監修:社会保険労務士 請川智章(社会保険労務士登録番号 第37250012号/中四国障害年金相談センター 代表)
ご本人の同意を得て、個人が特定されないよう一部内容を変更して掲載しています。
この事例の要点
| ご本人 | 60代・男性・徳島県 |
|---|---|
| 傷病名 | 難治性間質性膀胱炎 |
| 結果 | 障害厚生年金3級・年金額 約100万円 |
| 申請時の状況 | 水圧拡張術や薬物療法でも改善せず、1日80〜100回もの頻尿と痛みが続いた末に膀胱摘出・人工膀胱の手術を受けた。術後も尿意のような感覚で睡眠が途切れ、就業制限が必要 |
| この事例の壁 | 初診から約18年、受診していない期間も含む長い治療歴の整理 |
1日80〜100回もの頻尿と強い痛みが続いた難治性間質性膀胱炎の方が、膀胱摘出の手術に至るまでの長い治療歴を整理し、障害厚生年金3級の認定につながった事例です。
こんな方の参考になる事例です
- 間質性膀胱炎で、頻尿や痛みが治療を続けても改善しない
- 膀胱摘出や人工膀胱の手術を受けた、または検討している
- 何年も受診していない期間があり、経過をどう説明するか迷っている
ご相談時の状況
ご本人は平成17年、15分ごとの頻尿と排尿時の痛みで初めて受診しました。複数の医療機関で前立腺炎などと診断されて治療を受けましたが改善せず、手術で一時的に良くなったものの、半年ほどで再び悪化しました。その後も頻尿を抱えながら働き続け、平成28年に間質性膀胱炎と診断されました。
- 治療の経過:令和3年以降、水圧拡張術を2回、ステロイドなどの膀胱内注入療法も受けましたが、症状はかえって悪化しました。水圧拡張術の後は1日80〜100回もの頻尿となり、排尿間隔は2〜5分程度でした
- 睡眠と生活:時間帯によっては排尿困難も起こり、夜間に何度も目が覚めて十分に眠れませんでした。外出もままならず、気分の落ち込みもあって令和3年に休職しました
- 手術:医師と相談を重ねたうえで膀胱摘出を決断し、令和4年に人工膀胱の手術を受けました。術後は一時的に改善しましたが、数か月で尿意のような感覚が現れ、夜間の睡眠が途切れる状態が続いています
約18年の長い治療歴を、どう整理したか
壁:多くの医療機関と、受診していない長い期間
初診から申請までは約18年あり、その間に多くの医療機関を受診していました。一方で、症状を抱えながら働き続け、10年近く受診していない期間や、通院以外の方法で対処していた期間もありました。経過がつながって見えるように、受診歴と生活の変化を一つずつ整理する必要がありました。
対応:受診歴と生活への影響を時系列でまとめた
- 治療歴の整理:医療機関ごとの受診期間と治療内容に加え、受診していなかった期間の症状と生活の状況も聞き取り、時系列で整理しました
- 生活への影響:夜間の頻尿と睡眠障害、外出や移動の制限、就業への影響を具体的に記録し、申請書類に反映しました
- 診断書:医師の診断書には「症状固定」「難治性」「就業制限が必要」との記載をいただきました
長く受診していない時期がある方も、あきらめる前に一度ご相談ください。
ご自身のケースが当てはまるか、迷っていませんか
障害年金は、同じ傷病でも初診日や日常生活の状況によって結果が変わります。記事だけでは判断がつかない部分も多いので、気になる点があればお気軽にお声かけください。ご依頼前のご相談は無料です。
※LINEと問い合わせフォームは24時間受け付けています。しつこい勧誘は一切ございません。
間質性膀胱炎で膀胱を摘出し、人工膀胱になった場合、障害年金は何級ですか?
新膀胱を造設した場合や尿路変更術を施した場合、障害認定基準では3級と認定されます。3級は障害厚生年金にしかないため、初診日に厚生年金に加入していたことが前提になります。
障害認定基準 第18節は、「人工肛門又は新膀胱を造設したもの若しくは尿路変更術を施したものは、3級と認定する」と定めています。障害の程度を認定する時期は、尿路変更術ではその手術の日から6か月を経過した日、新膀胱ではその造設日です(いずれも初診日から1年6か月以内の場合)。
手術を受けていない場合でも、日常生活や就業への影響によっては障害年金の対象になり得るため、頻尿の回数や痛み、睡眠障害を具体的に伝えることが大切です。人工膀胱と障害年金の関係は「人工膀胱・尿路変向術を受けたら障害年金は何級?」で詳しく解説しています。
認定結果
| 年金の種類・等級 | 障害厚生年金3級 |
|---|---|
| 年金額 | 約100万円(認定当時の年額) |
長い闘病の末に手術まで行っても症状が残り、生活と就業に大きな制約が続いていることが評価され、障害厚生年金3級と認定されました。
よくある質問
Q. 初診日に国民年金だけに加入していた場合も、3級になりますか?
A. なりません。障害基礎年金の等級は1級と2級だけで(国民年金法第30条第2項)、3級は障害厚生年金にしかないためです。初診日にどの年金制度に加入していたかを、受診状況等証明書などで最初に確認することが大切です。
Q. 障害厚生年金3級の年金額は、どう決まりますか?
A. 厚生年金の加入期間と給与にもとづく報酬比例の額で決まり、加入期間が300月に満たない場合は300月として計算します(厚生年金保険法第50条第1項)。その額が少なくても、最低保障額(同条第3項)が支給されます。
まとめ:難治性の膀胱の病気でも、長い経過を整理すれば請求につながる
今回の事例は、約18年にわたって頻尿と痛みに苦しみ、水圧拡張術や膀胱内注入療法でも改善せず、膀胱摘出の手術に至った難治性間質性膀胱炎のケースです。受診していない期間も含めて長い治療歴を整理し、生活と就業への影響を書類に反映したことが、障害厚生年金3級の認定につながりました。
結果は一人ひとりの病気の経過や状況によって異なりますが、「自分の病気では難しいかもしれない」と思っている方も、申請をあきらめる必要はありません。中四国にお住まいの方はもちろん、全国からのお問い合わせに対応しています。来所が難しくてもLINEで気軽にご相談いただけます。
参考資料
・国民年金法 第30条(e-Gov法令検索)
・厚生年金保険法 第50条(e-Gov法令検索)
・障害認定基準 第18節 その他の疾患による障害(日本年金機構)
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