概要
- 年齢・性別・都道府県:50代・男性・香川県
- 傷病名:筋強直性ジストロフィー
- 主な症状:歩行障害・易転倒性(すり足歩行)、上下肢の筋力低下・握力低下、体幹バランス障害、排尿障害(失禁)、構音障害・難聴、認知機能低下・思考の緩慢さ
相談から申請までの経緯
相談のきっかけ
若い頃から腰を曲げた姿勢での歩行や動作のゆっくりとした様子が見られており、平成20年頃から思考の周りにくさ・姿勢の保ちにくさ・歩行障害などが徐々に目立つようになりました。10年間勤めてきた仕事も続けられなくなり、日常生活に大きな支障をきたすようになっていきました。
足の上げづらさや歩行のしづらさは顕著で、階段で躓き転倒することや、自宅の勝手口を開けた際にバランスを崩して後方に転倒することも多くなりました。令和4年12月には銀行入り口のスロープで躓いて転倒・顔面を打撲し、救急搬送されるに至りました。
その後も症状は改善せず、精神的・肉体的な外出困難が続き自宅に引きこもりがちになったため、障害者手帳の取得を希望して精神科を受診。初診時に神経疾患の可能性が疑われ、脳神経内科へ紹介転医となりました。今後の生活への不安を感じた中で、当センターの社会保険労務士へご相談いただきました。
治療と生活の状況
脳神経内科にて各種検査を実施した結果、筋強直性ジストロフィーの疑いとされました。医師からは、診断を確定させたとしても有効な治療法が確立されていない疾患であるため、精密検査を行わずに病気と付き合っていく選択をする方も多いと説明を受けましたが、本人の希望により遺伝子検査を実施。令和7年3月に診断が確定しました。
日常生活では多くの場面で介助や工夫が必要な状態です。歩行はすり足となっており、屋内外を問わず小さな段差でも躓きやすく、支えなしでは安定した歩行が困難です。就労継続支援B型事業所への通所中にも転倒が複数回発生しており、都度医療機関を受診しています。外出時には車椅子を必要とすることもあります。
上下肢の筋力・握力はともに低下しており、ペットボトルの蓋を開けることや、タオルを絞る動作、靴紐を結ぶといった細かい動作が困難です。物を握ろうとすると無意識に指が伸びてしまうといった筋強直の症状も見られます。排尿については尿意の感覚が鈍く、夜間を中心に失禁が生じています。更衣動作にも時間と労力がかかり、事業所のスタッフから同じ衣服を何日も着続けていることや衣服の汚れが確認されています。
コミュニケーション面でも症状が出ており、発語が不明瞭で聞き取りづらく、質問に対して回答するまでに時間を要することや、会話が途中で脈絡なく逸れていくこともあります。難聴も進行しており、日常会話でも聞き返しが必要な場面が増えています。
同居している高齢の父が日々の見守りや介護を担っていますが、父自身も身体的・精神的な負担が限界に近い状況であり、将来の生活基盤への不安が大きい状態です。
障害年金の申請までの経緯
利用していた就労継続支援B型事業所のスタッフからのご紹介をきっかけに、当センターの社会保険労務士へご相談いただきました。障害年金の仕組みについてご存じでなかったため、受給の可能性や申請手続きの流れをご説明したうえで、申請を進めることになりました。
本人・同居の父ともにヒアリングが困難な状況であったため、事業所スタッフにも協力を仰ぎながら情報を収集。要点を整理したうえで年金事務所へ複数回相談し、初診日の判断を含めた申請方針を確認しながら手続きを進めました。
障害年金申請のポイント
- 初診日:令和5年10月・精神科
- 受給を決めた要因:筋強直性ジストロフィーの診断が確定しており、上下肢の筋力・握力低下、体幹バランス障害、排尿障害、認知機能低下、構音障害・難聴など、日常生活全般にわたる著しい機能低下が認められたことが受給につながりました。
- 困難だった点と解決策:初診日の特定が最大の課題でした。令和4年12月の転倒・救急搬送時は外科処置のみで筋強直性ジストロフィーに関連する所見がなかったため、初診日とは認められませんでした。一方で、平成20年頃からの長年にわたる症状の経緯があり、初診日の判断は容易ではありませんでした。本人・同居の高齢の父からのヒアリングだけでは十分な判断が難しい部分もあったため、要点を整理して年金事務所へ複数回相談。その結果、精神科受診時に神経疾患の疑いが示唆された日(令和5年10月)が初診日と判断されました。また、B型就労継続支援事業所のスタッフから詳細な生活状況の情報提供を得られたことも、申請書類の整備に大きく役立ちました。
結果
等級
障害基礎年金2級認定
受給額
年金額 約83万円
まとめ|筋強直性ジストロフィーと障害年金・初診日特定のポイント
今回のケースは、長年にわたって症状が進行してきた筋強直性ジストロフィーの事例です。転倒・救急搬送の経緯があったにもかかわらず、その時点では初診日と認められず、年金事務所への複数回の相談を経てようやく初診日が確定しました。初診日の特定は障害年金の申請において非常に重要なポイントであり、判断を誤ると受給できなくなるケースもあります。
また、本人や家族からのヒアリングが困難な状況でも、就労継続支援事業所のスタッフなど周囲の協力者から情報を集めることで、実態に即した申請書類を整えることができました。ご本人だけで抱え込まず、専門家に相談することが早期解決への近道です。
香川県で筋強直性ジストロフィーや肢体の障害による障害年金の申請をお考えの方は、専門の社会保険労務士へお早めにご相談ください。
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