監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
ご本人の同意を得て、個人が特定されないよう一部内容を変更して掲載しています。
この事例の要点
| ご本人 | 20代・女性・愛媛県 |
|---|---|
| 傷病名 | 反復性うつ病性障害 |
| 結果 | 障害厚生年金3級・年金額 約60万円 |
| 申請時の状況 | 短時間の仕事も続かず退職を繰り返す。起床や食事・入浴に家族の声かけが必要 |
| この事例の壁 | 調子の良い日と動けない日の差が大きく、状態が伝わりにくかった |
症状の波が大きいうつ病の方が、波を含めた生活の実態を診断書に反映してもらい、障害厚生年金3級の認定につながった事例です。
こんな方の参考になる事例です
- 調子の良い日もあるため、障害年金の対象にならないと思っている
- 働いては体調を崩し、退職を繰り返している
- 起きる・食べるといった日常のことに、家族の声かけが欠かせない
ご相談時の状況
ご本人は保育士として働いていた職場で強いストレスを受け、不眠から体調を崩して心療内科を受診しました。休職後も症状の波を繰り返し、転職や再就職を試みましたが、対人関係のストレスや自己否定感から勤務を続けられない状況が続いていました。
- 症状の波:通院と服薬を続けていますが、急に元気になる日がある一方、翌日はまったく動けなくなることもあります
- 生活リズム:昼過ぎまで起きられない日が多く、家族の声かけでようやく食事や入浴ができる状態です
- 時間感覚と集中力:「あと何分ある」という感覚が途中で止まってしまい、予定や作業をこなせないことがあります。家事を同時に進めることや、部屋の片づけも難しくなっています
- 仕事:症状が軽い時期に短時間の仕事に挑戦しても、人間関係やプレッシャーで再び悪化し、退職を繰り返してきました
症状の波が大きいとき、どう伝えたか
壁:調子の良い日の印象だけで判断されるおそれ
ご本人は調子の良い日と動けない日の差が大きく、受診日の様子だけでは、日常生活の困難さや働けない実態が診断書に十分に表れないおそれがありました。抑うつ症状の有無だけを書いてもらっても、生活全体への影響は伝わりません。
対応:波と生活の制限を整理し、診断書作成依頼書を添えた
- 聞き取り:これまでの通院歴と生活状況を、ご本人とご家族から詳しく伺い、症状の波の大きさ、就労の困難さ、日常生活で必要な支援を具体的にまとめました
- 診断書作成依頼書:服薬を続けても改善と悪化を繰り返す経過や、家族による生活支援の実態を反映していただけるよう、社会生活・日常生活の制限を明確に伝える依頼書を添えて、主治医に診断書をお願いしました
調子の良い日があるからと、申請をあきらめている方も一度ご相談ください。
ご自身のケースが当てはまるか、迷っていませんか
障害年金は、同じ傷病でも初診日や日常生活の状況によって結果が変わります。記事だけでは判断がつかない部分も多いので、気になる点があればお気軽にお声かけください。ご依頼前のご相談は無料です。
※LINEと問い合わせフォームは24時間受け付けています。しつこい勧誘は一切ございません。
うつ病で調子の良い日があると、障害年金は認められませんか?
調子の良い日があることだけで、認められないわけではありません。うつ病などの気分障害は、現在の症状だけでなく、症状の経過と日常生活への影響を考慮して認定されます。
障害認定基準は、気分(感情)障害について「症状の著明な時期と症状の消失する時期を繰り返すもの」としたうえで、「現症のみによって認定することは不十分であり、症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮する」と定めています。
そのため、受診した日の様子だけでなく、悪い時期がどのくらいの頻度で、どのくらい続き、その間に何ができなくなるのかを、診断書と病歴・就労状況等申立書で具体的に伝えることが大切です。波を伝える方法は「障害年金の申請で「現在の症状」だけ伝えていませんか?」でも解説しています。
認定結果
| 年金の種類・等級 | 障害厚生年金3級 |
|---|---|
| 年金額 | 約60万円(認定当時の年額) |
精神症状が安定しない状態が続いていること、就労や社会生活に大きな制約があることが認められ、障害厚生年金3級と認定されました。
よくある質問
Q. うつ病で3級に認定されるのは、どのような状態ですか?
A. 障害認定基準では、気分障害の病相期があり、病状は著しくないものの、それが持続したり繰り返したりして、労働が制限を受ける状態が3級の例とされています。3級は障害厚生年金だけの等級で、初診日に厚生年金に加入していたことが必要です。
Q. 短い期間でも働いたことがあると、不利になりますか?
A. 働いた事実だけで不利になるわけではありません。障害認定基準は、労働に従事していることをもって直ちに日常生活能力が向上したとは捉えず、仕事の内容や職場で受けている援助などを確認して判断するとしています。
まとめ:症状の波も、生活の実態として伝えれば評価につながる
今回の事例は、症状の波が大きく、調子の良い日があっても翌日には動けなくなる反復性うつ病性障害のケースです。波の大きさや家族の支援の実態を整理し、診断書作成依頼書で主治医に伝えたことが、障害厚生年金3級の認定につながりました。
結果は一人ひとりの病気の経過や状況によって異なりますが、「調子の良い日もあるから」という理由だけで、申請をあきらめる必要はありません。中四国にお住まいの方はもちろん、全国からのお問い合わせに対応しています。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
参考資料
・障害認定基準 第8節 精神の障害(日本年金機構)
・障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額(日本年金機構)
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