メール よくある質問

ブログ

受給事例:網膜色素変性症により障害厚生年金1級・5年遡及850万円(60歳・男性)

概要

  • 60歳・男性・香川県
  • 網膜色素変性症
  • 視野狭窄、視野欠損、夜盲、光過敏、距離感・段差認識困難、歩行中の接触・転倒リスク、書字・読字困難

相談から申請までの経緯

相談

ご相談者様は、15年以上前に「網膜色素変性症」と診断されました。
発症当初は、視界のかすみや光のまぶしさを感じながらも仕事を続けておられました。
しかし、症状が少しずつ進行し、日常生活でも不便を感じることが増えていきました。
「仕事を続けている状態でも、障害年金を受け取ることはできるのか?」という疑問を持たれ、当センターにご相談くださいました。
障害年金は“働いているかどうか”ではなく、“障害によってどれだけ生活や就労に支障があるか”が判断の基準となることをお伝えし、申請に進むこととなりました。

治療と生活の状況

発症当初は、眼のかすみや充血、光への過敏な反応が主な症状でした。
その後、夜間や暗い場所での視力低下、視野の狭窄が徐々に進行し、周囲の人や物に気づかずぶつかることが増えていきました。
特に夜間は足元や段差が見えにくく、外出には強い不安を感じるようになったといいます。
その後、合併症として緑内障や白内障の手術も受けられましたが、左眼の視野は大きく欠け、右眼も視野が極端に狭くなっていきました。
現在では、左右どちらの目も見える範囲は非常に限られており、新聞やパソコンの文字を読むことは困難です。
歩行時には人や物に接触することが多く、壁や柱、看板などにぶつかってしまうこともしばしばあります。
階段では段数を数えながら昇降しないと段差を見落としやすく、外出時には常に強い緊張感が伴います。
駅や商業施設など人が多い場所では空間認識が難しく、買い物なども家族に頼る生活となりました。
仕事は長年続けてこられましたが、現在は嘱託勤務となり、事務業務中心に「できる範囲で」続けておられます。
それでも見えにくさによる疲労やストレスが大きく、業務をこなすにも強い集中力が必要な状態です。
医師からは白杖の使用を勧められていますが、まだ気持ちの整理がつかず踏み切れずにいるとのこと。
それでも「できるだけ自分の力で頑張りたい」という強い意志を持ち、日々努力を続けておられます。

申請までの経緯

初診から現在に至るまで、同一の医療機関で治療を続けてこられたことが幸いし、初診時点・認定日時点のカルテや検査記録が十分に残されていました。
そのため、医師の協力を得ながら、症状の経過や視野・視力の変化が明確に記載された診断書を作成することができました。
眼の障害の審査では、「どの程度視野が欠けているか」「見えている範囲でどれだけ生活が成り立つか」といった点が重要となります。
ご本人の見え方の実情や生活上の制限を丁寧に整理し、医師の診断内容と整合性をもたせる形で書類を整えました。
視覚障害のように進行性の疾患は、認定日(初診から1年半後)の状況を正確に証明することが難しいケースも多いですが、
今回のケースではカルテ記録がしっかり残っていたため、認定日請求での提出が可能となりました。

結果

等級

障害厚生年金1級認定

受給額 遡及額

年金額 約210万円(配偶者・子の加算含む)

遡及受給 約850万円(5年分遡及)

まとめ

網膜色素変性症は、ゆっくりと進行するため、発症から長い年月を経て初めて日常生活に大きな支障を感じることがあります。
今回のケースでは、初診日が古かったものの、継続した治療によりカルテが保存されており、適切な診断書を取得できたことが認定の決め手となりました。
視覚障害は外見からは分かりにくい障害ですが、生活の自由度を大きく制限します。
働いている方でも、見えにくさによって業務や日常生活に制約がある場合には、障害年金の対象となることがあります。
「まだ早い」「仕事をしているから対象外」と思わずに、早めに相談することが大切です。
今回のように、正しい知識と手続きを踏むことで、長年の努力がしっかりと報われる結果につながります。

コメント

この記事へのコメントはありません。

ページ上部へ戻る