障害年金について調べていると、「症状が少し良くなってきているなら、もう対象外なのでは?」と感じて申請をためらってしまう方は少なくありません。
実際の相談でも、
- 薬が効いて前より落ち着いてきた
- 以前ほどひどい状態ではない
- 調子の良い日は動けることもある
といった理由から、「もう障害年金はもらえないですよね?」と聞かれることがあります。
しかし、「治ってきている=もらえない」わけではありません。
この記事では、障害年金の認定で重視される考え方と、よくある誤解について整理します。
障害年金は「完治していないこと」が条件ではありません
まず大前提として、障害年金は「まったく治っていない人だけ」の制度ではありません。
認定で見られるのは「治療経過」ではなく「生活への影響」
障害年金の認定では、「病名」「治療年数」「回復しているかどうか」そのものよりも、
- 日常生活にどの程度制限があるか
- 就労や社会生活がどれほど困難か
といった 生活機能の制限 が重視されます。
治療により症状がある程度落ち着いていても、生活や仕事に支障が残っていれば、認定の対象となる可能性はあります。
「治ってきている」と感じやすいケースとは
「治ってきている」と感じる背景には、いくつか共通した状況があります。
症状に波がある場合
精神疾患をはじめ、多くの傷病では、「調子の良い時期」「悪化する時期」を繰り返すことがあります。
一時的に落ち着いている時期だけを見て「もう大丈夫」と判断してしまうケースは少なくありません。
無理をすれば動けてしまう場合

- 家事を何とかこなしている
- 短時間なら外出できる
- 就労を試みたことがある
こうした状況でも、強い疲労や反動、再悪化が伴っている場合は、日常生活に制限がある状態と評価されることがあります。
「治ってきている」と「支障がない」は別の話です
ここで混同されやすいのが、症状の軽快 と 生活上の支障の有無 です。
症状が軽くなっても、制限が残ることは多い
たとえば、
- 服薬で症状は抑えられているが、副作用が強い
- 体調管理に多くのエネルギーを使っている
- 周囲の支援がなければ生活が成り立たない
といった場合、見た目には落ち着いていても、実際には大きな制限を抱えていることがあります。
「もう対象外だと思っていた」という相談は珍しくありません

実務の現場では、「自分より重そうな人が受給しているイメージがある」「少し良くなったら申請できないと思っていた」という理由で、本来検討できたはずの申請を見送っていたケースも多くあります。
判断基準は「他人との比較」ではありません
障害年金は、「他の人より軽いか重いか」ではなく「その人自身の生活状況がどうか」で判断されます。
「以前より良くなった」という事実だけで、一律に対象外になるわけではありません。
診断書の書き方で誤解が生じることもあります
「治ってきている」と感じている場合、診断書の内容が実態より軽く見えることがあります。
医師と生活状況の認識がずれているケース
医師が把握しているのは、「診察室での様子」「症状の安定度」が中心です。
一方で、「家庭内での困難」「疲労や反動」「周囲の支援の有無」までは十分に共有されていないこともあります。
その結果、「症状は安定している」という表現だけが強調され、生活上の制限が伝わらないケースがあります。
大切なのは「今できていないこと」を整理すること

「治ってきているかどうか」を気にするよりも、次の点を整理することが重要です。
認定で重視される視点
- 一人でできないことは何か
- 無理をしないと成り立たない場面はあるか
- 支援や配慮がなければ生活できるか
これらを具体的に整理することで、認定に必要な情報が明確になります。
まとめ|「治ってきている」ことと認定の可否は別です
障害年金は、「完治していないこと」や「まったく改善していないこと」を条件とする制度ではありません。
治療によって一定の改善が見られていても、日常生活や就労に制限が残っていれば、検討の余地は十分にあります。
「もう対象外かもしれない」と感じている方ほど、一度立ち止まって、生活状況を整理してみることが大切です。
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