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障害年金の不支給率は何%?公的統計で見る審査の実際

不支給率1

監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
本記事は厚生労働省の公表資料および日本年金機構の公表情報に基づき作成しています。

この記事の結論

令和6年度の障害年金の新規裁定における不支給率(非該当割合)は13.0%で、令和5年度の8.4%から上昇しました。

不支給率は年度や傷病の種類によって変動するため、最新の審査状況を踏まえたうえで、書類の整合性を丁寧に整えて申請することが大切です。

一方、一度受給が決定した後の更新(再認定)における支給停止率は1.0%前後で安定しており、多くの方が継続して受給されています。

「障害年金の審査は厳しくなっていると聞いて不安」というお声を、最近よくいただきます。実際に令和7年には、障害年金の不支給が急増しているという報道があり、厚生労働省が実態調査を行いました。

この記事では、噂やイメージではなく、厚生労働省・日本年金機構が公表している統計データにもとづいて、障害年金の不支給率の実際の数字と、その背景にある審査の実情を整理します。数字を正しく知ることは、不安を減らし、申請の準備を的確に進めることにつながります。

目次

障害年金の不支給率は、実際に何%ですか?

厚生労働省の抽出調査によると、令和6年度に決定された新規裁定1,000件のうち、不支給(非該当)となったのは130件、割合にして13.0%でした。令和5年度の8.4%から、4.6ポイント上昇しています。

不支給率2

令和6年度の新規裁定の内訳

抽出された1,000件の内訳は次のとおりです。

認定結果件数割合
1級109件10.9%
2級539件53.9%
3級221件22.1%
障害手当金1件0.1%
非該当(不支給)130件13.0%

2級までの認定を受けている方が全体の6割以上を占めており、申請すれば必ず不支給になるというわけではありません。ただし、この13.0%という数字は、厚生労働省が令和7年6月に公表した抽出調査(新規裁定1,000件)にもとづく速報的な数値であり、例年公表される「障害年金業務統計」の確定値とは調査方法が異なる点に注意が必要です。

過去5年間の不支給率の推移

障害年金業務統計にもとづく新規裁定の非該当割合は、次のように推移してきました。

年度新規裁定の非該当割合
令和元年度12.4%
令和2年度8.0%
令和3年度7.8%
令和4年度7.7%
令和5年度8.4%
令和6年度(抽出調査)13.0%

令和2〜4年度にかけては7〜8%台で比較的落ち着いていましたが、令和6年度は令和元年度と並ぶ水準まで上昇しています。次の章で、その背景を詳しく見ていきます。

傷病の種類によって、不支給率に違いはありますか?

はい、傷病の種類によって不支給率は大きく異なり、令和6年度の抽出調査では内部障害が20.6%と最も高くなっています。精神障害、外部障害と比べても差がある結果でした。

不支給率3

傷病別の不支給率比較(令和6年度)

傷病の分類非該当割合前年度(令和5年度)
精神障害12.1%6.4%
内部障害20.6%19.4%
外部障害(肢体障害など)10.8%10.2%

内部障害(腎疾患・肝疾患・心疾患・呼吸器疾患・糖尿病など)は、以前から他の傷病より不支給率が高い傾向が続いています。

なぜ内部障害は不支給率が高いのか

内部障害は、検査数値など客観的な指標が障害認定基準に明確に定められています。目安となる幅がある精神障害と違い、数値基準への該当・非該当がはっきり分かれやすいことが、不支給率の高さにつながっていると考えられます。厚生労働省の調査でも、内部障害については審査の判断過程に特段の問題は確認されていません。人工透析や心臓ペースメーカーの装着など明確な基準に該当するケースでは認定されやすい一方、症状はあっても検査数値が基準に届かない場合は不支給となりやすい点が、内部障害特有の傾向といえます。

内部障害だと、精神障害より通りにくいということでしょうか

社労士

数字だけを見るとそう感じるかもしれませんが、内部障害は検査数値による明確な基準があるため、その基準を満たしているかどうかを事前にしっかり確認しておくことが、何より重要になります

なぜ令和6年度に不支給率が急上昇したのですか?

精神障害の新規裁定における非該当割合が、令和5年度の6.4%から令和6年度は12.1%へと、ほぼ倍増したことが主な要因です。これが令和6年度全体の不支給率を押し上げました。

報道を受けた厚生労働省の調査でわかったこと

令和7年4月、障害年金の不支給が急増しているとの報道を受け、厚生労働省は日本年金機構と連携して実態調査を行い、令和7年6月11日に調査報告書を公表しました。調査では、理事長や障害年金センター長が審査を厳しくするよう指示した事実は確認されなかったと結論づけられています。一方で、審査を担当する職員が認定医への参考情報として作成する「事前確認票」の記載内容の一部に、適切とは言いにくい表現が含まれていたことも明らかになりました。

「目安より下位等級」とされたケースの増加

精神障害の等級は、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」(平成28年7月15日付け通知)が示す目安と、診断書・申立書の内容を総合的に判断して決定されます。厚生労働省の調査では、不支給事案のうち「目安より下位の等級と判断され不支給となったケース」の割合が、令和5年度の44.7%から令和6年度は75.3%へ上昇していたことが判明しました。この上昇が、精神障害の不支給率上昇の主な要因と分析されています。

今後の改善策

厚生労働省は再発防止策として、精神障害について職員が事前確認票に等級案を記載することを廃止したほか、すべての不支給事案について複数の認定医が審査する体制への拡大、不支給決定の理由をより丁寧に記載する運用の見直しなどを進めるとしています。また、令和6年度以降の不支給事案については、順次点検を行い、必要があれば処分を取り消して支給決定をやり直す対応も進められています。

一度受給が決まったら、更新で支給が止まるリスクはありますか?

