精神疾患を抱えながら生活する中で、「経済的な安心」と「社会との繋がり」のどちらも大切にしたい。
そう願うのは当然のことです。
障害年金を受給することは経済的な基盤になりますが、同時に「少しでも働いて、自分の力で収入を得たい」「社会に参加したい」という意欲を持つ方も多くいらっしゃいます。
しかし、多くの方が「働くと障害年金が止まってしまうのではないか?」という不安を抱えています。
結論から言うと、障害年金を受給しながら、障害者雇用やA型・B型作業所で働くことは可能です。
しかし、正しい知識と適切な準備がないまま働いてしまうと、予期せぬ年金の減額や停止という「落とし穴」に陥るリスクもあります。
この記事では、給与と年金の「両立」で生活を安定させるための具体的な仕組みと、正当な評価を得て安心して働き続けるためのポイントを解説します。
経済的な不安を解消し、自分らしい生き方を実現するための参考にしてください。
なぜ「働きながら受給」が問題になるのか?審査の仕組みを理解する
障害年金の審査は、単に「病気であること」だけでなく、「その病気によって、どれだけ日常生活や労働に支障が出ているか」を評価します。
したがって、「働けている」という事実は、審査において「障害が軽くなった(=日常生活能力が向上した)」と見なされるリスクを孕んでいます。
1. 「労働能力」の有無が評価の分かれ目
障害認定基準では、特に精神疾患の場合、「労働能力が著しく制限されている」か、あるいは「労働能力を欠いている」状態が、3級以上の受給要件となります。
働くことによって「労働能力がある」と判断されれば、等級が下がったり、不支給になったりする可能性があります。
しかし、ここで重要なのは「適切な配慮(援助)なしに、一般人と同等に働けるか」という点です。
2. 就労の実態(配慮の内容)が重要視される
単に「働いている」という事実だけでなく、「どのように働いているか」が審査のポイントになります。
- 一般企業で、健常者と同じ条件で働いている。
- 障害者雇用枠で、体調に合わせた時間短縮や、複雑な業務の回避などの「配慮」を受けて働いている。
- A型・B型作業所で、専門的な援助を受けながら働いている。
これらの実態によって、評価は大きく変わります。
たとえ給与を得ていても、手厚い配慮がなければ働けない状態であれば、それは「労働能力がある」とは見なされにくいのです。
3. 給与額がすべてではない。更新(更新)が最大の関門
「いくらまでなら稼いでも大丈夫?」という質問をよく受けますが、障害年金(特に精神疾患)には、一律の所得制限はありません(※20歳前傷病による障害基礎年金を除く)。
しかし、高い給与を得ていると、更新(更新)の際に「日常生活に支障がない」と判断され、減額・停止される可能性は高まります。
給与額はあくまで「日常生活能力」を推し測る一つの指標に過ぎません。
障害者雇用・A型/B型作業所。それぞれの就労形態と年金の関係
働く場所によって、年金審査への影響は異なります。
それぞれの特徴と注意点を整理しましょう。

1. A型作業所(就労継続支援A型)での就労
A型作業所は、雇用契約を結んで働くため、最低賃金が保証されます。
一般企業への就労を目指す段階でもあります。
年金への影響:
雇用契約はあるものの、専門的なスタッフによる手厚い援助(体調管理、業務指導など)が前提です。
したがって、A型作業所で働いているからといって、即座に「労働能力がある」とは見なされにくい傾向にあります。
注意点:
給与額は比較的安定していますが、更新時には「どのような援助を受けているか」を医師の診断書で具体的に証明してもらう必要があります。
2. B型作業所(就労継続支援B型)での就労
B型作業所は、雇用契約を結ばず、生産活動の対価として「工賃」を受け取ります。
年金への影響:
A型以上に手厚い援助が行われ、自分のペースで働くことが重視されます。
工賃額も一般に低いため、B型作業所での就労が年金受給にネガティブな影響を与えることは、少ないと言えます。
障害年金の受給状態が維持されやすい形態と言えます。
注意点:
社会参加の一歩としては非常に有効ですが、経済的な自立を目指すには、年金と工賃の合計額での生活設計が必要です。
3. 障害者雇用枠(一般企業)での就労

