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「却下」と「不支給」は何が違う?審査結果の正しい読み方

却下と不支給の違い

監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は国民年金法などの法令および日本年金機構の公表情報に基づき作成しています。

この記事の結論

「却下」は、保険料納付要件を満たさない、初診日が証明できないなど、障害の程度を審査する段階まで至らずに退けられることをいいます。

「不支給」は、初診日や納付要件などの入口の要件は満たしているものの、実際に審査した結果、障害の程度が等級に該当しないと判断されることです。

どちらの結果であっても、決定を知った日の翌日から3か月以内であれば、社会保険審査官への審査請求という不服申立ての手段があります。

障害年金の審査結果が届いたとき、「却下」と「不支給」という似た言葉の違いが分からず、混乱してしまう方は少なくありません。同じ「もらえなかった」という結果でも、この2つは意味も、その後の対応もまったく異なります。

通知を受け取った直後は動揺してしまいがちですが、原因を正しく見極めることが、次の一手を考える出発点になります。この記事では、それぞれがどんな場合に出されるのかと、通知の読み方を整理します。

目次

「却下」とは、どのような場合に出される結果ですか?

却下とは、障害の程度を審査する段階に至る前に、入口の要件を満たしていないとして退けられることです。障害の状態そのものは審査されません。

却下になる主なケース

却下の理由は、請求そのものの前提に関わるものです。代表的なのは次の3つです。

  • 保険料納付要件を満たしていない(国民年金法第30条)
  • 初診日を証明する資料が、どうしても得られない
  • 初診日に公的年金へ加入していなかった(20歳前、または日本国内に住む60歳以上65歳未満の期間を除く)

障害の程度がどれほど重くても、これらの入口の要件を満たしていなければ、審査そのものに進むことができません。

「不支給」とは、どのような場合に出される結果ですか?

不支給とは、初診日や保険料納付要件などの入口の要件は満たしたうえで、実際に障害の程度を審査した結果、等級に該当しないと判断されることをいいます。いわば、審査の最後まで進んだうえでの結論です。

不支給になる主なケース

不支給は、診断書に記載された日常生活能力の程度や検査数値などが、障害認定基準の等級に届かないと判断された場合に出されます。障害基礎年金は1級と2級しかないため2級に届かなければ不支給に(国民年金法第30条)、障害厚生年金は3級まであるため3級に届かなければ不支給になります(厚生年金保険法第47条)。

書類どうしの食い違いも一因になります

診断書と病歴・就労状況等申立書の内容に食い違いがあると、実際の状態が正しく伝わりません。たとえば診断書には「一人での外出が困難」とあるのに、申立書には買い物や通院を一人でこなしている様子が書かれていると、審査側には矛盾した印象を与えてしまいます。

「却下」も「不支給」も、結局もらえなかったことに変わりはないですよね。

社労士

結果としては同じですが、原因がまったく違います。却下は入口の要件、不支給は障害の程度の問題ですので、次にどう対応すべきかも変わってきます。まずは通知に書かれた理由を一緒に読みましょう。

ご自身のケースが当てはまるか、迷っていませんか

障害年金は、同じ傷病でも初診日や日常生活の状況によって結果が変わります。記事だけでは判断がつかない部分も多いので、気になる点があればお気軽にお声かけください。ご依頼前のご相談は無料です。

※LINEと問い合わせフォームは24時間受け付けています。しつこい勧誘は一切ございません。

却下と不支給、通知のどこを見れば見分けられますか?

