概要
- 22歳・女性・愛媛県
- うつ病
- 気分の落ち込み、強い不安感・緊張感、強迫観念、不眠、食欲低下、情緒不安定、希死念慮
- 対人恐怖、会話困難、外出困難、引きこもり傾向、判断力・集中力の低下、日常生活全般家族依存
相談から申請までの経緯
相談
ご相談者様は、幼い頃から父親の厳しい言動や暴力の中で育ち、人に対する恐怖心を抱くようになりました。
小学生の頃から周囲との関わりが難しく、思春期には強い自己否定感や不安感が見られるようになり、高校では不登校となりました。
その後、母親の支えを受けながら通信制高校を卒業し、専門学校に進学しましたが、環境の変化や学業の負担から再びうつ状態に陥りました。
母親が食事を仕送りし、定期的に訪問しなければ生活が成り立たないほど、精神的に不安定な状況が続いていました。
さらに実家に戻ってからは、父親との関係悪化をきっかけに症状が急激に悪化。
潔癖傾向が強まり、家族と接することすら困難になっていきました。
お母様から「これ以上どう支えたらいいのか分からない」とご相談をいただきました。
治療と生活の状況
思春期以降、強い不安やかんしゃく、過度な自責感などが続き、カウンセリングや薬物療法を受けながらの生活が続いていました。
一時期は専門学校に通えるまで回復しましたが、課題や人間関係のストレスから再び悪化。
授業に集中できず、食事もとれなくなり、母親が遠方から駆けつけて支援する日々が続きました。
やがて一人暮らしを維持できず、実家に戻ることになりましたが、家庭環境が再び症状を刺激し、潔癖行動や強迫観念が強まっていきました。
他人が触れた物に触れられず、母親にも手袋の着用を求めるほどの状態で、身の回りのことは一切母親に頼る生活となりました。
食事も母親が毎食部屋まで運び、温かい状態でないと怒りをあらわにするなど、情緒が極めて不安定な時期もありました。
外出もほとんどできず、母親の付き添いがなければ通院すら難しい状況です。
家庭の中でのコミュニケーションも母親を介してでなければ成り立たず、他者との関わりはほぼ絶たれています。
申請までの経緯
お母様は、当初から「高校生の頃から病院にかかっていたのだから、遡って申請したい」という希望をお持ちでした。
しかし、当時の主治医が障害年金制度への理解が乏しく、診断書の作成に協力が得られなかったため、やむを得ず事後重症化請求(現在の状態に基づく申請)で進めることになりました。
当センターでは、長年の生活の様子やご家族の支援内容を詳細に整理し、医師に対しても現状を正確に伝えるための書類を整備しました。
「母親の介助がなければ生活が成り立たないこと」や「外出・対人関係に極めて大きな制限があること」を丁寧に立証することで、うつ病としての障害の重さを適切に評価してもらうことができました。
結果
等級
障害基礎年金2級認定
受給額
年金額 約83万円
まとめ
この事例は、家庭環境や過去のトラウマが原因で、うつ病や強迫性障害を発症したケース です。
長年にわたり家族が献身的に支え続けたこと、そしてその生活状況を丁寧に記録し、医師と連携したことで適切な認定につながりました。
うつ病や強迫性障害は、外からはわかりにくい障害です。
「どうせ無理だろう」と思っていたとしても、専門家が関わることで認定されるケースは多くあります。
この事例のように、家族の支えと正確な申立てが、支援の大きな力になることを示しています
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