障害年金について調べていると、
「結局いくらもらえるのかを先に知りたい」
「金額が分かれば、申請するか判断できそう」
と考える方は少なくありません。
ただし、障害年金の金額は「障害の重さだけ」で決まるものではありません。
実際には、次のような条件の組み合わせによって金額は大きく変わります。
- 初診日にどの年金制度に加入していたか
- 障害等級(1級、2級、3級)
- 配偶者や子の加算の有無
といった条件の組み合わせによって大きく変わります。
このページでは「障害年金の金額がどのような仕組みで決まるのか」「なぜ人によって金額が違うのか」をできるだけわかりやすく整理しています。
障害年金の金額はどのように決まるのか

障害年金の金額は、次の要素の組み合わせによって決まります。
- 障害基礎年金か、障害厚生年金か
- 障害等級(1級・2級・3級)
- 家族の加算の有無
- 厚生年金の場合は、報酬比例部分の金額
特に、厚生年金の報酬比例部分は、過去の給与水準や加入期間によって大きな差が出るため、同じ等級であっても受給額が異なるケースは少なくありません。
金額を見て自己判断する前に【動画解説】
障害年金は、「この金額がもらえるはず」と思って申請し、結果的に不支給になるというケースが少なくありません。
特に、
- 初診日の考え方
- 制度(国民年金・厚生年金)の違い
- 書類の整理不足
が原因で、金額以前の段階でつまずくことがあります。
申請前に知っておきたい「判断を誤りやすい3つの落とし穴」を、現役社労士の立場から動画で解説しています。
障害基礎年金の金額(令和7年度)
障害基礎年金とは
障害基礎年金とは、次のいずれかに該当し、障害等級が1級または2級に該当した場合に支給される障害年金です。
- 国民年金加入中に初診日がある人
(自営業者、無職の人、学生、会社員の配偶者として扶養されていた人など) - 20歳前に初診日がある人
- 60歳以上65歳未満で、年金制度に加入していない期間中に、日本国内に居住している間に初診日がある人
障害基礎年金の金額(年額)
令和7年度の障害基礎年金の金額は次のとおりです。
- 2級:831,700円
- 1級:1,039,625円(2級の25%増)
※ 年額表示です。原則として偶数月に2か月分ずつ支給されます。
障害基礎年金の「子の加算」
障害基礎年金には、一定の条件を満たす子がいる場合、子の加算が上乗せされます。
- 第1子・第2子:各 239,300円
- 第3子以降:各 79,800円
※ 子とは、原則として18歳到達年度末まで(一定の障害がある場合は20歳未満)を指します。
20歳前障害の場合の所得制限
20歳前に初診日がある障害基礎年金については、本人の所得に応じて支給制限があります。
- 前年の所得が 約360万円超~約472万円以下
→ 障害基礎年金の 2分の1が支給停止 - 前年の所得が 約472万円超
→ 全額支給停止
※ 所得額は、給与収入そのものではなく、各種控除後の金額です。
※ 扶養親族の数などにより、基準額は異なります。
障害厚生年金の金額(令和7年度)
障害厚生年金とは
障害厚生年金は、厚生年金保険に加入している期間中に初診日がある人(会社員・公務員など)が受給できる障害年金です。
障害等級が1級または2級の場合は、障害基礎年金に加えて、厚生年金の報酬比例部分が支給されます。
3級の場合は、障害基礎年金は支給されず、報酬比例部分のみが支給されます。
障害厚生年金の金額の考え方
障害厚生年金の金額構造は次のとおりです。
1級
障害基礎年金1級
+ 報酬比例部分 × 1.25
+(配偶者の加給年金額が付く場合あり)
2級
障害基礎年金2級
+ 報酬比例部分
+(配偶者の加給年金額が付く場合あり)
3級
報酬比例部分のみ(最低保障額あり)
※ 上記のうち、障害基礎年金が支給される場合には、
一定の要件を満たす子がいると「子の加算」が別途加算されます。
報酬比例部分は、標準報酬月額や厚生年金の加入期間をもとに計算されるため、人によって金額が大きく異なる部分です。
障害厚生年金3級の最低保障額
障害厚生年金3級には最低保障額があり、令和7年度は次の金額です。
最低保障額:623,800円(年額)
障害手当金について
障害手当金は、厚生年金保険加入中に初診日があり、障害の状態が障害等級1級〜3級には該当しないものの、一定の障害状態にある場合に支給される一時金です。
障害年金とは異なり、年金として継続支給されるものではなく、原則として一度だけ支給されます。
支給額は、報酬比例部分をもとに計算され、最低保障額が定められています。(令和7年度の最低保障額:1,247,600円)
障害厚生年金の「配偶者の加給年金額」
障害厚生年金1級または2級の場合、一定の要件を満たす配偶者がいると、配偶者の加給年金額が加算されます。
配偶者の加給年金額:239,300円
※ 子の加算は障害基礎年金、配偶者の加給は障害厚生年金に付く点が重要です。

障害厚生年金の金額構造(一覧表)
| 等級 | 1級 | 2級 | 3級 |
| 障害基礎年金 | 1,039,625円 | 831,700円 | – |
| 障害厚生年金 | 障害基礎年金1級(1,039,625円) +報酬比例部分の額×1.25 |
障害基礎年金2級(831,700円) +報酬比例部分の額 |
報酬比例部分の額 (最低補償額:623,800円) |
| 子の加算 (障害基礎年金に加算) |
第1子・第2子:各 239,300円 第3子以降:各 79,800円 |
– | |
| 配偶者過給金額 (障害厚生年金の場合のみ加算) |
239,300円 | – | |
他人の金額は参考にならない理由
障害年金では、
- 症状や日常生活への影響によって障害等級が異なる
- 厚生年金の報酬比例部分は人によって大きく異なる
- 家族構成によって加算の有無が変わる
といった理由から、他人の受給額はそのまま参考にならないのが実情です。
特に、報酬比例部分は個人差が大きく、「同じ病名・同じ等級でも金額が違う」ケースは珍しくありません。
金額以前に、「そもそも障害年金がもらえないケース」に当てはまっていないかの確認も重要です。
障害年金の金額が気になる方へ
障害年金は、「いくらもらえるか」だけで判断できる制度ではありません。
-
- 初診日がどこになるか
- 障害等級に該当するか
- どの年金制度が適用されるか
- どのような家族構成か
これらによって、受給の可否や金額は大きく変わります。
金額だけを見るのではなく、制度の仕組みを正しく理解したうえで、ご自身の状況を整理することが大切です。
特に重要なのが、「初診日がいつ・どの年金制度であったか」という点です。
初診日によって、障害基礎年金になるのか、障害厚生年金になるのかが決まり、その後の金額構造(基礎年金+報酬比例部分など)が大きく変わります。
初診日が分からない方は、「障害年金の初診日はどう特定する?分からないときの確認方法と注意点」もあわせてご確認ください。
実際の受給事例については、障害年金の受給事例一覧も参考にしてください。