通知に書かれている「支給しない理由」を読めば見分けられます。理由が初診日や納付要件、加入状況に触れていれば却下、障害の状態や等級に触れていれば不支給です。

障害年金の審査結果の通知を読み、却下か不支給かを確かめる様子
却下不支給
審査の段階入口の要件で止まる障害の程度まで審査される
理由に書かれること保険料納付要件、初診日の証明、初診日の加入状況障害の状態が等級に該当しない
再請求で変わる可能性要件自体が変わらない限り低い資料の見直しにより変わる余地がある

理由の書き方で、次の一手が分かります

不支給の場合、理由には「現在の状態は障害の状態に該当しない」「障害認定日の状態も該当しない」といった判断が書かれます。どの時点の状態が、何を根拠に評価されたのかを読み取ることが、審査請求をするか、請求し直すかを考える材料になります。書かれている内容が分かりにくいときは、年金事務所で「これは却下ですか、不支給ですか」と尋ねて構いません。

却下と不支給で、その後の対応は変わりますか?

大きく変わります。却下は要件そのものが原因のため、その要件を満たさない限り結果は変わりにくく、不支給は診断書や申立書の内容を見直すことで結果が変わる余地があります。

却下と不支給それぞれの次の対応を検討する様子

却下の場合:原因となった要件を見直す

却下の理由が保険料納付要件であれば、初診日そのものが変わらない限り、何度請求しても同じ結果になります。ただし、初診日の特定自体に誤りがあった場合は、正しい初診日で見直すことで要件を満たせることがあります。まず、当時の受診記録をたどり直すことから始めます。

不支給の場合:審査請求か、請求し直すか

決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内であれば、地方厚生局の社会保険審査官に審査請求ができます(社会保険審査官及び社会保険審査会法第4条第1項)。期限を過ぎていても、症状や記載内容を見直した新しい診断書で、あらためて請求することは可能です。どちらが合うかは、決定の理由と手元の資料を照らし合わせて判断します。

よくある質問

Q. 通知に「却下」「不支給」という言葉が見当たらない場合は?

A. 通知の表題に「却下」「不支給」という言葉が前面に出ていないことがあります。書かれている支給しない理由を読み、判断がつかなければ年金事務所に問い合わせてください。窓口でどちらに当たるかを直接尋ねても構いません。

Q. 却下された場合、保険料を後から納めれば認められますか?

A. 認められません。保険料納付要件は初診日の前日時点の状況で判断されるため、初診日より後に納付しても要件を満たすことにはなりません。ただし、初診日の特定に誤りがあった場合は、結果が変わる可能性があります。

Q. 審査請求と再請求は、何が違いますか?

A. 審査請求は、すでに提出した資料をもとに判断の見直しを求める手続きです。再請求は、新しい診断書などをもとに一から審査してもらう手続きです。判断そのものに誤りがあると考えるなら審査請求、症状や書類を見直したいなら再請求が向いています。

Q. 更新(再認定)で支給停止になった場合も同じ考え方ですか?

A. 性質は異なります。支給停止は、いったん認められた受給権を前提に、症状が軽くなったと判断された場合の決定です。ただし、不服がある場合に審査請求ができるという仕組みは共通しています。

まとめ:原因が違えば、次にとるべき対応も変わります

「却下」は保険料納付要件や初診日の証明といった入口の問題で審査に至らなかった結果、「不支給」は審査までは進んだものの障害の程度が等級に該当しなかった結果です。原因を見極めないまま同じ内容で請求し直すと、同じ結果を繰り返すことにもなりかねません。

まずは通知に書かれた理由を読み、入口の問題なのか、評価の問題なのかを見極めてください。審査請求の期限は、決定を知った日の翌日から3か月です。理由の読み方が分からない、次にどう動けばいいか迷うというときは、決定の理由を一緒に読み解くところからお手伝いします。中四国にお住まいの方はもちろん、全国からのお問い合わせに対応しています。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。

参考資料

・国民年金法 第30条(e-Gov法令検索)
・社会保険審査官及び社会保険審査会法 第4条(e-Gov法令検索)
・年金の決定に不服があるとき(審査請求)(日本年金機構)
・障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額(日本年金機構)

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この記事を書いた人

請川 智章のアバター 請川 智章 社会保険労務士・障害年金専門

香川県観音寺市を拠点とする障害年金専門の社会保険労務士
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