病気やけがで「これまでのように働けない」「日常生活が難しい」と感じている方を支える制度が、障害年金です。
ただ、「そもそもどんな年金?」「誰がもらえるの?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、初めての方にも分かりやすいように、障害年金の仕組みや受け取るための条件、申請の流れを解説します。
障害年金とは?
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事に制限がある人に支払われる公的年金です。
老齢年金や遺族年金と同じ「公的年金制度」の一つで、国民年金・厚生年金に加入している人が対象になります。
目的
障害によって働けなくなったり、日常生活が難しくなった場合に、収入の減少を補うための生活保障が目的です。
対象となる障害
うつ病や統合失調症、がん、心臓疾患、糖尿病、脳梗塞などの身体障害・精神障害・難病など、病名に関係なく生活や就労に制限があれば対象となる可能性があります。
障害年金の種類
障害年金は、大きく2つに分かれます。
障害基礎年金
国民年金に加入している人(自営業・学生など)が対象。
原則として1級または2級の重い障害がある場合に支給されます。
障害厚生年金
厚生年金に加入している人(会社員・公務員など)が対象。
1級〜3級までがあり、基礎年金より軽い障害でも対象になります。
障害年金を受け取るための3つの条件
①初診日の特定
障害の原因となった病気やけがで最初に医師の診察を受けた日(=初診日)を証明する必要があります。
カルテや紹介状、受診記録などで確認します。
この日に加入していた年金制度(国民年金or厚生年金)によって受給できる障害年金の種類が決まります。
②保険料納付要件
障害年金を受け取るためには、初診日の前日時点で「保険料をきちんと納めていること」が条件になります。
具体的には、次のいずれかの条件を満たしている必要があります。
- 初診日の前々月までの期間のうち、保険料を納めた(または免除を受けた)月が全体の3分の2以上あること

または
- 初診日の属する月の前々月までの1年間に未納がないこと

このいずれかを満たしている必要があります。
③障害認定びと障害の状態
初診日から1年6か月後(または治療が固定した時点)の状態をもとに、障害の重さが1級〜3級に認定されます。
認定は「日常生活の制限」「就労の制限」などで総合的に判断されます。
申請の流れと必要書類

- 初診日の確認・医療機関の特定
- 診断書の作成依頼(医師に依頼)
- 病歴・就労状況等申立書の作成
- 年金事務所または市区町村への提出
書類の内容に不備があると不支給になる場合もあるため慎重に準備してください。
不安があれば社会保険労務士など専門家への相談が安心です。
支給額の目安(令和7年度)
年金額は毎年改定されます。また、厚生年金の場合は報酬比例といって働いていた時の給与や年数によって受給できる年金額が変わります。
ここでは令和7年度の金額を記載しています。

障害基礎年金
| 区分 | 年金額 |
| 障害基礎年金1級 | 1,039,625円 (障害基礎年金2級の1.25倍) |
| 障害基礎年金2級 | 831,700円 |
| 子の加算 | 1人目・2人目の子 239,300円/人
3人目以降の子 79,800円/人 |
障害厚生年金
| 区分 | 年金額 |
| 障害厚生年金1級 | 報酬比例の額×1.25+1,039,625円 |
| 障害厚生年金2級 | 報酬比例の額+831,700円 |
| 障害厚生年金3級 | 報酬比例の額 (最低保証額 623,775円) |
| 配偶者・子の加算 | 配偶者と2人目までの子 239,300円/人
3人目以降の子 79,800円/人 |
よくある質問(FAQ)

Q. 精神の病気でももらえますか?
→ はい。うつ病・統合失調症・発達障害なども対象です。医師の診断書内容が重要になります。
Q. 遡ってもらえることはありますか?
→ 認定日請求(障害認定日時点での請求)が認められれば、最大5年分の遡及支給が可能です。
Q. 仕事をしていると受け取れませんか?
→ 一定の就労は可能です。重要なのは「日常生活や職場での制限の有無」です。
まとめ
障害年金は、「病名」ではなく「生活・就労の制限」を基準に判断されます。
まずは初診日や通院履歴を整理し、専門家に相談することが大切です。
早めに動くことで、生活の支えとなる年金を受け取れる可能性が高まります。
