監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は国民年金法・厚生年金保険法および日本年金機構の公表情報に基づき作成しています。
この記事の結論
内科であっても、後に診断された傷病と同じ症状での受診であれば、その受診日が初診日になります(国民年金法第30条・厚生年金保険法第47条)。
診療科ではなく「同じ傷病の経過かどうか」で判断されるため、当時のカルテや症状の記録を整理しておくことが大切です。
ただし、受診理由が明らかに無関係な症状だった場合は、内科受診日は初診日と認められません。
「体調不良で最初にかかったのは内科だったのに、実際に診断されたのは別の病気だった」というケースは珍しくありません。障害年金の申請では、この最初の受診がどう扱われるかによって、初診日そのものが変わってしまうことがあります。
この記事では、内科の受診が初診日として認められる考え方と、認められないケースの違いを、社労士の視点から整理して解説します。
内科の受診でも初診日として認められますか?
認められます。後に診断された傷病と同じ症状で内科を受診していたのであれば、その受診日が初診日になります。
日本年金機構は初診日を「障害の原因となった傷病について、初めて医師等の診療を受けた日」と定義しています。この定義に診療科の指定はありません。国民年金法第30条第1項および厚生年金保険法第47条第1項も、障害年金の支給要件を判断する基準を「初診日」としており、何科を受診したかは問われません。
「同一の傷病」で転医した場合の考え方
同じ傷病で医療機関を変えた場合(転医)は、一番初めに医師の診療を受けた日が初診日として扱われます。内科から専門科へ紹介された場合も、この転医と同じ考え方で判断されます。
診断名が確定していなくても対象になる
内科の受診時に病名がついていなくても構いません。経過観察や検査だけで終わった受診であっても、それが後に診断された傷病の症状に関する受診であれば、初診日の対象になります。
なぜ診療科ではなく「同じ傷病かどうか」で判断するのですか?

初診日の制度は、診断名や診療科ではなく「同じ病気やケガの経過の中での最初の受診」を基準にしているためです。
精神疾患ではこの考え方が特に重要になります。うつ病などでは、発症初期に不眠・倦怠感・頭痛といった身体症状として現れることが多く、最初に内科を受診してから、後日心療内科や精神科で正式に診断されるケースがよくあります。
精神疾患で内科が初診日になる具体例
例えば、不眠と倦怠感で内科を受診し、血液検査等で異常が見つからず経過観察となった後、症状が続いたため心療内科を受診してうつ病と診断された場合、最初の内科受診日が初診日として扱われます。
風邪かと思って内科に行っただけなんですが、それが初診日になるんですか?
社労士はい。その時の症状が今の傷病につながっていると判断されれば、内科を受診した日が初診日になります。当時どんな症状で受診したかを一緒に振り返ってみましょう。
身体症状と精神症状のつながりが判断材料になる
内科での訴えと、後に診断された精神疾患の症状に医学的なつながりがあるかどうかが判断のポイントです。受診状況等証明書や診療録に残る当時の症状の記載が、そのつながりを示す材料になります。
ご自身のケースが当てはまるか、迷っていませんか
障害年金は、同じ傷病でも初診日や日常生活の状況によって結果が変わります。記事だけでは判断がつかない部分も多いので、気になる点があればお気軽にお声かけください。ご依頼前のご相談は無料です。
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内科の受診が初診日と認められないのはどんなケースですか?
内科での受診理由が、後に診断された傷病と無関係な場合は、その受診日は初診日として認められません。
例えば、風邪や胃腸炎で内科を受診し、その後何年も経ってから全く別の傷病と診断された場合、内科受診と傷病との間に医学的なつながりがないため、初診日は後の受診日になります。健康診断のみで治療を伴わなかった場合も同様に判断が分かれます。
この「症状のつながり」があるかどうかは、請求者本人ではなく、提出された書類をもとに日本年金機構が判断します。自己判断で「たぶん関係ない」と決めつけず、当時感じていた症状を思い出せる範囲で書類に残しておくことが、正しい初診日の認定につながります。
| 初診日になるケース | 初診日にならないケース | |
|---|---|---|
| 受診理由 | 後の傷病と同じ症状での受診 | 後の傷病と無関係な症状での受診 |
| 診断名 | ついていなくても可(経過観察含む) | 別の病名で治療が完結している |
| 判断材料 | 受診状況等証明書・カルテの症状記載 | 医師の医学的意見・因果関係の有無 |
内科が初診日になる場合、証明書類はどう準備すればいいですか?

まずは、その内科の医療機関に「受診状況等証明書」の作成を依頼します。
受診状況等証明書は、初診日を医療機関に証明してもらうための書類です。内科であっても、カルテが残っていれば通常どおり作成してもらえます。依頼の際は「当時の症状」と「現在の傷病名」を伝え、関連性を確認してもらうとスムーズです。
内科医への伝え方のコツ
内科医の中には、後に診断された精神疾患などとの関連性を聞かれても答えにくいと感じる方もいます。その場合は、当時の症状や検査結果を客観的に記載してもらうだけで構いません。関連性の有無は、最終的に日本年金機構が総合的に判断します。
カルテが残っていない場合の対応
内科が廃院していたり、法定の保存期間を過ぎてカルテが残っていなかったりする場合は、診察券やお薬手帳など別の資料で受診の事実を示せることがあります。
よくある質問
Q. 心療内科ではなく一般内科でも同じ扱いですか?
A. はい。心療内科・一般内科の区別なく、後の傷病と同じ症状での受診であれば初診日として扱われます。診療科名そのものは判断材料にならず、重視されるのは症状のつながりです。
Q. 内科で「様子を見ましょう」と言われただけでも初診日になりますか?
A. なります。病名がつかず経過観察で終わった受診でも、医師の診療を受けた最初の日であれば初診日として扱われます。「診断がついていないから対象外」と思い込まないようにしましょう。
Q. 内科のカルテが残っていない場合はどうすればいいですか?
A. カルテがなくても、診察券やお薬手帳、健康保険の受診記録などで当時の受診を示せる場合があります。あきらめずに複数の資料をあたってみてください。
Q. 内科と精神科の両方に通っていた場合、どちらが初診日になりますか?
A. 症状の経過によります。精神科での症状が内科受診時から続いているものであれば内科受診日、無関係な新たな症状であれば精神科受診日が初診日になります。
まとめ:内科の受診も、症状がつながっていれば初診日になります
初診日は診療科ではなく「同じ傷病の経過の中での最初の受診かどうか」で判断されます。内科での受診であっても、後に診断された傷病と症状がつながっていれば、その日が初診日になります。逆に無関係な受診であれば、初診日にはなりません。ご自身の受診歴を振り返り、当時の症状と現在の傷病との関係を、記憶が新しいうちに整理しておくことをおすすめします。判断に迷う場合は、来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
参考資料
・国民年金法 第30条(e-Gov法令検索)
・厚生年金保険法 第47条(e-Gov法令検索)
・用語集「初診日」(日本年金機構)
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