精神疾患で長期間通院している方から、障害年金の相談を受ける中で、よく聞かれるのが次のような声です。
- 通院歴が長すぎて、どこから整理すればいいか分からない
- 昔のことを思い出すのがつらい
- 申請が複雑になりそうで不安
精神疾患の場合、通院歴が長いこと自体が不利になるわけではありません。
しかし一方で、長期通院ならではの注意点があるのも事実です。
この記事では、精神疾患で通院歴が長い場合に、障害年金申請で特に注意すべきポイントを実務の視点から解説します。
通院歴が長い=障害年金がもらえない、ではありません
まず誤解されやすい点として、通院歴が長いこと自体はマイナス要因ではありません。
重要なのは「年数」ではなく「生活への影響」です
障害年金の審査で見られるのは、
- 何年通院しているか
- どれだけ治療を続けているか
といった点そのものではなく、
- 日常生活にどの程度支障があるか
- 就労や社会生活がどれほど制限されているか
という 現在および経過を含めた生活への影響 です。
長期間通院していても、生活や就労に大きな制限があれば、障害年金の対象となる可能性は十分にあります。
注意点① 初診日の整理が特に重要になります

通院歴が長い精神疾患では、初診日の特定が最も重要で、かつ難しくなりやすい 傾向があります。
病名が変わっているケースは非常に多い
精神疾患では、「適応障害」「うつ病」「双極性障害」「統合失調症」など、治療の過程で病名が変わることは珍しくありません。
しかし、症状や経過が連続している場合は「同一傷病」と判断されることが多く、その場合は最初に医療機関を受診した日が初診日となります。
初診日の判断を誤ると、申請自体ができなくなったり不支給になったりという重大な結果につながるため、慎重な整理が不可欠です。
注意点② 通院歴は省略できません「整理の仕方」が重要です

通院歴が長い方ほど、「すべて細かく書かなければならないのでは」と不安を感じがちです。
通院歴の省略はできません
まず前提として、
- 通院していた事実
- 医療機関の変遷
- 治療の継続性
について、事実としての通院歴を省略することはできません。
特に、初診日との関係や病状の継続性を判断するため、通院歴は重要な判断材料になります。
ただし「羅列」ではなく「意味づけ」が必要です
一方で、単に病院名や年月日を時系列に並べるだけでは、審査側に状況が伝わりにくくなります。
重要なのは、
- 症状が変化した時期
- 悪化・安定・再発の流れ
- 生活や就労に影響が出たタイミング
を意識しながら、通院歴を「経過として整理すること」 です。
注意点③ 調子の良い時期だけで判断されないようにする
通院歴が長い方ほど、「今は比較的落ち着いている」という時期もあります。
不調時の状態をきちんと伝えることが重要です
精神疾患では、症状に波があったり無理をすれば一時的に動けたりするケースも多く見られます。
診断書や申立書では、調子が悪いときの状態や日常生活が成り立たなくなる場面を含めて伝えなければ、実態より軽く評価される可能性があります。
注意点④ 長期通院による「慣れ」が評価を歪めることも
長く通院していると、
- 本人が困難を当たり前だと感じてしまう
- 医師も現状に慣れてしまう
といったことが起こりやすくなります。
あらためて「できていないこと」を整理する
- 家事はどこまでできているか
- 外出や対人関係の困難さ
- 一人では対応できない場面
をあらためて整理することで、生活上の制限が明確になります。
通院歴が長い精神疾患こそ、事前整理が重要です

精神疾患で通院歴が長い場合、申請が不利になるというよりも、整理が難しかったり判断が複雑になったりするという特徴があります。
一人で抱え込まないという選択
- 昔のことを振り返るのがつらい
- 何から整理すればいいか分からない
という場合、無理に一人で進める必要はありません。
家族や専門家と一緒に整理することで、精神的な負担を軽減しながら進めることも可能です。
まとめ|通院歴が長くても、正しく整理すれば申請につながります
精神疾患で通院歴が長い場合でも、
- 初診日を正確に整理する
- 通院歴を意味のある形で整理する
- 生活への影響を具体的に伝える
ことで、障害年金の申請につながるケースは多くあります。
「通院が長いから難しい」と感じている方ほど、早めに状況を整理することが大切です。
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