概要
- 45歳・男性・香川県
- 脊髄小脳変性症
- 手足の震え・不随意運動、手先の不自由、歩行時のふらつき、平衡感覚障害、姿勢保持困難
- 言語障害・構音障害、てんかん発作、階段昇降困難、生活範囲の制限
相談から申請までの経緯
相談
ご相談者様は、約10年前に勤務中に突然てんかん発作を起こし、その際の検査で脊髄小脳変性症の診断を受けました。
当初は手足の震えや軽いふらつきなどの症状が見られる程度でしたが、徐々に症状が進行し、現在では歩行や手の動作、会話にも支障が出ています。
年始には原付バイクを運転中に転倒し、右足を骨折。以降は通勤や就労が難しくなり、ご両親の支援を受けながら生活されています。
将来の生活への不安から、障害年金の受給を希望され、当センターへ相談されました。
治療と生活の状況
発作後は入院を経て通院・投薬治療を続けていましたが、医療費の自己負担が大きくなったことから治療を中断した時期がありました。
その後、手足の震えや不随意運動が急速に悪化し、歩行も不安定となりました。
ろれつが回らず会話が聞き取りにくいなど、言語面にも障害が見られ、慎重に動作をすれば最低限の動きは可能なものの、非常に疲れやすく集中力を要する状態です。
日常生活では、室内でも壁づたいで移動するなど不安定な歩行で、屋外を歩く際には支えがなければ転倒の危険があります。階段は必ず手すりを使用し、一段ずつ慎重に昇降しています。
また、箸やスプーンを使うことが難しく、食事の際は手で食べられるものを選ぶようになりました。炊事や掃除などの家事はほとんど行えず、簡便な食事で生活しています。
右足の骨折をきっかけに仕事を離れて以降は収入が途絶え、ご両親の仕送りで生活しており、現在も通院を続けながら薬で症状の安定を保っていますが、いったん悪化した身体の動きや発話の状態は改善していません。
申請までの経緯
ご相談を受けた時点で、発症から長期間が経過しており、症状は明らかに進行していました。
当センターでは、初診から現在に至るまでの経過を整理し、治療中断の理由やそれによって生活にどのような支障が生じたのかを丁寧にヒアリングしました。
その内容をもとに、医師が実際の生活状況を正確に把握できるよう、診断書作成依頼書を作成し、日常生活での困難や動作制限、転倒や不随意運動の具体的な状況を分かりやすくまとめてお渡ししました。
また、ヒアリングをもとに「日常生活状況申立書」も作成し、歩行や言語、家事動作などの困難を具体的に記載。医師への依頼書と併せて提出することで、診断書に生活実態が反映されるよう工夫しました。
こうした準備を経て、障害厚生年金としての申請を行いました。
結果
等級
障害厚生年金2級認定
受給額
年金額 約130万円
まとめ
本件は、てんかん発作をきっかけに脊髄小脳変性症を発症し、進行に伴って生活全般に支障が生じた事例です。
一時は仕事を継続できるまでに回復したものの、治療中断を機に症状が進行し、歩行や手の動作、発話など日常生活の多くの場面で支援が必要となりました。
現在はご家族の支えを受けながら慎重に生活を送られています。
障害年金の申請においては、病名や診断だけでなく、「どのように生活が変化したのか」「何ができなくなったのか」を具体的に示すことが重要です。
本件では、発症から現在までの経過を整理し、医師・ご家族と連携をとることで、生活の実情が正しく反映され、適切な等級認定につながりました。
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