「障害年金を受給できることになったけれど、主人の扶養からは外れないといけないの?」
「親の扶養に入っているけれど、年金が入ると親の税金が高くなる?」
障害年金の受給が決まった際、ご本人だけでなく、生活を支えているご家族(配偶者や親御さん)への影響を心配される方は非常に多くいらっしゃいます。
家計全体で見れば、年金が入っても、それ以上に税金や保険料の負担が増えてしまっては元も子もありません。
実は、この問題は「税金の扶養」と「社会保険(健康保険)の扶養」でルールが全く異なります。
ここを混同してしまうと、手続き漏れで後から保険証が使えなくなるなどのトラブルになりかねません。
この記事では、障害年金受給と「扶養」の関係について、税金面と社会保険面それぞれのルールを整理し、家族に迷惑をかけないための正しい対処法を解説します。
結論:「税金」と「社会保険」で扱いが逆になります

まず、全体像を把握するために一番重要な結論をお伝えします。
障害年金は、以下の通り「税金」と「社会保険」で全く逆の扱いを受けます。
- 税金の扶養(配偶者控除・扶養控除):
障害年金は「収入」に含まれません。
基本的には、扶養に入り続けることができます(税金は増えません)。 - 社会保険の扶養(健康保険・国民年金):
障害年金は「収入」に含まれます。
金額によっては、扶養から外れる可能性があります。
このように、税金面では安心ですが、社会保険面では注意が必要です。
それぞれの詳細を見ていきましょう。
【税金編】家族の税金が高くなることはほぼない
配偶者や親御さんが年末調整や確定申告をする際、「扶養親族」として申告することで税金が安くなる制度(配偶者控除や扶養控除)があります。
障害年金は「非課税所得」
税制上、障害年金は「非課税」と定められています。
つまり、年間で何百万円受給しようとも、税金の計算上は「収入ゼロ」として扱われます。
そのため、あなたに障害年金以外の収入(給与や不動産所得など)がなければ、所得制限(いわゆる103万円の壁など)に引っかかることはなく、これまで通り家族の扶養に入り続けることができます。
むしろ「障害者控除」で税金が安くなる
扶養から外れないどころか、あなたが障害年金を受給している(または障害者手帳を持っている)ことで、あなたを扶養しているご家族は「障害者控除」や「特別障害者控除」を追加で受けることができます。
これにより、ご家族の税金(所得税・住民税)がさらに安くなるケースが多いため、忘れずに職場へ申告するようにしてください。
【社会保険編】金額によっては扶養を外れる

問題はこちらです。
健康保険(協会けんぽ、組合健保など)の扶養については、障害年金も「収入」としてカウントされるため、受給額によっては扶養を外れなければなりません。
「180万円の壁」が基準になる
通常の健康保険の扶養認定基準は「年収130万円未満」ですが、障害者(障害年金受給者を含む)の場合は基準が緩和され、「年収180万円未満」かつ「被保険者(家族)の年収の2分の1未満」となります。
この「180万円」には、障害年金のほか、給与収入や傷病手当金などもすべて含まれます。
月額換算で「15万円」がボーダーライン
年収180万円を月額に換算すると、15万円(180万円÷12ヶ月)です。
もし、障害年金と他の収入を合わせて、月々の収入が恒常的に15万円以上になる場合は、扶養から外れる手続きが必要です。
例えば、障害厚生年金2級などで受給額が多い場合や、障害基礎年金をもらいながらアルバイトをしている場合などは、このラインを超える可能性があるため注意が必要です。
扶養から外れたらどうなる?

もし計算の結果、社会保険の扶養から外れることになった場合、どのような変化が起きるのでしょうか。
国民健康保険・国民年金への加入
家族の会社の健康保険証を返却し、ご自身で「国民健康保険」に加入する必要があります。
また、配偶者の扶養(第3号被保険者)に入っていた方は、「国民年金(第1号被保険者)」への切り替えも必要です。
これにより、新たに保険料の支払いが発生します。
障害年金受給者ならではの免除制度
「保険料を払うと生活が苦しい」という場合でも、救済措置があります。
- 国民年金: 障害年金1級・2級であれば「法定免除」により全額免除されます(3級の場合は申請免除を検討)。
- 国民健康保険: 自治体によっては、障害認定を受けている人の保険料を減免する制度がある場合があります。
また、前年の「課税所得」で計算されるため、障害年金のみの収入であれば、保険料は最低ラインに抑えられることが多いです。
手続きを忘れるとどうなる?
「バレないだろう」と思って黙っているのは非常に危険です。
遡って「返還」を求められるリスク
健康保険組合は、定期的に被扶養者の収入状況を調査(検認)しています。
後から障害年金の受給が発覚した場合、受給開始時期まで遡って扶養認定を取り消されることがあります。
そうなると、その期間に使った医療費(保険負担分)をまとめて返還しなければならず、数十万円の請求が来ることもあります。
年金証書が届いたら、まずは金額を確認し、扶養に入っている家族(の会社)に報告・相談するのが鉄則です。
世帯全体の手取りを守るために、次にあなたがすべきこと

障害年金は生活を楽にするためのものですが、扶養の仕組みを知らないと、思わぬ支出増に慌てることになります。
最後に、確認すべきアクションを整理しました。
①年金受取額(年額)を正確に把握する
まずは年金証書を見て、年間の受給額を確認してください。
そこにアルバイト代などの収入を足し合わせ、「年間180万円(月額15万円)」を超えているかどうかを計算しましょう。
これが判断の第一歩です。
②家族に「障害者控除」の申告を依頼する
税金の扶養に関してはメリットしかありません。
ご家族(配偶者や親)に対し、「私の障害年金が決まったから、年末調整で『障害者控除』を申請してね」と伝えてください。
これだけで家族の手取りが増える可能性があります。
③扶養判定が微妙なら「専門家」へ
「収入が180万円ギリギリで判断が難しい」「過去に遡って受給が決まった場合、いつの時点で扶養を外れるのか分からない」といった複雑なケースは、自己判断が危険です。 健康保険組合によって細かいルールの解釈が異なる場合もあります。
手続きで損をしないよう、まずは年金の専門家である私たちにご相談ください。
家計全体への影響を含めたアドバイスをさせていただきます。
