監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は国民年金法・厚生年金保険法及び厚生労働省・日本年金機構の公表情報に基づき作成しています。
この記事の結論
照会文書は、指定された期限までに必要事項を記入して返送すれば、それだけで審査への支障はほとんどありません(国民年金法第30条・厚生年金保険法第47条に基づく認定審査の一環として行われます)。
記載内容に迷うときは、返送前に年金事務所か社会保険労務士へ相談してください。
最大の注意点は内容そのものより期限で、返送が遅れると審査が止まったまま進まなくなります。
障害年金を申請中の方や、すでに受給している方のもとに、日本年金機構や年金事務所から見慣れない「照会文書」という書類が届いて驚いた、という声を伺うことがあります。
何かの間違いを指摘されたのではないか、不支給の前触れではないかと不安になりがちですが、照会文書は審査を進めるために必要な情報を補うための書類です。この記事では、照会文書が届く理由と正しい対応方法、そして似た書類である「返戻」との違いを整理します。
障害年金の「照会文書」とは何ですか?
照会文書とは、障害年金の審査を担当する認定医が、提出済みの診断書や病歴・就労状況等申立書だけでは判断材料が不足すると判断した際に、請求者や受給者へ追加の質問や資料の提出を求める書類です。審査を丁寧に行うための手続きの一つです。
精神障害・知的障害については、厚生労働省の通知(年管管発0715第1号)に基づき「日常生活及び就労に関する状況について(照会)」という専用の書式が定められています。身体障害や他の傷病でも、初診日や日常生活の状況を確認するために、個別の照会が行われることがあります。
誰が記入するのですか?
本人または家族のほか、日常的に本人と接していて生活状況をよく把握している第三者(地域や職場の支援者など)が記入することも認められています。本人が体調により記入が難しい場合の助けになります。
届くタイミングはいつ頃ですか?
診断書や申立書などの提出後、審査が進む途中の段階で届きます。審査のすべてのケースで届くわけではなく、認定医が診査の過程で判断に迷った場合に限って送付されるため、届いた時点で不支給が決まっているわけではありません。
照会文書は、なぜ・どんなときに届くのですか?

照会文書が届く主なきっかけは、①ガイドラインが示す等級の目安と大きく異なる等級を検討する必要がある場合、②診断書の「程度」と「判定」の評価に整合性が乏しく目安が使えない場合、③再認定で現在より低い等級や非該当への変更を検討する場合の3つです。
これは厚生労働省の通知(年管管発0715第1号)で示されている運用であり、精神障害・知的障害以外の傷病でも、申立書と診断書の記載に食い違いがある場合や、初診日を特定する資料が不足している場合に、同様の照会が行われることがあります。
先日、年金機構から見慣れない書類が届いて、不支給の通知かと思って怖くなりました…。
社労士それは『照会文書』ですね。診断書の内容をより詳しく確認するための書類で、届いたからといって不支給が決まったわけではありませんよ。
診断書の内容を否定するものですか?
いいえ。照会は診断書の記載を否定するものではなく、記載内容を補って正確な等級判定につなげるために行われます。
精神疾患以外の傷病でも届きますか?
はい。身体障害や内部障害でも、初診日の確認や日常生活状況の確認のために、個別に照会が行われることがあります。
ご自身のケースが当てはまるか、迷っていませんか
障害年金は、同じ傷病でも初診日や日常生活の状況によって結果が変わります。記事だけでは判断がつかない部分も多いので、気になる点があればお気軽にお声かけください。ご依頼前のご相談は無料です。
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照会文書が届いたら、まず何をすればいいですか?