更新(再認定)による支給停止割合は令和6年度が1.0%、令和5年度が1.1%と、ほぼ同水準で安定しています。新規裁定のような大きな変動は見られませんでした。

継続受給の実態(令和6年度)

再認定の結果割合
継続支給96.8%
増額改定1.4%
減額改定0.8%
支給停止1.0%

更新を迎えた方の9割以上が、そのまま継続して受給されています。厚生労働省の調査でも、更新時の支給停止の判断過程について特段の問題は確認されておらず、新規裁定と比べて審査の運用が大きく変わったという傾向は見られませんでした。

ニュースを見て、もらえても更新でいつか止められるんじゃないかと心配になりました

社労士

お気持ちはよく分かります。ですが更新時の支給停止割合は例年1%前後で安定していて、今回大きく話題になったのはあくまで新規申請の審査についてです。症状の経過を診断書に正しく反映していただくことが、更新でも変わらず大切なポイントです

都道府県によって、審査の厳しさに差はありますか?

かつては都道府県ごとの不支給割合に大きな差がありましたが、平成28年のガイドライン導入後、その差はほぼ解消されています。現在は全国でほぼ均一な基準で審査が行われています。

かつてあった地域差

厚生労働省が平成25年に公表した調査結果によると、平成22〜24年度の3年間平均で、障害基礎年金の不支給割合が最も高かったのは大分県の24.4%、最も低かったのは栃木県の4.0%でした。この地域差が問題視されたことを受けて、精神障害の審査には全国共通の「等級判定ガイドライン」が平成28年に導入されました。

ガイドライン導入後の変化

厚生労働省の資料によると、ガイドライン施行後3年間(平成29〜令和元年度)の実績では、9割以上のケースでガイドラインが示す目安どおりの等級が認定されています。更新時の都道府県別の支給決定割合も、障害基礎年金・障害厚生年金とも98〜99%の範囲に収まっており、新規裁定・更新のいずれも、地域による差はほぼ解消されたといえます。

よくある質問

Q. 不支給になった場合、もう一度申請できますか?

A. 症状の悪化などにより状態が変化していれば、「事後重症請求」として再度申請することができます。前回不支給となった理由を踏まえて書類を見直すことが大切です。前回と診断書の内容がほとんど変わっていない場合は、同じ結果になる可能性が高いため、何が不足していたのかを整理してから再申請することをおすすめします。

Q. 不支給の理由はどこで確認できますか?

A. 不支給決定通知書に同封される「理由付記文書」で確認できます。厚生労働省は今回の調査を受けて、この文書をよりわかりやすい記載にするよう見直しを進めています。

Q. 障害基礎年金と障害厚生年金で不支給率は違いますか?

A. 障害基礎年金は1級・2級のみが支給対象であるのに対し、障害厚生年金はより軽い3級でも支給対象となるため、一般的に障害厚生年金の方が不支給率は低い傾向にあります。初診日にどちらの制度に加入していたかで、請求できる年金の種類が変わる点も、あわせて押さえておきましょう。

Q. 不支給決定に納得できない場合はどうすればいいですか?

A. 決定に不服がある場合は、社会保険審査官への審査請求という不服申し立ての制度があります。審査請求には期限があるため、早めに理由を整理して臨むことが重要です。

Q. 診断書の内容と実際の生活状況にズレがあると不支給になりやすいですか?

A. はい。厚生労働省の調査でも、診断書と病歴・就労状況等申立書の内容に食い違いがあると、審査で不利になりやすいことが指摘されています。両方の書類の整合性を整えておくことが大切です。

Q. 社労士に依頼すれば必ず支給されるようになりますか?

A. 依頼すれば必ず支給されるとお約束することはできません。ただし、審査で重視される書類の整合性や具体的な記載内容を整えるお手伝いはできますので、不安な方は早めにご相談ください。

まとめ:不支給率は上昇していますが、対策できることがあります

令和6年度の障害年金の不支給率は13.0%で、特に精神障害の分野で上昇が目立ちました。厚生労働省はこの状況を受けて実態調査を行い、審査の透明性を高めるための改善策を進めています。一方で、更新時の支給停止率はほぼ変わらず安定しており、都道府県による審査の差もガイドライン導入後は大きく縮小しています。数字だけを見ると不安になりがちですが、審査の仕組みを正しく理解しておくことが、何よりの安心材料になります。

不支給率が上昇しているからといって、申請そのものを諦める必要はありません。診断書と申立書の整合性を整え、日常生活での具体的な支障を正しく伝えることが、これまで以上に重要になっています。ご自身での準備に不安がある方は、一人で抱え込まず専門家に相談することをおすすめします。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。

参考資料

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皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。

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この記事を書いた人

請川 智章のアバター 請川 智章 社会保険労務士・障害年金専門

香川県観音寺市を拠点とする障害年金専門の社会保険労務士
登録番号第37250012号 香川県社会保険労務士会会員
精神疾患・身体障害・難病など幅広い傷病の障害年金申請をサポートし、香川・岡山・愛媛を中心に中四国全域からの相談に対応。

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