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高次脳機能障害で障害年金は何級になる?

高次脳機能障害何級1

監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は国民年金法・厚生年金保険法、日本年金機構の障害認定基準、厚生労働省の等級判定ガイドラインに基づき作成しています。

この記事の結論

高次脳機能障害は「精神の障害」として、認知障害や人格変化の程度と日常生活・労働の制限に応じて1級〜3級に認定されます(障害認定基準 第8節)。

記憶や感情のコントロールなど、生活の困りごとを家族の見守りの実態とあわせて主治医に伝えてください。

脳血管障害の「初診日から6か月」の特例は手足の麻痺などの機能障害の定めで、高次脳機能障害の認定日は原則1年6か月です。

高次脳機能障害は、脳梗塞や脳出血、交通事故などで脳が傷ついた後に、記憶や注意、感情のコントロールがうまくいかなくなる障害です。外見から分かりにくいため、「障害年金の対象になるのか」と迷われる方が少なくありません。

この記事では、等級ごとの目安、等級の判断のされ方、麻痺や失語がある場合の扱い、障害認定日を、日本年金機構の障害認定基準と厚生労働省のガイドラインをもとに整理します。

目次

高次脳機能障害で障害年金は何級になりますか?

障害認定基準の「症状性を含む器質性精神障害」として、1級・2級・3級のいずれか、または障害手当金に認定されます。3級と障害手当金は障害厚生年金だけの給付で、初診日に国民年金に加入していた方は1級・2級が対象です(国民年金法第30条第2項、厚生年金保険法第47条第2項・第55条)。

等級ごとの目安は?

等級障害認定基準の例示
1級高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの
2級認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの/認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの
障害手当金認知障害のため、労働が制限を受けるもの

どんな症状が対象になりますか?

障害認定基準は、高次脳機能障害を「脳損傷に起因する認知障害全般」とし、日常生活や社会生活に制約があるものを対象としています。主な症状として、失語・失行・失認のほか、記憶障害、注意障害、遂行機能障害(段取りを立てて物事を進められない)、社会的行動障害(感情や行動のコントロールが難しい)が挙げられています。

高次脳機能障害の等級は、どうやって判断されますか?

精神の障害用の診断書をもとに、厚生労働省の「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」に沿って判断されます。診断書の「日常生活能力の判定」「日常生活能力の程度」から目安を出し、療養状況や就労状況などを総合的に評価します。

ほかの精神疾患と違う点はありますか?

ガイドラインは、症状性を含む器質性精神障害を総合評価するときは、「精神障害」「知的障害」「発達障害」の区分にとらわれず、該当または類似する考慮要素を使うとしています。記憶の障害や段取りの難しさなど、うつ病の考え方だけでは拾いきれない困りごとも評価の対象になります。

働いていると不利になりますか?

障害認定基準は、仕事をしていても、それだけで日常生活能力が向上したとはとらえず、仕事の種類や受けている援助、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認するとしています。職場で受けている配慮は、具体的に伝えることが大切です。

高次脳機能障害何級2

夫は見た目は元気そうで、病院では「大丈夫です」と答えてしまいます。でも家では約束を忘れたり、急に怒り出したりして、私がずっと声をかけています。

社労士

高次脳機能障害では、ご本人が困りごとに気づきにくいことがよくあります。診察にはできるだけご家族が付き添い、家での声かけや見守りの内容をメモにして主治医に渡しておくと、診断書に実態が反映されやすくなります。

ご自身のケースが当てはまるか、迷っていませんか

障害年金は、同じ傷病でも初診日や日常生活の状況によって結果が変わります。記事だけでは判断がつかない部分も多いので、気になる点があればお気軽にお声かけください。ご依頼前のご相談は無料です。

※LINEと問い合わせフォームは24時間受け付けています。しつこい勧誘は一切ございません。

手足の麻痺や失語もあるときは、どう扱われますか?

失語は「音声又は言語機能の障害」の基準で認定され、脳の器質障害による精神面と神経面の症状は、区分せずに全体像から総合的に判断されます。症状ごとに使う診断書が異なるため、障害に合った診断書をそろえることが出発点です。

症状ごとにどの診断書を使いますか?

