監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は日本年金機構の障害認定基準・精神の障害に係る等級判定ガイドライン・公表情報に基づき作成しています。
この記事の結論
うつ病の2級は、気分や意欲の障害が続いたり繰り返したりして「日常生活が著しい制限を受けるもの」と障害認定基準で定められています。
審査では、診断書の「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」をもとに、等級判定ガイドラインの目安を参考に総合評価されます。
一人暮らしでも、家族の援助や福祉サービスが必要な状態なら2級の可能性を検討すると、ガイドラインに明記されています。
「自分の状態は2級にあたるのだろうか」「一人暮らしだと2級は無理なのでは」。うつ病で障害年金を考えている方にとって、2級になるかどうかは生活に大きく関わる問題です。
この記事では、うつ病の2級がどんな状態か、診断書のどこで判断されるか、一人暮らしや働いている場合の考え方を、障害認定基準と等級判定ガイドラインの原文をもとに整理します。
うつ病で障害年金2級になるのは、どんな状態ですか?
うつ病の症状が続いたり繰り返したりして、日常生活が著しい制限を受けている状態です。障害認定基準は、気分(感情)障害の等級を次のように例示しています。
| 等級 | 障害認定基準の例示(気分(感情)障害) |
|---|---|
| 1級 | 高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、持続したりひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの |
| 2級 | 気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの |
| 3級 | 病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの |
2級と3級の分かれ目は「日常生活」か「労働」か
2級は日常生活の制限、3級は労働の制限が基準です。食事や入浴、買い物、金銭管理といった身の回りのことに家族などの援助が欠かせない状態であれば、2級の検討対象になります。2級は障害基礎年金と障害厚生年金のどちらにもあり、3級は障害厚生年金だけです(厚生年金保険法第47条)。
2級かどうかは、診断書のどこで判断されますか?
診断書裏面の「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」が、等級の目安を出す出発点になります。
7項目の判定と、5段階の程度

「日常生活能力の判定」は、適切な食事、身辺の清潔保持、金銭管理と買い物、通院と服薬、他人との意思伝達及び対人関係、身辺の安全保持及び危機対応、社会性の7項目を4段階で評価します。等級判定ガイドラインは、これを程度の軽いほうから1〜4の数値に置き換えた平均(判定平均)と、5段階の「日常生活能力の程度」を組み合わせて等級の目安を示しています。
2級の目安になる主な組み合わせ
ガイドラインの目安表では、日常生活能力の程度が(4)「日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である」で判定平均が2.0以上3.5未満の場合などが2級とされています。ただしガイドラインは「目安と異なる認定結果となることもあり得る」としており、目安だけで決まるものではありません。
診断書の裏面の判定が、思っていたより軽く書かれていました。2級は難しいでしょうか?
社労士日常の困りごとが主治医に伝わっていないことがあります。具体的な場面をメモにまとめて、実態を伝え直すところから一緒に考えましょう。
ご自身のケースが当てはまるか、迷っていませんか
障害年金は、同じ傷病でも初診日や日常生活の状況によって結果が変わります。記事だけでは判断がつかない部分も多いので、気になる点があればお気軽にお声かけください。ご依頼前のご相談は無料です。
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一人暮らしでも、うつ病で2級になりますか?
なり得ます。等級判定ガイドラインは、一人暮らしでも援助や福祉サービスが必要な状態なら2級の可能性を検討するとしています。
ガイドラインが示す「独居」の考え方
ガイドラインは「独居であっても、日常的に家族等の援助や福祉サービスを受けることによって生活できている場合」は、その支援の状況を踏まえて2級の可能性を検討するとし、現に援助を受けていなくても、その必要がある状態の場合も含むとしています。また、独居の理由や独居になった時期も考慮されます。

家族と同居なら「単身なら必要な支援」が見られる
反対に、家族と同居して生活が安定している場合も、ガイドラインは「単身で生活するとしたときに必要となる支援の状況を考慮する」としています。家族が食事や服薬、金銭管理を代わりに担っている場合は、その内容を具体的に伝えることが大切です。
働いていると、うつ病で2級になるのは難しいですか?
働いていることだけで2級が否定されるわけではありません。仕事の内容や受けている援助、出勤状況が考慮されます。
「直ちに日常生活能力が向上した」とは捉えない
障害認定基準は、現に仕事に従事している人について「労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず」としています。障害年金は、障害の状態が等級に当てはまるかで判断される仕組みです(国民年金法第30条)。
障害者雇用や就労継続支援は2級の可能性を検討
等級判定ガイドラインは、就労継続支援A型・B型や障害者雇用制度による就労について「1級または2級の可能性を検討する」としています。一般雇用でも、短時間勤務や業務の軽減など手厚い配慮を受けて働いている場合は、その内容を書類で伝えましょう。
よくある質問
Q. うつ病で2級になると、年金額はいくらですか?
A. 障害基礎年金2級は、令和8年度で年額847,300円(昭和31年4月1日以前生まれは844,900円)に子の加算額が加わります。初診日に厚生年金に加入していた場合は、これに障害厚生年金(報酬比例部分など)が上乗せされます。
Q. 精神障害者保健福祉手帳が2級なら、障害年金も2級になりますか?
A. 必ずしも一致しません。手帳と障害年金は別の制度で、それぞれ別の基準で審査されます。手帳が2級でも障害年金は3級や不支給になることも、その逆もあります。障害年金は、診断書と病歴・就労状況等申立書の内容で判断されます。
Q. 3級で受給中ですが、症状が重くなったら2級に変更できますか?
A. 変更を求める「額改定請求」ができます(厚生年金保険法第52条)。原則として受給権を得た日や診査を受けた日から1年を経過した日後に請求できます。日常生活の制限が増えた実態を、新しい診断書で伝えることが大切です。
Q. 入院していないと、2級は認められませんか?
A. 入院していなくても2級は認められます。等級は在宅での生活も含めた日常生活の制限の程度で判断されます。家族の援助を受けながら自宅で療養している実態があれば、その内容を具体的に診断書と申立書で伝えましょう。
まとめ:うつ病の2級は「日常生活の援助の必要性」が鍵
うつ病の2級は、日常生活が著しい制限を受ける状態で、一人暮らしや就労中でも認められる可能性があります。まずは食事や入浴、金銭管理など、誰にどんな援助を受けているかを書き出し、主治医と共有するところから始めてみてください。中四国にお住まいの方はもちろん、全国からのお問い合わせに対応しています。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
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家族の支援が欠かせない状態が続いたうつ病のケース|障害基礎年金2級を受給|香川県
参考資料
・厚生年金保険法 第47条・第52条(e-Gov法令検索)
・国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第8節 精神の障害(日本年金機構)
・国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン(日本年金機構)
・障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額(日本年金機構)
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