概要
- 28歳・男性・香川県
- 1型糖尿病・右下腿切断・糖尿病性網膜症・末梢神経障害
- 歩行困難、両下肢の強い疼痛、視力低下、嚥下困難、倦怠感、疲労感、移動困難
相談から申請までの経緯
相談
ご相談者様は小学生の頃に1型糖尿病と診断され、長年治療を続けてこられました。
しかし、若い時期に治療の継続が難しくなり、一時的に自己判断で中断してしまった期間がありました。
その後、足にできた小さな傷がきっかけで壊疽が進行し、最終的には右下腿の切断を余儀なくされました。
同時に網膜症や神経障害の症状も進行し、生活への影響が非常に大きくなったことから、「障害年金の対象になるのでは」とお母様とともに当センターにご相談いただきました。
治療と生活の状況
切断手術後は、糖尿病治療とリハビリテーションを並行して行いながら生活を立て直してこられました。
しかし、神経障害による強い痛みと感覚の鈍さが続き、夜間も痛みで眠れない日が多くありました。
飲み物や食事を摂る際には口の動かしづらさから誤嚥することもあり、食事の時間も長くかかっています。
現在はご自宅で車椅子生活を送られ、移動や身の回りの動作にはお母様の介助が欠かせません。
片脚の切断に加えて、もう一方の脚にも痛みやしびれがあるため、立位や歩行を保つことが難しい状態です。
また、網膜症による視力低下も進行しており、通院・外出にも付き添いが必要な状況が続いています。
申請までの経緯
ご相談を受けてからは、まず幼少期から現在までの治療経過や生活の変化を丁寧に整理し、病歴の流れを明確にしました。
特に治療中断の期間についても、当時の背景や生活状況をしっかりと文書化し、病気との向き合い方の経緯として自然に伝わるようまとめました。
主治医に対しては、切断後の生活状況や神経障害・視力障害の実態を正確に反映できるよう、診断書作成依頼書を添えて依頼しました。
また、病歴・就労状況等申立書には、ご本人とお母様のお話をもとに、日常生活での困難さや介助の実情を丁寧に記載しました。
年金事務所への提出前には、対象となる障害種別(下肢切断および糖尿病による障害)について細かく確認を行い、提出書類一式を整えて申請を行いました。
その結果、下肢の切断を主とする障害として評価され、障害基礎年金1級の認定を受けることができました。
結果
等級
障害基礎年金1級認定
受給額
年金額 約110万円
まとめ
1型糖尿病は、若い年代から長期にわたり治療を続けていく必要のある病気です。
一時的な治療中断や合併症の進行によって、思いがけず重い障害を負うこともあります。
今回のケースでは、右下腿の切断という身体的な障害だけでなく、網膜症や神経障害などの合併症も重なり、日常生活のほとんどを介助に頼らざるを得ない状況でした。
ご家族の支えのもと、病歴や生活の実情を正確に整理して伝えたことが、認定につながった要因の一つです。
糖尿病による合併症や切断後の生活でお困りの方も、条件を満たせば障害年金の対象となる可能性があります。
まずは、これまでの治療経過や現在の生活状況を一緒に整理していくところから始めていきましょう。
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