障害年金を受給しながら「もうすぐ就職が決まりそう」「転職を考えている」というとき、「年金事務所に何か届け出ないといけないのでは」と不安になる方は少なくありません。しかし、就職・転職そのものについて、特別な届出が必要になるケースは限られています。
このコラムでは、就職が決まったときに届出が必要かどうかの原則と、知っておきたい注意点を整理してご説明します。
就職・転職そのものは届出の対象外
まず結論からお伝えすると、就職や転職をしたこと自体について、日本年金機構に届け出る義務は原則としてありません。
「就労を始めた」という届出制度は存在しない
結婚や離婚、住所変更、配偶者の年金受給開始などには、それぞれ決まった届出が用意されています。しかし、「就職した」「転職した」という事実そのものについて提出する専用の届書は存在しません。就職が決まったからといって、すぐに年金事務所へ連絡する必要はありません。
障害年金は「働いているか」で判断される制度ではない
障害年金は、就労の有無そのものではなく、病気やケガによって日常生活や仕事にどれだけの制限が生じているかで判断される制度です。働き始めたという事実だけで、ただちに支給が止まったり、等級が下がったりすることはありません。この考え方が土台にあるため、就職を届出のきっかけとする制度が設けられていないのです。
例外的に収入の届出が関わってくるケース
「届出は原則不要」とお伝えしましたが、一部の方には収入が関係してくる制度があります。ご自身が対象かどうかを確認しておきましょう。
20歳前傷病による障害基礎年金には所得制限がある
20歳になる前に初診日がある方が受給する障害基礎年金には、本人の所得による支給制限が設けられています。一定の所得を超えると年金の半額、さらに超えると全額が支給停止となる仕組みです。就職によって収入が増える場合は、この所得制限に該当しないか確認しておく必要があります。詳しい所得の基準については、当サイトの別記事で解説していますので、あわせてご確認ください。※記事末尾の関連記事にリンクがありますのでそちらからどうぞ。
マイナンバー連携により届出が省略される場合が多い
この20歳前傷病の所得制限についても、以前は毎年「所得状況届」を提出する必要がありましたが、現在はマイナンバーによって日本年金機構が所得状況を把握できる場合、原則として提出が省略されています。ただし、マイナンバーが未登録の場合など、状況によっては届出が必要になることもあるため、心当たりのある方は年金事務所に確認しておくと安心です。
届出が不要でも油断できない理由
就職そのものに届出は不要とはいえ、就労状況はまったく無関係というわけではありません。特に意識しておきたいのが、次回の更新のタイミングです。
次回の更新では必ず就労状況を確認される
有期認定の方が提出する障害状態確認届(診断書)には、就労の有無や仕事の内容を記入する欄があります。就職したことをその場ですぐに届け出る必要はありませんが、次に診断書を提出するタイミングでは、その時点の就労状況が必ず確認されることになります。
診断書の就労状況欄は空欄にしない
診断書の就労状況欄が空欄のままだと、「特に支障なく就労できている」と受け取られ、実際より軽く判断されてしまうことがあります。就労時間・業務内容・受けている配慮の有無などを、正確に医師に伝えて記載してもらうことが大切です。
来月から障害者雇用で働き始めることになりました。年金事務所に連絡しなくても大丈夫でしょうか?
社労士就職そのものについて、その時点で年金事務所へ届け出る必要はありません。ただし、20歳前傷病による障害基礎年金を受給している場合は所得制限に関わってきますので確認が必要です。また、次回の更新(診断書の提出)では就労状況が必ず記載事項になりますので、勤務時間や受けている配慮の内容は、日頃から記録しておくと安心ですよ。
就職が決まったときにしておきたいこと
届出の心配がない分、かえって何もしなくてよいと考えてしまいがちですが、後々のために準備しておきたいことがあります。

主治医に就労の実態を伝えておく
診察のたびに、仕事の内容や勤務時間、体調への影響などを主治医に伝えておくことをおすすめします。診断書は基本的に診察時の情報をもとに作成されるため、日頃から就労の実態を共有しておくことで、更新時の診断書にも実情が反映されやすくなります。
受けている配慮の内容を記録しておく
障害者雇用や勤務時間の短縮など、職場から何らかの配慮を受けている場合は、その内容を具体的に記録しておきましょう。「配慮を受けながら働けている」という実態は、更新時の審査において重要な判断材料になります。
まとめ:届出は不要でも記録は残しておく
障害年金の受給中に就職が決まったときの届出について、要点を整理します。

- 就職・転職そのものについて、日本年金機構への届出義務は原則ない
- 障害年金は就労の有無ではなく、生活・仕事への制限の程度で判断される
- 20歳前傷病による障害基礎年金は所得制限があり、収入が関係してくる
- 所得状況届はマイナンバー連携により多くの場合省略されている
- 次回の更新では就労状況が必ず確認されるため、日頃からの記録が大切
就職が決まっても慌てて届出をする必要はありませんが、次の更新に向けて、就労の実態を正しく記録しておくことが将来の安心につながります。香川・岡山・愛媛を中心に中四国地域の方からのご相談も多くお受けしていますので、「このまま働き続けて大丈夫か」と不安な方は、お気軽にお問い合わせください。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
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