障害年金の受給が決まった時、年金証書を見て「次回更新年月」が書かれていることに気づく方がいます。
「せっかく受給できたのに、数年後にまた審査があるの?」と不安になるかもしれませんが、実は障害年金には、更新が必要な「有期認定」と、一生涯更新が不要な「永久認定」の2種類が存在します。
一度もらえれば安心というわけではなく、病気や障害の種類、状態によって扱いが大きく異なるのです。
この記事では、永久認定と有期認定の決定的な違い、どのようなケースで永久認定になるのか、そして多くの人が該当する「有期認定」における更新のリスクについて解説します。
永久認定と有期認定、決定的な違い
障害年金の認定方法は、医学的な「回復の可能性」によって2つに分けられます。
まずはご自身がどちらに当てはまる可能性があるのか、基本的な仕組みを理解しましょう。
有期認定(更新が必要)
ほとんどのケースはこちらに該当します。
「有期」という言葉の通り、1年から5年の範囲で受給期間が区切られているものです。
期間が満了するタイミングで改めて診断書(障害状態確認届)を提出し、「現在も障害の状態が続いているか」の審査(更新)を受ける必要があります。
症状が改善していると判断されれば、等級が下がったり、支給が停止されたりする可能性があります。
永久認定(更新が不要)
その名の通り、一度認定されれば一生涯にわたって支給が続くものです。
「医学的に見て、これ以上症状が変化(回復)しない」と判断された場合に決定されます。
この場合、更新の手続きは一切不要となり、途中で年金が止まる心配をせずに生活することができます。
どんな人が「永久認定」になりやすいのか?

「手続きが楽だし、打ち切りの心配がない永久認定がいい」と誰もが思いますが、残念ながら希望して選べるものではありません。
認定の区分は、障害の性質によってある程度決まっています。
手足の欠損や人工関節などは「永久」が多い
手足を切断した場合や、人工関節・人工弁を入れた場合など、現代の医学では元の状態に戻ることがあり得ない障害については、原則として永久認定となります。
「手が生えてくることはない」「人工関節が自然治癒することはない」といった不可逆的な状態であれば、何度も診断書を出す意味がないためです。
精神疾患や内部疾患は「有期」がほとんど
一方で、うつ病や統合失調症などの精神疾患、あるいは腎疾患や心疾患などの内部疾患は、治療によって症状が良くなることもあれば、悪化することもあります。
このように状態が変動する可能性がある病気については、定期的に状態を確認する必要があるため、初回から永久認定が出ることは極めて稀です。
基本的には「有期認定」となり、数年ごとの更新を繰り返すことになります。
自分で「永久認定」を指定して請求できる?
これから申請する方や、更新を控えている方から「医師に頼んで永久認定にしてもらえますか?」という質問をよくいただきますが、これには明確なルールがあります。
決定権は「日本年金機構」にある
診断書には「予後(今後の見通し)」を書く欄がありますが、医師ができるのはあくまで「医学的な意見」を述べることまでです。
それを踏まえて「有期にするか、永久にするか」を最終決定するのは、国(日本年金機構)の認定医です。
請求する側が「永久認定希望」と書いて提出することはできませんし、医師が「永久相当」と書いても、審査で「有期」と判断されることは珍しくありません。
更新を繰り返して「永久」になることもある?
精神疾患などでは稀ですが、長期間(例えば10年以上)にわたって更新を繰り返し、「症状が完全に固定しており、今後も変化の見込みがない」と判断された場合に、途中から永久認定に切り替わるケースもゼロではありません。
しかし、これはあくまで結果論であり、「何回更新すれば永久になる」という明確な基準はないのが現状です。
有期認定の「更新」で気をつけるべきこと

多くの受給者が向き合うことになる「有期認定」。
更新は単なる事務手続きではなく、実質的な「再審査」です。
ここで油断すると、生活の基盤を失うことになりかねません。
「症状が変わらない=継続」とは限らない
「前回と症状が変わっていないから大丈夫だろう」と考えて、前回と同じような内容の診断書を提出した結果、等級が下がったり不支給になったりするケースがあります。
これは、診断書の記載内容が微妙に薄くなっていたり、日常生活能力の評価が軽く書かれてしまったりすることが原因です。
「変わっていない」ことを、医学的に正しく証明し続けなければならない難しさがあります。
通院を中断すると更新できなくなる
症状が安定しているからといって通院を辞めてしまうと、更新の時期になって診断書を書いてもらえないという事態に陥ります。
医師は「診察していない期間」の状態を証明することはできません。
有期認定である以上、定期的な通院と、医師への現状報告(生活の困りごとの相談)を継続することが、年金を守るための必須条件です。
更新の不安を解消するために、次にあなたがすべきこと

「自分はいつまで年金をもらえるのか」「次の更新で止まったらどうしよう」という不安は、受給中ずっとついて回るものです。
その不安を少しでも減らすために、今すぐ確認してほしいアクションをお伝えします。
①年金証書で「次回更新年月」を確認する
まずは手元の年金証書を見て、右下あたりにある「次回診断書提出年月(または次回更新年月)」の日付を確認してください。
ここが空欄や「***」になっていれば永久認定ですが、日付が入っていれば有期認定です。
「あと何年あるのか」を正確に把握し、カレンダーにメモしておきましょう。
②更新は「新規申請」と同じ緊張感を持つ
更新の案内(診断書の用紙)は、提出期限の約3ヶ月前に届きます。
この時になって慌てて医師にお願いするのではなく、「最近の生活状況」や「働けない事情」を日頃から医師に伝えておくことが重要です。
更新は事務処理ではなく、再び審査を受ける場だと認識してください。
③更新が不安なら「専門家」に相談する
「前回の申請時より少し働けるようになった」「主治医が変わって理解してもらえるか不安」など、状況の変化がある場合は特に注意が必要です。
安易に提出して支給停止になってからでは、取り返しがつきません。
更新の診断書を依頼する前に、専門家に相談し「今の状態で更新できるか」「診断書に何を書いてもらうべきか」のアドバイスを受けることを強くおすすめします。
