遡及請求のために当時のカルテの有無を医療機関に確認する様子

当時のカルテが残っているかを早めに確認する

診療録の保存義務は5年間とされているため、手術から時間が経っているほど、当時の状態を記載した診断書を取得できるかどうかが不確実になります。特に人工関節置換術のように手術日が明確なケースは大きな受給チャンスが眠っているので、心当たりがある場合はまず医療機関にカルテが残っているかを確認することが、遡及請求の第一歩です。

よくある質問

Q. 特例に該当する日が、初診日から1年6ヶ月を超えていたらどうなりますか?

A. その場合は特例が使えず、原則どおり初診日から1年6ヶ月を経過した日が障害認定日になります。

Q. 症状固定と言われても、診断書をすぐに依頼しない方がいいケースはありますか?

A. はい。診察室での様子と自宅での実態に乖離がある場合は、実態を伝える資料を準備してから依頼した方が、より正確な等級認定につながります。

Q. 遡及請求をする場合、診断書は何枚必要ですか?

A. 障害認定日(特例を含む)当時の状態を記載した診断書と、現在の状態を記載した診断書の2枚が必要です。

Q. リハビリで機能が回復傾向にある場合でも症状固定と言えますか?

A. いいえ。医学的にそれ以上の回復が見込めないと判断された時点が症状固定であり、回復が続いている途中の段階は該当しません。

まとめ:その「症状固定」は、本当に今がベストか?

「症状固定」をきっかけに動き出すのは正解です。しかし、その瞬間にハンコを押す前に、もう一度だけ「日常生活の実態」と「認定日の特例」を照らし合わせてみてください。肢体の障害は基準が数値化されている分、わずかな遅れや記載の不備が、将来受け取る年金額に直結するシビアな分野です。

来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。

参考資料

国民年金法 第30条(e-Gov法令検索)
厚生年金保険法 第47条(e-Gov法令検索)
障害認定基準(日本年金機構)

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この記事を書いた人

請川 智章のアバター 請川 智章 社会保険労務士・障害年金専門

香川県観音寺市を拠点とする障害年金専門の社会保険労務士
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