監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は国民年金法・厚生年金保険法・国家公務員災害補償法・地方公務員災害補償法・厚生労働省の公表情報に基づき作成しています。
この記事の結論
公務員も、初診日が平成27年10月以降であれば厚生年金保険法に基づく障害厚生年金の対象になり、仕組みは民間の会社員とほぼ同じです。
初診日が平成27年9月以前の場合は、当時加入していた共済組合の障害共済年金として扱われ、請求窓口も年金事務所ではなく共済組合になります。
公務中のケガや病気であれば、労災保険ではなく国家公務員災害補償法・地方公務員災害補償法に基づく公務災害補償を、あわせて検討する必要がある点が民間の会社員と異なります。
「公務員だと、障害年金の仕組みが会社員とは全然違うのでは」というご相談を、ときどきいただきます。たしかに公務員には共済組合という独自の制度があり、少し複雑に見えるかもしれません。
ですが、平成27年10月の「被用者年金一元化」以降は、基本的な仕組みは民間の会社員とほぼ同じになりました。違いが出るのは、初診日が一元化より前か後か、というポイントです。
この記事では、社会保険労務士の視点から、公務員の方が病気やケガで働けなくなったときに知っておきたい障害年金の仕組みを整理します。現職の方はもちろん、退職後に申請を考えている元公務員の方にも参考にしていただける内容です。
公務員も障害年金はもらえますか?
もらえます。公務員も国民年金・厚生年金保険の被保険者であり、要件を満たせば国民年金法第30条または厚生年金保険法第47条に基づく障害年金の対象になります。
「公務員は年金制度が特殊だから、障害年金は関係ない」と誤解されている方も少なくありません。しかし公務員も、民間の会社員と同じように、病気やケガで一定の障害の状態になれば障害年金を請求できます。
対象になる病気・ケガの範囲も同じ
精神疾患やがん、糖尿病の合併症といった内部障害も、手足の障害と同じように障害年金の対象です。公務中の災害に限らず、私生活での病気やケガでも申請できます。
公務員は責任感が強く、体調が悪くても「休むわけにはいかない」と無理を続けてしまう方が少なくありません。しかし障害年金は、公務中かどうかを問わず、生活や仕事に支障が出ている状態そのものに対して支給される制度です。異動や配置転換で負担が減っても症状が改善しない場合は、早めに制度の対象になるかどうかを確認しておくことをおすすめします。
平成27年10月の「被用者年金一元化」で何が変わりましたか?
公務員も厚生年金保険に加入することになり、共済年金は厚生年金保険に統一されました。
被用者年金一元化法(平成24年法律第63号)により、それまで国家公務員共済組合・地方公務員等共済組合・私立学校教職員共済・厚生年金の4つに分かれていた被用者年金制度が、平成27年10月1日から厚生年金保険に統一されました。
初診日が一元化の前か後かで扱いが変わる
共済組合の組合員期間中に初診日がある傷病について、平成27年9月までに受給権が生じた場合は「障害共済年金」、平成27年10月の一元化後に受給権が生じた場合は「障害厚生年金」が支給されます。名前は違いますが、受給要件や認定基準の考え方は共通です。
在職中でも支給されるようになった
一元化前は、障害共済年金は在職中の場合、給与との合計額によって年金の一部または全部が支給停止されることがありました。一元化後の平成27年10月以降は、在職中であっても障害厚生年金は支給されるようになっています。
まだ現職で働いているのですが、それでも障害年金は請求できるのでしょうか。
社労士はい、請求できます。平成27年10月以降は、在職中であっても等級に該当すれば障害厚生年金が支給されますので、退職を待つ必要はありません。
請求先はどこになりますか?

初診日に共済組合の組合員だった場合、請求先は年金事務所ではなく、当時加入していた共済組合になります。
これは一元化後も変わらない、公務員特有のポイントです。国家公務員であれば国家公務員共済組合連合会(またはその共済組合)、地方公務員であれば各地方公務員共済組合、私立学校の教職員であれば日本私立学校振興・共済事業団が窓口になります。「年金事務所に相談したら、うちの管轄ではないと言われた」というケースも実際にあるため、まずはご自身の共済組合がどこかを確認することが、スムーズな申請への第一歩になります。
| 民間の会社員 | 公務員(初診日が平成27年10月以降) | 公務員(初診日が平成27年9月以前) | |
|---|---|---|---|
| 適用制度 | 厚生年金保険 | 厚生年金保険 | 旧共済年金制度(経過措置) |
| 請求窓口 | 年金事務所 | 年金事務所 | 当時加入していた共済組合 |
| 3階部分 | なし | なし(年金払い退職給付) | 職域加算額(経過的職域加算額) |
審査・支払いのスケジュールに違いが出ることがある
共済組合には独自の様式や運用ルールがある場合があり、書類の受付から決定までの期間が、日本年金機構での手続きより長くなる傾向があります。振込のタイミングも、共済組合からの支払いのほうが1〜2か月程度後ろにずれることがあるため、あらかじめ心づもりをしておくと安心です。
障害基礎年金部分は国から支給される
障害の程度が2級以上と認定された場合は、共済組合からの障害共済年金に加えて、国民年金法に基づく障害基礎年金もあわせて支給されます。基礎年金部分の年金証書は国から発行される点も、覚えておくとよいポイントです。
公務中のケガや病気の場合、労災保険とは違う制度になりますか?

