&#xno_icon; メール よくある質問

障害年金コラム・お役立ち情報

障害年金を受給中に「結婚」や「離婚」をしたら?届出義務や受給額への影響

障害年金を受給している最中に、結婚して家族が増えたり、あるいは離婚して独り身に戻ったりといったライフイベントが発生することは珍しくありません。
こうした人生の大きな節目において、年金受給者がまず気になるのは「年金額は変わるのか?」「何か特別な手続きが必要なのか?」という点ではないでしょうか。
結論から申し上げますと、家族構成の変化は受給額に直接影響を与える可能性が極めて高く、適切なタイミングで届出を行わないと、もらえるはずの加算をもらい損ねたり、逆に「もらいすぎ」による返還義務が生じたりするリスクがあります。
特に、障害年金には「配偶者加給年金」「子の加算」といった、家族を扶養している場合に支給される上乗せ分が存在するため、結婚や離婚は事務手続き上、非常に重要な意味を持ちます。
本記事では、結婚・離婚が障害年金に与える具体的な影響と、社会保険労務士の視点から見た「絶対に忘れてはいけない手続き」について、詳しく解説します。

結婚によって障害年金が増えるケース(加算の基本)

家族の加算

結婚は人生の新たな門出ですが、障害年金制度においては「家族を養うための手当」が追加されるタイミングでもあります。
この「加算」がつくかどうかで、年間の受給額は数十万円単位で変わってきます。

障害厚生年金の「配偶者加給年金」とは

障害厚生年金の1級または2級を受給している方に、生計を維持している配偶者がいる場合、「配偶者加給年金」という加算がつきます。
令和7年度の価格では、年間でおよそ24万円(239,300円)が本体の年金に上乗せされます。
月額に直すと約2万円の増額となり、生活の安定に大きく寄与します。
注意点として、この配偶者加給年金は「障害厚生年金」の独自制度であり、国民年金から支給される「障害基礎年金」のみを受給している方には、配偶者に対する加算制度はありません。
また、障害厚生年金であっても3級を受給している場合は加算の対象外となります。
さらに、配偶者自身が20年以上の加入期間がある老齢厚生年金や、障害年金を受給している間は、この加給年金は「支給停止」となります。
結婚相手がどのような年金を受給しているかも、事前に確認しておくべきポイントです。

子供が増えた場合の「子の加算」の条件

結婚に伴って配偶者の連れ子と養子縁組をした場合や、結婚後に新しく子供が生まれた場合には、「子の加算」を受けることができます。
こちらは障害厚生年金(1級・2級)だけでなく、障害基礎年金(1級・2級)を受給しているすべての方が対象となります。
加算額は、第1子・第2子は1人につき年間約24万円(239,300円)、第3子以降は1人につき約8万円(79,800円)です。
対象となる子供の年齢制限は、原則として「18歳到達年度の末日(3月31日)まで」ですが、子供自身に障害がある場合は20歳未満まで延長されます。
結婚によって配偶者と子供が同時に家族となった場合、加給年金と子の加算を合わせると、年間で50万円近く受給額が増えるケースもあります。
この権利を漏れなく行使するためには、速やかな「加算開始」の手続きが不可欠です。

生計維持関係と所得制限の注意点

家族加算を受けるための絶対条件は、受給者本人がその家族の「生計を維持していること」です。
単に籍を入れただけでなく、経済的に養っている実態が求められます。
具体的には、対象となる家族(配偶者や子)の年収が「850万円未満」であることが基準となります。
この金額を上回る収入がある家族は、生計を維持されているとはみなされず、加算をつけることはできません。
また、別居している場合でも、仕送りをしていて生活の面倒を見ている実態があれば認められることがありますが、その場合は住民票だけでなく「振込票の控え」などの証明資料が必要になるなど、ハードルが高くなります。
同居して同一世帯であれば、基本的にはスムーズに認定されます。

