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障害年金コラム・お役立ち情報

「適応障害」や「パーソナリティ障害」は障害年金の対象外?受給可能性がある「例外」とは

障害年金の申請を検討する際、診断名が「適応障害」や「パーソナリティ障害」であると、受給が難しいという話を聞くことがあります。
これは、厚生労働省が定める公的な「障害認定基準」において、これらの疾患が原則として認定対象外と規定されているためです。
しかし、基準には続きがあり、特定の条件下では受給の可能性が開かれています。本記事では、公的な規定の内容と、例外的に受給が認められる要件について、制度の仕組みを客観的に整理して解説します。

障害認定基準における神経症と人格障害の規定

障害年金の審査の基盤となる『国民年金・厚生年金保険 障害認定基準』では、精神の障害をいくつかのカテゴリーに分類し、それぞれの認定基準を定めています。
適応障害は「神経症」に、パーソナリティ障害は「人格障害」に分類されますが、これらのグループについては、基準内で以下のように明確な規定が設けられています。

神経症(適応障害など)の取り扱い

認定基準の「第8節 精神の障害」において、神経症は次のように記されています。
「神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として認定の対象とならない。」
この一文が、適応障害などで障害年金を受給する際の大きな法的障壁となります。
適応障害は国際疾病分類(ICD-10)において「F4:神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害」に属するため、この「原則対象外」のルールが直接適用されることになります。

人格障害(パーソナリティ障害など)の取り扱い

同様に、パーソナリティ障害が含まれる人格障害についても、基準内では以下のように規定されています。
「人格障害は、原則として認定の対象とならない。」
人格障害は、その人の思考や行動のパターンが著しく偏り、社会生活に支障をきたすものですが、現行の障害年金制度上は、原則として「補償すべき障害」の範囲に含まれないという立場が取られています。

原則対象外とされる理由と医学的背景

可逆性

公的な認定基準には、単に「対象外とする」という結論のみが書かれており、その詳細な理由までは記されていません。
しかし、制度の設計趣旨と、これらの疾患が持つ医学的な特性を照らし合わせると、以下のような背景があると推察されます。

障害年金制度の趣旨との整合性

障害年金は、適切な治療を継続しても治癒せず、障害の状態が「固定」しているか、あるいは「長期間」にわたって日常生活や労働に著しい制限がある状態を補償することを目的とした制度です。
そのため、審査においては「症状の持続性と固定性」が極めて重視されます。

適応障害における医学的特性の解釈

適応障害の医学的定義には、「特定のストレス要因」が存在し、そのストレスから離れることで症状が改善に向かうという「可逆性」の側面が含まれています。
この「環境を調整すれば改善する可能性がある」という疾患の定義上の特性が、制度が求める「固定性」や「非可逆的な長期持続性」という要件に、形式上適合しにくいと判断される要因の一つと考えられています。

パーソナリティ障害における分類上の性質

パーソナリティ障害については、それが「病気(疾患)」であるのか、あるいは個人の「特性(性格)」の範疇であるのかという医学的な議論が存在します。
障害年金制度においては、人格障害そのものは精神病(脳の機能不全を伴う疾患など)とは異なるカテゴリーとして扱われており、現在の認定実務では、原則として「本人の特性」としての側面が考慮されるため、公的な補償の対象からは除外されているのが現状です。

認定の対象となり得る例外規定の内容

診断名と実態

「原則として認定の対象とならない」という規定には、必ず「ただし書き」による例外が存在します。
この規定こそが、適応障害やパーソナリティ障害でも受給できる可能性がある法的根拠となります。

精神病の病態を示している場合の特例

認定基準には、神経症および人格障害の項目において、以下の共通した例外規定が設けられています。
「ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。」
ここでいう「精神病の病態」とは、単なる気分の落ち込みや性格の偏りの域を超え、うつ病(気分障害)や統合失調症と同等の重篤な精神症状を呈している状態を指します。