照会文書が届いたら、まず記載されている返送期限を確認し、期限内に必要事項を記入して返送してください。
内容が難しい、あるいはどう書けば実態が正確に伝わるか迷う場合は、返送前に年金事務所か社会保険労務士に相談することをおすすめします。記載内容によって等級判定が左右されることもあるため、一人で抱え込まないことが大切です。
特に精神障害・知的障害のケースでは、体調の波によって、できることと実際の生活での大変さに差が出やすいものです。その日の調子だけでなく、普段の状態を思い出しながら、頻度や介助の有無を具体的に書くことがポイントです。
自分で対応するのが不安なときは?
照会文書の内容は等級判定に直結するため、記入内容に不安があるときは、一人で仕上げようとせず、早めに年金事務所や社会保険労務士へ相談してください。
記入内容を間違えて提出したらどうなりますか?
提出後に誤りに気づいた場合は、できるだけ早く年金事務所へ連絡し、訂正できるかどうかを確認してください。気づいた時点で放置せず、早めに動くことが重要です。
照会文書と「返戻」は何が違いますか?

照会は審査の途中で判断材料を補うための手続きで、返戻は書類の不備によって審査自体がいったん止まる手続きという点が違います。
| 照会 | 返戻 | |
|---|---|---|
| 目的 | 審査中に判断材料を補う | 書類の不備を正して再提出を求める |
| 審査の状態 | 回答を待って審査が再開する | 受理前の状態に戻り、審査は始まっていない |
| 主な原因 | 診断書と申立書の整合性、等級目安との乖離など | 記入漏れ、添付書類の不足、様式の誤りなど |
| 対応方法 | 期限までに必要事項を記入して返送 | 不足書類をそろえて改めて提出 |
| 根拠 | 厚生労働省通知(年管管発0715第1号)等に基づく運用 | 提出書類の様式・記載要領に基づく運用 |
返戻の通知が届いたらどうすればいいですか?
指摘された不備を確認し、不足している書類や記入漏れを補ったうえで、年金事務所または市区町村の窓口へ改めて提出してください。
照会文書を放置するとどうなりますか?
回答がないまま時間が過ぎると、審査は保留された状態が続き、支給決定も先延ばしになります。期限内の対応が難しい事情があるときは、放置せず早めに年金事務所へ相談してください。
よくある質問
Q. 「障害状態確認届(診断書)」と「照会文書」は同じものですか?
A. 別のものです。障害状態確認届は受給者の更新時期に定期的に届く診断書で、照会文書は審査の途中で疑問点が生じたときに届く追加質問の書類です。名称が似ているため、混同しないよう注意してください。
Q. 照会文書が届くと、必ず等級が下がりますか?
A. 必ず下がるとは限りません。照会は認定医が判断材料を補うための手続きであり、記載内容によっては従前どおりの等級が維持されることもあります。落ち着いて実態を正確に記入することが大切です。
Q. 照会文書に回答したあとは、何もしなくていいですか?
A. 基本的には審査結果の通知を待つだけで問題ありません。ただし、回答後に記載内容の誤りに気づいた場合は、早めに年金事務所へ連絡し、訂正できるか確認してください。
Q. 照会文書が届いたのを機に、他の提出書類も見直すべきですか?
A. 診断書や病歴・就労状況等申立書との整合性は等級判定に影響するため、照会文書を機に内容を見直すことは有効です。不安がある場合は、社会保険労務士への相談もご検討ください。
まとめ:照会文書は焦らず期限内の対応を
照会文書は、審査を止めるための書類ではなく、正しい等級判定に必要な情報を補うための書類です。届いたら早めに開封し、期限内に必要事項を記入して返送することが何よりも重要です。記載内容に迷うときや、実態が正確に伝わる書き方に不安があるときは、一人で抱え込まず、年金事務所や社会保険労務士に相談してください。中四国障害年金相談センターでは、照会文書への対応を含めた障害年金の申請サポートを行っています。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
参考資料
・国民年金法 第30条(e-Gov法令検索)
・厚生年金保険法 第47条(e-Gov法令検索)
・精神の障害に係る等級判定ガイドラインの実施等について(厚生労働省)
・『国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン』等(日本年金機構)
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