離婚した際に発生する減額と届出の義務

家族の減額

離婚は精神的にも肉体的にも負担が大きいイベントですが、年金の手続きを後回しにすると、後から金銭的なトラブルに見舞われるリスクがあります。

加算が外れるタイミングと手続きの緊急性

離婚届を提出し、法律上の夫婦関係が解消された時点で、それまで受給していた「配偶者加給年金」を受ける権利は消滅します。
また、離婚に伴って子供を引き取らなかった(生計を維持しなくなった)場合には、子の加算も同様に消滅します。
重要なのは、加算がなくなるタイミングは「離婚した日の翌月分から」であるという点です。
離婚したらすぐに年金事務所へ届け出なければなりません。
役所に離婚届を出せば自動的に年金も止まると思われがちですが、年金機構と役所の戸籍情報はリアルタイムで連動しているわけではありません。
受給者本人が「加給年金対象者不該当届」を提出しない限り、振込額は変わらず、形式上は「家族がいる状態」として支給が続いてしまいます。

届出を忘れた場合に発生する「返還請求」の恐怖

離婚したにもかかわらず届出を怠り、家族加算分を受け取り続けてしまった場合、それは法律上「過払い(不当利得)」となります。
年金機構がいずれ情報を把握した際、過去に遡って過払い分を一括返還するよう求められます。
例えば、配偶者加算がついたまま2年間放置してしまった場合、返還額は約48万円に達します。
これを一括で返せと言われるのは、生活にとって非常に大きな打撃です。
「知らなかった」「わざとではない」という理由は通用しません。
離婚後は速やかに「加算を外す手続き」を行わないと、将来の年金支給額から強制的に差し引かれたり、財産を差し押さえられたりする可能性すらあるのです。

離婚時の年金分割は障害年金に影響するか

離婚の際、厚生年金記録を分ける「年金分割」を行うのが一般的ですが、これが現在受給中の障害年金にどう影響するかは多くの方が不安に思う点です。
結論から言えば、「原則として受給中の額は変わらないが、特定の条件下では減額される可能性がある」という、少し複雑なルールになっています。
まず、国民年金から支給される「障害基礎年金」は、年金分割の対象外のため、離婚しても1円も減ることはありません。
問題は「障害厚生年金」です。
基本的には、現在もらっている金額が半分に減るようなことはありませんが、夫婦の合意によって過去の記録を分ける「合意分割」を行い、かつその分割対象期間が「障害年金の計算の基礎となった期間(初診日以前の期間)」と重なっている場合に限り、例外的に報酬比例部分が減額されるケースがあります。
ただし、多くの受給者には「300か月みなし」という手厚い保障が適用されています。
これは、実際の加入期間が短くても25年(300か月)加入したものとして年金額を底上げする仕組みです。
この保障のおかげで、年金分割によって多少記録が削られたとしても、最終的な受給額には影響が出ない(減額されない)ケースがほとんどです。
また、平成20年(2008年)4月以降の記録を強制的に分ける「3号分割」については、障害年金の計算基礎期間であれば請求自体ができないよう法律で保護されています。
つまり、「よほど長く厚生年金に加入していた方が、平成20年3月以前の古い記録を含めて、合意の上で分割に応じた場合」という、極めて限定的な状況でのみ減額のリスクが生じます。
離婚協議の際には、自分の年金が「300か月みなし」の範囲内かどうか、事前に年金事務所で確認しておくことが、不測の減額を防ぐ最大の防御策となります。

特殊なケース:再婚や事実婚の場合の扱い

加算減額相談

結婚・離婚の形態は多様化しています。
再婚や、籍を入れない事実婚の場合のルールについても知っておきましょう。

再婚相手を対象とした「事後加算」の手続き

一度離婚して家族加算が止まった後、別の相手と再婚した場合には、改めて新しい配偶者を対象として加算をつけることができます。
これを「事後加算」と呼びます。
この場合も、再婚したからといって自動的に加算は始まりません。
改めて「加算開始事由該当届」を提出し、新しい配偶者の所得証明や戸籍謄本を添えて申請する必要があります。
手続きが遅れると、再婚した時点まで遡って受給できる期間に制限が出ることもあるため、入籍したらすぐにアクションを起こしましょう。