異なります。公務員は原則として労災保険の対象外で、国家公務員災害補償法・地方公務員災害補償法に基づく公務災害補償が適用されます。
民間の会社員が業務中や通勤中にケガをした場合は労災保険から給付を受けますが、常勤の公務員は労災保険法の適用が除外されており、代わりに国家公務員災害補償法または地方公務員災害補償法に基づく公務災害補償の対象になります。
障害年金と公務災害補償は別制度として両方請求できる
公務災害補償の障害補償年金と、国民年金法・厚生年金保険法に基づく障害年金は、それぞれ別の制度です。要件を満たせば両方を請求できますが、同一の傷病が原因の場合は、労災保険と同様に年金の一部が調整(減額)される仕組みがあります。
非常勤職員は扱いが異なることがある
会計年度任用職員などの非常勤の地方公務員は、常勤職員とは異なる制度が適用される場合があります。ご自身がどの制度の対象になるかは、勤務先の共済組合や人事担当に確認するのが確実です。
民間の会社員と年金額の計算方法は違いますか?
基本的な計算方法は同じですが、一元化前の共済組合期間がある方には「経過的職域加算額」が上乗せされる場合があります。
被用者年金一元化法の附則により、平成27年9月30日までの共済組合員期間を1年以上お持ちの方は、経過措置として、その期間に応じた経過的職域加算額が共済組合から支給されます。この経過的職域加算額の支給要件は「初診日が一元化前にあること」が前提になるため、初診日がいつかによって年金額が変わってくる場合があります。
加入期間は共済組合期間と厚生年金期間を合算する
年金額を計算するときの加入期間は、一元化前の共済組合期間と、一元化後の厚生年金保険期間を通算して計算されます。転職や退職を挟んでいても、それぞれの期間はきちんと引き継がれます。
在職中は職域加算額が支給停止になる
経過的職域加算額は、組合員として在職中の間は全額支給停止になります。退職後に受給が始まる年金額をイメージするときは、この停止期間があることも踏まえておくとよいでしょう。
よくある質問
Q. 現職の公務員でも障害年金は申請できますか?
A. 申請できます。平成27年10月以降は、在職中であっても障害の等級に該当すれば障害厚生年金が支給されます。退職を待つ必要はありません。
Q. すでに退職していますが、公務員時代の傷病で申請できますか?
A. 申請できます。初診日が共済組合員期間中であれば、退職後であっても、当時加入していた共済組合が請求先になります。転職して民間企業に移った後でも、公務員時代に初診日があれば、その時点の制度に基づいて手続きを進めることになります。
Q. 教員や警察官、消防士も同じ扱いですか?
A. 基本的には同じ扱いです。教員は私立学校教職員共済または地方公務員等共済組合、警察官や消防士は地方公務員等共済組合の対象で、いずれも一元化後は厚生年金保険の枠組みで障害年金が支給されます。
Q. 公務中の病気やケガで、労災保険の給付は受けられますか?
A. 常勤の公務員は原則として労災保険の対象外です。かわりに国家公務員災害補償法・地方公務員災害補償法に基づく公務災害補償の対象になります。
Q. 障害共済年金と障害厚生年金で、認定基準に違いはありますか?
A. 認定基準そのものに違いはありません。障害の程度の判断は、日本年金機構の障害認定基準に沿って行われる点は共通しています。
Q. どこに相談すればいいか分かりません。どうすればいいですか?
A. まずは初診日を確認し、その時点で加入していた制度(共済組合か厚生年金か)を整理することから始めます。ご自身での確認が難しい場合は、社労士に相談することもできます。
まとめ:公務員の障害年金は「初診日の時期」と「請求先」がポイント
公務員も、国民年金法第30条・厚生年金保険法第47条に基づく障害年金の対象になります。平成27年10月の被用者年金一元化以降は、基本的な仕組みは民間の会社員とほぼ同じです。
違いが出るのは、初診日が一元化の前か後かという点と、請求先が共済組合になるかどうかという点です。公務中の災害であれば、国家公務員災害補償法・地方公務員災害補償法に基づく公務災害補償もあわせて検討する必要があります。
共済組合ならではの様式や手続きの流れがあり、ご自身だけで整理するのが難しいと感じる場面も多いはずです。当事務所は香川県観音寺市に事務所を構え、全国どこからのご相談にも対応していますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
参考資料
・国民年金法 第30条(e-Gov法令検索)
・厚生年金保険法 第47条(e-Gov法令検索)
・地方公務員災害補償法(e-Gov法令検索)
・被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の概要(厚生労働省)
・被用者の年金制度の一元化(日本年金機構)
LINEでのご相談手順(24時間受付)
当センターでは、外出が難しい方や遠方にお住まいの方でもスマートフォン一つでご相談いただけるよう、公式LINEでの無料相談・受給判定を承っております。全国どこからでもご利用いただけます。
ご相談の流れは以下のとおりです。難しい入力は必要ありません。

- 下記のボタンをタップすると当センターの公式LINE画面に移動しますので、「友だち追加」ボタンからご登録をお願いいたします。
- ご登録後、当センターから案内メッセージが自動で届きます。
- 案内に記載された①〜④の選択肢から当てはまるものを選び、番号とお名前(姓だけでOK)をお送りください。(例)② 山田
- 内容を確認次第、社労士より直接お返事いたします。詳しいご事情はこちらから順番にお伺いしますので、まずは番号だけで大丈夫です。
皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。
※スマートフォンからそのまま追加できます。
※しつこい営業等は一切行いませんのでご安心ください。
💡あわせて読みたい関連記事
関連ページ
お問い合わせはこちら
ご来所いただかなくても、お電話・メール・LINEのやり取りだけで申請まで完了できます。
香川県観音寺市の事務所を拠点に、全国どこからのご相談にも対応しています。









