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うつ病・発達障害・統合失調症 精神の病気でも障害年金の対象になる?

こんにちは。中四国障害年金相談センターの社会保険労務士、請川です。
障害年金というと、「身体の障害のある人だけがもらえるもの」と思っていませんか?
実際には、うつ病・統合失調症・発達障害・双極性障害(躁うつ病)などの精神の病気も対象になります。
しかし、精神疾患は目に見えにくく、周囲の理解も得られにくいため、「自分は対象外かもしれない」と申請をためらってしまう方も少なくありません。
この記事では、精神の病気で障害年金を受け取るための基本的な考え方や、申請時のポイントをわかりやすく解説します。

精神の病気も障害年金の対象になります

対象となる主な病気

精神疾患による障害年金の対象は非常に幅広く、代表的なものには次のような病名があります。

  • うつ病
  • 双極性障害(躁うつ病)
  • 統合失調症
  • 発達障害(自閉スペクトラム症、ADHDなど)
  • 高次脳機能障害(脳梗塞・脳外傷などの後遺症)
  • 認知症、アルコール依存症など

これらの病気はすべて、その症状によって日常生活や就労に制限がある場合に対象となります。
つまり、病名よりも「生活への影響」が重視されます。

一方で、不安障害・パニック障害・適応障害などの神経症は、原則として障害年金の対象外です。
ただし、症状の経過や臨床的な特徴からみて、統合失調症やうつ病・双極性障害などの精神病の病態を示している場合には、それらの病気と同じように取り扱われることがあります。
判断にあたっては、医師が国際疾病分類(ICD-10)に基づいてその病態がどの区分にあたるかを考慮したうえで行われます。

判断基準は「症状の重さ」ではなく「生活の制限」

精神の病気の特徴は、症状の波があることです。
一時的に体調が良い日があっても、「外出が難しい」「仕事が続かない」「家事や対人関係が維持できない」といった状態が続いている場合、日常生活能力の低下と判断され、障害年金の対象になる可能性があります。

精神障害の診断書で重視されるポイント

医師が見る7つの観点

精神の病気で障害年金を申請する際に提出する「精神の障害用の診断書」では、日常生活でどのくらい自立して生活できているかを7つの視点から評価します。

  1. 食事をきちんととれているか(食事の準備や摂取の状況)
  2. 身の回りの清潔を保てているか(入浴・洗顔・着替えなど)
  3. お金の管理や買い物ができているか
  4. 通院や薬の管理を自分でできているか
  5. 人とのやり取りや対人関係が保てているか
  6. 危険を避けるなど安全に行動できているか
  7. 社会生活をどの程度送れているか(外出・仕事・家族との関わりなど)

これらの7項目をもとに、日常生活能力の程度が評価され、その結果が障害等級(1級・2級・3級)の判断に反映されます。

医師に伝えるべきこと

診断書を作成してもらうときは、「症状」だけでなく「生活の困りごと」を具体的に伝えることが大切です。
たとえば、

  • 朝起きられず、通院や出勤が難しい
  • 会話が続かず、人との関わりを避けてしまう
  • 食事や掃除などの家事ができず、家族に助けてもらっている

といった日常生活の具体的なエピソードを共有すると、医師もより実情に合った診断書を作成しやすくなります。

よくある相談例

「自分も該当するかもしれない」と感じたら、次のようなケースを参考にしてください。

  • うつ病で退職し、治療を続けているが働ける見通しが立たない
  • 発達障害で職場のコミュニケーションが難しく、何度も転職している
  • 統合失調症で幻聴や妄想があり、外出が困難
  • 高次脳機能障害によって記憶力や判断力が低下し、社会生活に支障がある
  • 強い不安や緊張が続き、家事や外出が思うようにできない
  • 長期間の治療を続けても、日常生活の支援が必要な状態が続いている

これらはいずれも、障害年金の申請対象となる可能性があるケースです。
病名だけで判断せず、「どの程度生活や仕事に支障があるか」を基準に考えてみましょう。

なお、不安障害や適応障害などの神経症は原則として対象外ですが、症状の経過や臨床的な特徴から、統合失調症やうつ病・双極性障害などの精神病の病態を示している場合には、それらと同様に取り扱われることがあります。

申請を考えるときの注意点と準備

初診日を特定する

精神疾患では、複数の医療機関にかかっている方も多いため、どの病気で最初に受診したか(初診日)を明確にしておくことが大切です。
初診日を証明するためには、受診状況等証明書の取得が必要になります。

診断書の内容を確認する

精神の障害用の診断書は、評価項目が多く専門的です。
書き方一つで結果が変わることもあるため、専門家のチェックを受けてから提出するのがおすすめです。

病歴・就労状況等申立書を丁寧に書く

この書類では、病気の経過や生活状況を本人が記入します。
「働けなかった期間」「症状が悪化した時期」「家族の支援が必要だった時期」などを、時系列で具体的にまとめておきましょう。

ためらわず、早めの相談を

精神の病気は、見た目には分かりにくいため、周囲から理解を得にくいことがあります。
しかし、「目に見えない苦しさ」こそ、障害年金の支えが必要な場面です。
大切なのは、

  • 病名で判断せず、生活の実情を基準に考えること
  • 一人で抱え込まず、専門家や家族と協力すること

中四国障害年金相談センターでは、うつ病や発達障害、高次脳機能障害など精神疾患による申請も多数サポートしています。
「自分の状態で申請できるのか知りたい」「医師に何を伝えたらいいか分からない」など、どうぞお気軽にご相談ください。

あわせて、精神の障害に関する受給事例はこちらをご覧ください

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