事実婚(内縁関係)でも加算は認められるのか

法律上の婚姻届を提出していなくても、実態として夫婦同然の生活を送っている「事実婚」の場合、障害年金の加算は認められます。
ただし、法律婚に比べて証明のハードルは高くなります。
住民票で同一住所であることはもちろん、「未届の妻(夫)」という続柄が記載されているか、あるいは別世帯であっても「生計を共にしていることについての申立書」や、民生委員による証明、連名の公共料金の領収書など、複数の証拠書類が必要になります。
「単なる同棲」と「事実婚」の境界線は審査官によって厳格に判断されます。
事実婚として加算を請求する場合は、専門家である社労士のアドバイスを受けるのが近道です。

世帯分離が加算に与える影響と実態判断

「節税や介護保険料の抑制のために、夫婦であっても住民票上の世帯を分けたい(世帯分離)」という相談をよく受けます。
世帯を分けたとしても、実態として「同じ屋根の下で生活費を出し合って暮らしている」のであれば、生計維持関係は継続しているとみなされ、加算も維持できます。
ただし、年金機構から定期的に届く「生計維持確認届」の際に、なぜ世帯を分けているのかを合理的に説明できなければなりません。
実態が伴わない世帯分離は「扶養していない」とみなされるリスクがあるため、慎重な判断が求められます。

手続きの流れと必要書類のまとめ

最後に、実際にどのような手順で手続きを進めるべきかを具体的にまとめます。

どこへ、いつまでに、何を出すべきか

手続きの窓口は、お近くの「年金事務所」または「街角の年金相談センター」です。
結婚・離婚した日から「10日以内(遅くとも14日以内)」に届け出ることが推奨されています。
実際にはもう少し遅れても受理されますが、前述の過払いリスクを避けるためにも、役所への届出とセットで済ませるのが理想です。
主な必要書類は以下の通りです。

  • 年金受給権者 家族異動届(または加算開始事由該当届など)
  • 戸籍謄本(婚姻・離婚の事実がわかるもの)
  • 世帯全員の住民票
  • 加算対象者の所得証明書(非課税証明書)

マイナンバー連携で省略できる書類とできない書類

現在はマイナンバー制度の導入により、以前に比べて添付書類が簡素化されています。
例えば、マイナンバーを年金番号と紐付けている場合、住所変更の届出は原則不要です。
また、所得証明書についても、同意書にサインすることで年金機構が直接行政データを確認できるため、原本をわざわざ役所に取に行く必要がなくなるケースが増えています。
ただし、「加算をつける(外す)」という判断を伴う手続きについては、依然として「戸籍謄本」などの原本提出を求められることがほとんどです。
何が省略可能かは個別のケースで異なるため、窓口に行く前に電話で確認することをお勧めします。

まとめ

障害年金受給中の結婚や離婚は、単なるプライベートの変化に留まらず、受給できる金額そのものを大きく変える重要な出来事です。
結婚すれば「受給額を増やす権利」が生じ、離婚すれば「受給額を正しく減らす義務」が生じます。
特に「離婚による加算の削除」を放置することは、後に多額の返還を求められるという最悪の事態を招きかねません。
「役所が勝手にやってくれるだろう」という思い込みは禁物です。
人生のステージが変わったときは、この記事を参考に、まずは年金事務所へ一本の連絡を入れることから始めてください。
正しい手続きを行うことこそが、あなたの受給権を守り、安心して療養生活を続けるための基盤となるのです。

関連ページ

お問い合わせはこちら

LINEで相談(おすすめ)
無料電話相談
Web相談フォーム

ページ上部へ戻る
まずは無料診断&あんしん相談
電話で相談 LINEで相談 無料受給診断