残っている症状主に使う診断書認定基準
記憶・注意・遂行機能・社会的行動の障害精神の障害用第8節 精神の障害
失語聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の障害用第6節 音声又は言語機能の障害
手足の麻痺肢体の障害用第7節 肢体の障害

複数の診断書を出す意味は?

障害認定基準は、脳の器質障害について、精神障害と神経障害を区分して考えることは臨床症状が多岐にわたるため不能であり、原則として諸症状を総合して判断するとしています。残っている障害は、それぞれに合った診断書で示しましょう。

高次脳機能障害の障害認定日はいつですか?

原則として、初診日から1年6か月を経過した日が障害認定日です。初診日は、原因となった脳梗塞や事故などで初めて医師の診療を受けた日で、高次脳機能障害と診断された日ではありません(国民年金法第30条第1項は、初診日を傷病と「これらに起因する疾病」について初めて診療を受けた日としています)。

「初診日から6か月」の特例は使えますか?

障害認定基準の第9節(神経系の障害)には、脳血管障害で機能障害が残り、初診日から6か月経過後にそれ以上の機能回復がほとんど望めないと認められるときは、1年6か月より前でも障害認定日とする扱いがあります。これは脳血管障害による手足の麻痺などの機能障害についての定めです。同じ脳梗塞や脳出血が原因でも、精神の障害として認定する高次脳機能障害には同じ定めがありません。

高次脳機能障害何級3

申請前に準備しておくことは?

救急搬送された病院や、リハビリで転院した病院の名前と時期を整理しておきましょう。発症から今までの経過を、病歴・就労状況等申立書に一続きで書けるようにしておくことが大切です。

よくある質問

Q. 交通事故の後遺障害等級と、障害年金の等級は同じですか?

A. 同じではありません。自賠責保険の後遺障害等級と障害年金は別の制度で、等級の基準も判定もそれぞれ別に行われます。後遺障害等級の認定を受けていなくても、障害年金は申請でき、手続きもそれぞれ別に行います。

Q. リハビリを続けている途中でも申請できますか?

A. 申請できます。初診日から1年6か月が過ぎていれば、リハビリ中でもその時点の障害の状態で審査されます。障害認定基準は、療養と症状の経過を十分考慮するとしているため、リハビリの内容や回復の経過も伝えておきましょう。

Q. うつ病など、ほかの精神疾患もある場合はどうなりますか?

A. 等級を足し合わせる「併合」ではなく、症状全体をまとめて判断されます。障害認定基準は、器質性精神障害とほかの精神疾患が併存するときは、併合(加重)認定を行わず、諸症状を総合的に判断するとしています。

Q. 症状が良くなったら、年金はどうなりますか?

A. 有期認定の方は、障害状態確認届(診断書)の提出で障害の状態が定期的に確認されます。障害の程度が軽くなれば等級が変わり、障害等級に該当しなくなった場合は支給が停止されます(国民年金法第36条第2項)。

まとめ:高次脳機能障害は、見えない困りごとを書類で伝えることが大切です

高次脳機能障害は精神の障害として、認知障害や人格変化の程度と、生活や労働の制限に応じて1級〜3級が判断されます。麻痺や失語があるときは、それぞれに合った診断書をそろえ、障害認定日は原則として初診日から1年6か月です。

まずは、家での声かけや見守りの内容と、発症からの病院の流れを書き出すところから始めましょう。中四国にお住まいの方はもちろん、全国からのお問い合わせに対応しています。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。

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脳出血後の感情制御困難と高次脳機能障害で障害基礎年金2級に認定されたケース|香川県

参考資料

・国民年金法 第30条・第36条(e-Gov法令検索)
・厚生年金保険法 第47条・第55条(e-Gov法令検索)
・国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(日本年金機構)
・精神の障害に係る等級判定ガイドライン(厚生労働省)

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当センターでは、外出が難しい方や遠方にお住まいの方でもスマートフォン一つでご相談いただけるよう、公式LINEでの無料相談を承っております。全国どこからでもご利用いただけます。
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この記事を書いた人

請川 智章のアバター 請川 智章 社会保険労務士・障害年金専門

香川県観音寺市を拠点とする障害年金専門の社会保険労務士
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