腎臓の病気で通院を続けているけれど、「透析が始まるまでは障害年金は関係ない」と思っていませんか。実は、人工透析を始める前の段階でも、腎機能の低下の程度と日常生活への影響によっては障害年金の対象となることがあります。
このコラムでは、慢性腎不全で障害年金を申請するときの認定基準の考え方を、透析前・透析後それぞれについて整理してご説明します。
腎疾患の障害年金|認定の対象と基本的な考え方
腎疾患による障害年金の認定対象は、そのほとんどが慢性腎不全です。慢性腎不全とは、慢性腎疾患によって腎機能障害が持続的に徐々に進行し、生体が正常に維持できなくなった状態をいいます。糖尿病性腎症・慢性腎炎(ネフローゼ症候群を含む)・腎硬化症・多発性嚢胞腎などが主な原因疾患です。
検査値だけでなく日常生活の状況も総合的に判断される
腎疾患の障害の程度は、自覚症状・他覚所見・検査成績・一般状態・治療や病状の経過・日常生活の状況などを総合的に考慮して認定されます。検査数値だけで機械的に決まるわけではなく、実際の生活にどれだけ支障が出ているかも重要な判断材料になります。
また、検査成績は変動しやすいため、腎疾患の経過中でもっとも適切に病状をあらわしている時期の数値をもとに認定が行われます。
透析前の慢性腎不全で申請できるか
「透析が始まってから申請するもの」というイメージをお持ちの方が多いですが、透析前の段階でも認定される可能性があります。判断の目安となるのは、主に血清クレアチニン値(またはeGFR)と一般状態区分の組み合わせです。

検査値による異常の区分
慢性腎不全の認定基準では、血清クレアチニン値の異常の程度を次のように区分しています。eGFR(推算糸球体濾過量)が記載されている場合はeGFRで代替することも可能です。
- 軽度異常:血清クレアチニン値が基準値を超えている状態(eGFRでは10以上20未満)
- 中等度異常:血清クレアチニン値が高度に上昇している状態(eGFRでは10未満)
一般状態区分との組み合わせで等級が決まる
認定基準では、上記の検査値の異常区分と、日常生活の制限の程度を示す「一般状態区分」を組み合わせて等級の目安が示されています。たとえば、検査値が中等度異常であっても、日常生活にほとんど支障がなければ認定されません。逆に、軽度の検査値の異常であっても、日常生活に著しい制限が生じている場合はより上位の等級で認定される可能性があります。
「自分の数値はまだそれほど悪くないから」と申請をためらっている方も、実際の生活状況をあわせて確認することが大切です。
人工透析を始めたら原則2級
人工透析療法を施行中の方は、原則として2級に認定されます。透析の身体的・時間的な負担の大きさが考慮された基準です。なお、主要症状や検査成績・長期透析による合併症の有無や程度・日常生活の状況によっては、さらに上位の1級に認定されることもあります。
透析開始後の障害認定日は特例が適用される
通常、障害認定日は初診日から1年6か月後ですが、人工透析の場合は特例があります。透析を初めて受けた日から3か月を経過した日が障害認定日となります(初診日から1年6か月を超える場合を除く)。透析導入後、比較的早い段階で申請できる仕組みになっています。
腎臓移植を受けた場合の取り扱い
腎臓移植を受けた方については、術後の症状・治療経過・検査成績・予後等を総合的に考慮して認定されます。すでに障害年金を受給していた方が移植を受けた場合は、臓器が生着して安定的に機能するまでの間を考慮して、術後1年間は従前の等級が維持されます。
申請前に注意したいポイント
腎疾患の申請では、認定基準の理解に加えて、いくつか実務上の注意点があります。
初診日の特定に注意が必要なケースがある
糖尿病性腎症などは、糖尿病の治療を長年続けた末に腎症が進行するケースが多く、「腎臓の病気で最初に受診した日」と「糖尿病で最初に受診した日」のどちらが初診日になるかで判断が変わることがあります。初診日の特定が申請結果に大きく影響するため、慎重に確認することが必要です。
まだ透析は始まっていないのですが、腎臓の数値がかなり悪くなってきました。今の段階で申請できますか?
社労士透析前でも申請できる可能性はあります。血清クレアチニン値やeGFRの数値と、日常生活にどれだけ支障が出ているかを組み合わせて判断されます。「数値がまだそれほど悪くないから」と決めつけずに、一度現状を整理してみましょう。障害年金専門の社労士に相談すると、ご自身のケースで申請できるかどうか確認することができます。
検査値は変動するため、もっとも状態の悪い時期の数値が重要
腎疾患の検査値は体調や治療によって変動しやすいため、認定は「もっとも適切に病状をあらわしていると思われる時期の検査成績」をもとに行われます。直近の数値だけでなく、治療経過全体の中で状態の悪かった時期の検査成績も診断書に反映されるよう、主治医に伝えることが大切です。
まとめ:透析前でもあきらめずに現状を確認を

腎疾患の障害年金申請について、要点を整理します。
- 腎疾患の認定は、検査値と日常生活の状況を組み合わせて総合的に判断される
- 透析前でも、血清クレアチニン値(eGFR)と一般状態区分の組み合わせによって認定される可能性がある
- 人工透析を施行中の場合は原則2級。状況によっては1級もある
- 透析導入後の障害認定日は特例により透析開始から3か月後(初診日から1年6か月を超える場合を除く)
- 糖尿病性腎症など原因疾患がある場合は初診日の特定に注意が必要
「まだ透析が始まっていないから」と申請をためらう方も多くいらっしゃいます。香川・岡山・愛媛を中心に中四国地域の方からのご相談も多くお受けしていますので、腎臓の病気で日常生活に支障が出ている方はお気軽にお問い合わせください。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
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