監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
ご本人の同意を得て、個人が特定されないよう一部内容を変更して掲載しています。
この事例の要点
| ご本人 | 20代・男性・香川県 |
|---|---|
| 傷病名 | 注意欠如・多動症(ADHD)・うつ病 |
| 結果 | 障害基礎年金2級・年金額 約83万円 |
| 申請時の状況 | 服薬管理や感情のコントロールが難しく、外出や就労は困難。母親のもとで生活の多くを支援に頼っている |
| この事例の壁 | ご本人が症状の経過を説明できず、思春期からの長い治療歴の整理が必要だった |
思春期にADHDと診断された方が、治療の中断をきっかけにうつ症状を悪化させ、母親からの聞き取りで経過を整理して障害基礎年金2級の認定につながった事例です。
こんな方の参考になる事例です
- ADHDがあり、その後うつ病の症状も出てきた
- 子どもの頃や10代のうちに、発達障害で受診したことがある
- 本人が経過をうまく説明できず、家族が申請を考えている
ご相談時の状況
ご本人は幼い頃から注意力の低さや多動の傾向があり、思春期にADHDと診断されて治療を続けていました。服薬で集中力が高まり、高校では部活動などにも積極的に取り組んでいました。大学進学後に一人暮らしを始めると服薬の自己管理が難しくなり、治療を自己中断。生活リズムが崩れ、大学も中退しました。
- 生活:昼夜逆転が続き、実家に戻った後も部屋の片付けや身の回りの管理ができず、母親の支援に頼る生活になりました
- 仕事:一時は仕事に就いたものの、精神的な不安定さから長くは続きませんでした
- 症状の悪化:環境の変化をきっかけに情緒が極度に不安定になり、幻聴や被害的な考え、希死念慮や自傷行為がみられたため、入院治療を受けました
- 現在:退院後はADHDと抑うつ症状の両方の治療を続けていますが、服薬管理や感情のコントロールは難しく、外出や就労は困難な状況です
本人が経過を説明できないとき、どう整理したか
壁:思春期からの長い治療歴と、本人からの聞き取りの難しさ
治療歴は思春期のADHDの診断から、治療の中断、うつ症状の悪化、入院、現在の通院まで長期にわたっていました。一方で、ご本人は症状の経過を十分に説明できる状態ではなく、本人の話だけでは病歴を組み立てられませんでした。
対応:母親からの聞き取りを中心に、幼少期から現在までを整理した
- 病歴の整理:母親からの聞き取りを中心に生活状況を記録し、初診の医療機関の確認と、幼少期から現在までの治療経過の整理を行いました
- 申立書:服薬管理ができずに症状が悪化した経緯、家庭での衝動的な行動、入院治療歴を具体的に書き、日常生活能力が著しく制限されていることを示しました
- 医師への依頼:発達障害と抑うつ症状の両方が生活に影響していることが伝わるよう、障害年金制度の趣旨を説明したうえで、診断書に生活状況を反映していただくようお願いしました
ご本人に代わってご家族が申請を考えている場合も、一度ご相談ください。
ご自身のケースが当てはまるか、迷っていませんか
障害年金は、同じ傷病でも初診日や日常生活の状況によって結果が変わります。記事だけでは判断がつかない部分も多いので、気になる点があればお気軽にお声かけください。ご依頼前のご相談は無料です。
※LINEと問い合わせフォームは24時間受け付けています。しつこい勧誘は一切ございません。
ADHDとうつ病の両方がある場合、障害年金の等級はどう決まりますか?
ADHDとうつ病の等級を別々に決めて足し合わせるのではなく、両方の症状を総合的に判断して1つの等級が決まります。
障害認定基準は、「発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する」と定めています。発達障害についても、「たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができない」場合の認定の考え方が示されています。
そのため、ADHDの特性による困りごとと、うつ症状による困りごとを分けずに、生活全体でどれだけ支援が必要かを伝えることが大切です。発達障害の初診日の考え方は「大人の発達障害と障害年金|初診日はいつ?」で解説しています。
認定結果
| 年金の種類・等級 | 障害基礎年金2級 |
|---|---|
| 年金額 | 約83万円(認定当時の年額) |
発達障害と抑うつ症状の両方が生活に及ぼす影響と、家族による長期的な支援の実態が伝わり、障害基礎年金2級と認定されました。
よくある質問
Q. 20歳前に初めて受診していた場合、保険料の納付要件は問われますか?
A. 問われません。年金制度に加入していない20歳前の期間に初診日がある場合、保険料の納付要件は不要です。ただし、ご本人の前年の所得が一定額を超えると、年金の全額または半額が支給停止になります。所得の基準額は扶養親族の数によって変わります。
Q. 障害基礎年金2級の年金額はいくらですか?
A. 令和8年4月分からの年額は847,300円です(昭和31年4月2日以後生まれの方)。生計を維持している子がいる場合は、2人目まで1人につき243,800円、3人目以降は1人につき81,300円が加算されます。
まとめ:ADHDとうつ病は、生活全体への影響として伝える
今回の事例は、思春期にADHDと診断された方が、服薬の自己管理の難しさから治療を中断し、うつ症状を悪化させたケースです。ご本人が経過を説明できない中で、母親からの聞き取りを中心に長い治療歴を整理したことが、障害基礎年金2級の認定につながりました。
結果は一人ひとりの病気の経過や状況によって異なりますが、ご本人がうまく説明できない場合でも、ご家族の記憶や記録から申請を進められることがあります。中四国にお住まいの方はもちろん、全国からのお問い合わせに対応しています。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
参考資料
・障害認定基準 第8節 精神の障害(日本年金機構)
・障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額(日本年金機構)
・20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等(日本年金機構)
LINEでのご相談手順(24時間受付)
当センターでは、外出が難しい方や遠方にお住まいの方でもスマートフォン一つでご相談いただけるよう、公式LINEでの無料相談を承っております。全国どこからでもご利用いただけます。
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