準じて取り扱うという審査実務

この規定が適用されると、診断名が適応障害やパーソナリティ障害であっても、実質的な審査の対象となります。
具体的には、認定基準の中の「統合失調症」や「気分(感情)障害」の判定指標が準用され、日常生活能力の判定や就労制限の状態が厳密に審査されることになります。
つまり、診断名という「入り口」ではなく、症状の実態という「中身」で判断されるステージに移ることになります。

例外が認められるための具体的要件

例外規定が適用されるためには、単に主観的な苦痛を訴えるだけでは足りません。
客観的な医学的判断として、以下の要素が診断書等で詳細に証明される必要があります。

症状の重篤性と持続の実態

ストレス要因を取り除いた後も、あるいは環境を変えた後もなお、症状が改善せずに長期間持続している実態が求められます。
具体的には、深い抑うつ状態、意欲の著しい減退、思考の停止、あるいは幻覚や妄想といった、一過性の反応ではない「重篤な精神症状」が継続していることが重要視されます。

診断書の記載内容における医学的見解

主治医が診断書を作成する際、病名欄が適応障害であっても、備考欄や「診断名と現症の相関関係」等の項目において、「現在の病態は、事実上うつ病(気分障害)に準じるほど重篤である」といった専門的な見解が明記されている必要があります。
この医学的な裏付けがない限り、審査側は認定基準の「原則」に従って判断を下すことになるため、医師との情報共有が不可欠です。

日常生活能力の判定指標

例外規定が適用された後の実質的な認定プロセスでは、「日常生活能力の判定(7項目)」および「日常生活能力の程度(5段階評価)」が審査の柱となります。
食事、清潔保持、対人関係、適切な行動、安全保持などの項目において、家族や専門職による常時の援助が必要な状態であれば、2級や3級といった等級に認定される可能性が出てきます。

申請にあたっての留意事項と準備

協力と準備

適応障害やパーソナリティ障害で申請を行う場合は、通常の精神疾患以上に、認定基準の「ただし書き」を意識した慎重な準備が必要となります。

主治医との密接なコミュニケーションの構築

まずは自身の現在の病態が、認定基準にある「精神病の病態」に該当する可能性があるかどうかを主治医と冷静に相談してください。
もし、適応障害からうつ病へ病態が移行している、あるいは合併していると医師が判断している場合は、診断名の見直しや、実態に即した病名の併記を検討してもらうことが、受給の可能性を左右するポイントとなります。

診断名の変遷と初診日の整合性

精神疾患は経過とともに診断名が変わることが珍しくありません。
最初に受診した際の診断名が適応障害であっても、その後に病態が悪化してうつ病と診断された場合、初診日は「適応障害で最初に受診した日」として認められるのが通例です。
これまでの受診歴を正確に整理し、初診日の証明(受診状況等証明書)を確実に取得しておくことが手続きの基本となります。

病歴・就労状況等申立書による実態報告

本人または家族が作成する「病歴・就労状況等申立書」は、診断書を補完する重要な書類です。
環境調整を行っても改善しなかった経緯や、日常生活で具体的にどのような制限を受けているかを、具体的かつ客観的なエピソードを交えて記載します。
診断書の記載内容と整合性が取れていることが、審査における証拠能力を高めることにつながります。

制度の正確な理解による適切な対応

「適応障害だからもらえない」という認識は、公的な認定基準の原則のみに注目したものであり、必ずしも全ての場合に当てはまるわけではありません。
一方で、無条件に受給できるわけでもなく、あくまで「精神病の病態」という高いハードルを越える必要があります。
大切なのは、公的な障害認定基準が定める「原則」と「例外」の構造を正しく理解し、自身の病態が制度の救済範囲に含まれるかどうかを客観的に見極めることです。
医師や社会保険労務士などの専門家の助言を得ながら、認定基準に基づいた適切な書類準備を進めていくことが、納得のいく結果を得るための第一歩となります。

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