障害年金の申請で多くの方が疑問に感じるのが
「自分は何級に該当するのか?」
という点です。
等級は病名ではなく、日常生活や就労にどれほどの制限があるか によって判断されます。
また、障害基礎年金と障害厚生年金では等級の構成が異なり、厚生年金加入者にのみ3級が存在するなど、制度上の違いもあります。
この記事では、国が定める障害認定基準をわかりやすく整理しながら、1級・2級・3級の違いと判断のポイントを解説します。
障害年金の等級とは?基本となる考え方
障害年金は、障害の「重さ」を等級として分類しています。
主に次のように構成されています。
- 障害基礎年金:1級・2級
- 障害厚生年金:1級・2級・3級(+障害手当金)
大切なのは、医療的な診断名ではなく、日常生活の自立度・社会生活の困難さ・労働能力といった実際の生活状況が評価されるという点です。
等級の判断で重視される4つのポイント

1 日常生活能力(身の回りのことができるか)
食事・入浴・着替え・金銭管理・外出など、どの程度自力で行えるかを評価します。
2 就労の制限(働けるかどうか)
働ける/働けないではなく、
- 配慮が必要か
- 長時間の勤務が難しいか
- 症状の波で継続できないか
などの「働きにくさ」が重視されます。
3 症状の持続性・安定性
良い日と悪い日の差が大きい、症状が慢性的に続くなど、生活に影響が続いているかが判断材料になります。
4 医師の診断書の内容
診断書は最重要書類であり、医師がどのように症状・生活状況を理解しているかで結果が大きく変わることがあります。
1級・2級・3級の基準をわかりやすく解説(障害認定基準の要点)

障害年金の等級基準は、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(令和4年4月1日改正)」に明確に定められています。
以下に公式基準の趣旨を分かりやすく整理します。
障害年金1級の基準
認定基準では次のように定められています。
「日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度」
これは、ほとんど全ての身の回りのことが自力では行えず、常時他者の介助が必要な状態を意味します。
具体的には、
- 食事・排泄・入浴などの多くの動作が一人でできない
- 安全のため常に見守りが必要
- 判断力や身体機能が大きく低下している
などの状況が該当します。
障害年金2級の基準
基準では次のように定義されています。
「日常生活が著しい制限を受ける程度」これは、一人で生活することは可能だが極めて困難で、生活全般に大きな支障がある状態 を指します。
ポイントとして、
- すべての動作は可能でも、支援が頻繁に必要
- 対人関係が保てない、外出が困難など社会生活に大きな制限
- 労働により収入を得ることができない程度
といった状態が含まれます。
精神疾患(うつ病・統合失調症など)の2級認定では、「日常生活能力の程度」と「社会的活動の困難さ」が特に重視されます。
障害年金3級の基準(厚生年金のみ)
基準では次のように定められています。
「労働が著しい制限を受ける程度」
つまり、一般的な労働には大きな制限があるが、日常生活はある程度自立している状態 を指します。
例としては、
- 軽作業なら可能だが通常業務は難しい
- 長時間の勤務ができない
- 身体機能の低下で特定作業ができない
- などが該当します。
さらに以下のような規定もあります。
- 「傷病が治らないもの」
→ 労働に制限があれば3級に該当する場合がある。 - 「傷病が治ったもの」
→ 労働に制限がある場合は「障害手当金」の対象となる。
等級で誤解されやすいポイント
誤解① 病名で等級が決まるわけではない
同じ病名でも状態は人によって大きく異なるため、生活能力・就労能力の実態が最も重視されます。
誤解② 働いている=3級ではない
パート勤務でも2級になることはある
無職でも3級になることもある
等級は単純な労働の有無では決まりません。
誤解③ 診断書だけで決まるわけでもない
診断書は中心となる資料ですが、
- 病歴・就労状況等申立書
- 実際の生活状況
- 医師の見解
などを総合判断して決定されます。
等級はケースごとに異なるため、専門家との整理が有効

等級の判断は、病状だけでなく生活・就労状況を丁寧に整理することが重要です。
特に、
- 医師にどのように現状を伝えるか
- 日常生活の困難さをどう説明するか
- 診断書と申立書の整合性
などが結果を大きく左右します。
中四国障害年金相談センターでは、初診日の整理から、診断書の説明方法、申立書の作成支援まで一貫したサポートを行っています。
障害年金の等級について不安がある方は、お気軽にご相談ください。