一般企業で、障害者として「配慮」を受けて働きます。
年金への影響:
審査において最も「波」がある形態です。
給与は作業所より高くなりますが、その分「日常生活能力がある」と見なされるリスクも上がります。
しかし、「手厚い配慮」(休憩の取りやすさ、業務の簡素化、通院の確保など)を受けている事実があれば、障害年金の受給を維持できる可能性があります。
注意点:
更新(更新)が最大の関門です。
給与額という客観的な数字に対し、「実態はいかに制限が多いか」を、主治医と連携して診断書で強力に証明する必要があります。
給与と年金の「両立」で生活を安定させる具体的な考え方
経済的な安心(年金)と社会参加(就労)を賢く両立させるためには、ただ働くだけでなく、事前の準備と継続的な記録が必要です。
1. 主治医と「就労の実態」を共有し、信頼関係を築く
これが最も重要です。
主治医は、診察室でのあなたしか見ていません。
働いていると、「調子が良い」と誤解されがちです。
診察時には、単に「働いています」と伝えるのではなく、「どのような配慮(援助)を受けて、ようやく働けているか」を具体的に伝えましょう。
「障害者雇用枠で、体調に合わせて週3日、短時間勤務にしてもらっている」
「複雑な指示はメモで出してもらい、疲れたら別室で休憩させてもらっている」
こうした「配慮の実態」を医師に理解してもらうことで、実態に即した診断書を作成してもらえます。
日頃から「体調メモ」に、仕事での困難さと受けている援助の内容を記録し、医師に共有することをお勧めします。
2. 職場(企業・作業所)との連携。配慮の内容を明確にする
職場に対しても、自分が受けている配慮の内容を、客観的な事実として認識してもらう必要があります。
障害者雇用枠であれば、採用時の「配慮事項」を確認し、必要であれば面談などで、現在の配慮が適切か、どのような支障があるかを伝えましょう。
この職場での「配慮の実態」は、更新の際に、自分で作成する「病歴・就労状況等申立書」の重要な根拠となります。
職場に相談しにくい場合は、社労士などの専門家に間に入ってもらうことも有効です。
3. 更新(更新)を見据えた社労士への事前相談のメリット
働きながらの障害年金申請は、難易度が高いと言えます。
特に障害者雇用の場合は、給与額という客観的な数字に対し、「実態はいかに制限が多いか」を、主治医と連携して診断書で強力に証明するという適切なアプローチが必要になります。
障害年金に特化した社労士は、障害認定基準を熟知しており、どのような情報が診断書に必要かを把握しています。
社労士に、あなたの「体調メモ」や職場の配慮の実態を元に、医師への診断書依頼の際の「診断書作成依頼書」を作成してもらうことで、不支給や等級降下のリスクを大幅に減らすことができます。
更新(更新)の時期が近づいたら、焦って医師に相談するのではなく、その前に社労士に相談することが、最も確実な生活安定への道です。
まとめ:年金と就労は「共存」できる。焦らず、専門家を頼り、向き合う

働きながら障害年金を受給することは、決して不可能なことではありません。
むしろ、年金という確実な経済的基盤(基礎)があるからこそ、焦らずに自分の体調に合った就労形態(作業所、障害者雇用)を選び、社会参加の一歩を踏み出すことができるのです。
今、あなたが感じている「働きたいけれど、年金が止まるのが怖い」という不安は、決してあなたのせいではありません。
制度の仕組みが複雑だからこそ、正しい知識と準備が必要です。
中四国障害年金相談センターでは、香川県を中心に、精神疾患特有の申請の難しさを熟知した専門チームが、皆様の「働きながらの受給」を全力でサポートしています。
あなたの「実態」が正当に評価され、給与と年金の「両立」で、穏やかで自分らしい生活を手に入れるために、まずは実務のプロにその胸の内を話してみませんか?
あなたの「一歩」を、私たちが強力に支えます。
💡あわせて読みたい関連記事
1. うつ病・発達障害・統合失調症 精神の病気でも障害年金の対象になる?
精神疾患特全般の審査基準や、「仕事をしていると受給できない?」といったよくある誤解について、詳しく解説しています。
2. 障害年金の申請で病院に伝えておくべきこととは?診断書依頼前の準備ポイント
医師に実態を反映した診断書を書いてもらうための具体的な伝え方や、準備すべき資料について詳しくまとめています。



