病気やケガで働くことが難しくなり、障害年金を受給することになった場合、毎月の「国民年金保険料」の支払いはどうなるのでしょうか?
収入が減っている中で、毎月約1万7千円の出費は非常に大きな負担です。
結論から申し上げますと、障害年金の1級または2級に認定された場合、法律により国民年金保険料の支払いが全額免除されます。これを「法定免除(ほうていめんじょ)」と呼びます。
「払わなくていいのは助かるけれど、将来もらう年金が減るのでは?」 そんな不安をお持ちの方のために、この記事では法定免除の仕組み、対象になる人・ならない人、そして将来の老齢年金への影響について解説します。
「法定免除」とは?誰が対象になるのか

まずは、ご自身がこの免除制度の対象になるかどうかを確認しましょう。
障害年金をもらっていれば全員が対象というわけではありません。
対象は「障害基礎年金 1級・2級」の方
法定免除の対象となるのは、国民年金法の定める「障害等級1級または2級」に該当する方です。
障害基礎年金を受給している方はもちろん、障害厚生年金を受給している方でも、その等級が1級・2級であれば、国民年金部分(基礎年金部分)の保険料支払いは免除されます。
3級の方は対象外(注意!)
注意が必要なのは、障害厚生年金の「3級」を受給している方です。
3級は障害の程度が比較的軽いとみなされるため、法定免除の対象にはなりません。
会社員として働いている場合は給与から厚生年金保険料が引かれますが、もし退職して国民年金(第1号被保険者)になった場合は、自分で保険料を納める必要があります(ただし、収入が少ない場合は「申請免除」を利用できる可能性があります)。
保険料を免除されると「将来」どうなる?

「タダになるなんて怪しい、何か裏があるのでは?」と心配される方もいますが、法定免除はあくまで受給者の権利を守るための正当な制度です。
しかし、将来受け取る「老齢基礎年金(65歳からの年金)」の計算には影響があります。
「未納」ではなく「支払った」扱いになる
ここが最大のポイントです。法定免除の期間は、保険料を払っていなくても、年金記録上は「未納」にはなりません。
将来、老齢年金を受け取るために必要な「受給資格期間(10年)」にはしっかりとカウントされます。
老齢年金の受取額は「満額の半分」で計算される
ただし、将来もらえる老齢年金の金額については、「全額払った人」と同じ額がもらえるわけではありません。
免除された期間については、「保険料の全額納付済期間の2分の1(半分)」として計算されます。
つまり、全く払わない「未納」の状態よりは年金額が増えますが、真面目に全額払った人と比べると、将来もらえる額は少し減ってしまうことになります。
デメリットを補う「追納(ついのう)」制度
「将来の年金が減るのは困る」という場合、後から保険料を払うことで満額に近づける方法も用意されています。
10年以内なら後から払える
生活に余裕ができた場合、過去10年間にさかのぼって免除された分の保険料を納めることができます。
これを「追納」といいます。
追納すれば、その期間は「全額納付」として扱われるため、将来の老齢年金も満額で計算されます。
「とりあえず今は免除にしておいて、余裕ができたら払う」という選択が可能です。
障害年金をもらっている間は「老齢年金」は関係ない?
そもそも、障害年金(1級・2級)はずっと受給し続ける限り、65歳以降も「障害基礎年金」として受け取ることが可能です。
障害基礎年金の額は満額の老齢基礎年金よりも高く設定されているため、障害年金をもらい続ける予定の方にとっては、老齢年金の減額はそれほど大きなデメリットにはなりません。
ただし、将来病気が治って障害年金が止まり、老齢年金に切り替わる可能性もゼロではないため、制度の違いを知っておくことは大切です。
手続きの流れと注意点
「対象になれば勝手に免除される」と思われがちですが、原則として手続きが必要です。
市役所への届け出が必要
年金証書が届いたら、お住まいの市区町村役場の国民年金窓口へ行き、「国民年金保険料免除事由(該当・消滅)届」を提出します。
日本年金機構が障害等級を確認できた時点で自動的に手続きされるケースも増えていますが、入れ違いで納付書が届いてしまうことを防ぐためにも、ご自身で窓口へ行くか、郵送での手続きをおすすめします。
すでに払った分は返金される
障害年金の認定は過去にさかのぼって行われることがあります。
もし、免除対象となる期間(障害認定日の属する月の前月など)の保険料をすでに支払っていた場合は、申請によって払い戻し(還付)を受けることができます。
経済的な負担を減らすために、次にあなたがすべきこと

障害年金の受給が決まったら、入ってくるお金のことだけでなく、出ていくお金(保険料)の手続きも忘れずに行いましょう。
①年金証書の「等級」を確認する
まずはご自身の年金証書を見て、「障害等級」が何級になっているかを確認してください。
1級または2級であれば、法定免除の手続きを進めることができます。
3級の場合は対象外ですが、収入状況によっては通常の「申請免除」が通る可能性があるため、諦めずに役所で相談しましょう。
②役所の窓口で手続きを済ませる
年金証書と身分証明書を持って、役所の国民年金課へ行きましょう。
「障害年金が決まったので、法定免除の手続きをしたい」と伝えればスムーズです。
このとき、もし過去に支払った保険料があれば、還付の手続きも案内してもらえます。
③手続きが複雑なら「専門家」へ
「自分が対象になるのかよく分からない」「追納すべきかどうか迷う」といった場合は、障害年金の申請を依頼した社労士や、年金事務所、専門家の無料相談などで確認してください。
私たちは、受給申請だけでなく、受給決定後のこうした手続きについてもアドバイスを行っています。
経済的な不安を一つでも減らすために、お気軽にご相談ください。
